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九条静音の黒執事妄想劇場
セバスチャンxシエルのBL中心の日記です。九条静音の黒執事個人誌の紹介もあります。その他ネタバレの配慮は致して居りませんので、ご注意18禁有り
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黒ミサあとがき
 毎日、1Pごとに、二時間かけて書いていました。設定してないのに、何故か長文仕様で・・・
 最初に考えたラストとでは、ギャグになる筈がシリアスになりました。
 セバスチャンの真実の名「ルシファー」は、九条の妄想、捏造ですので、ご了承下さいね♥
 ですので、勿論、両親のサタンとリリスとか、その他の設定も、勿論、妄想、捏造です(-_-;)
 でも、リリスがアダムの最初の妻とか、体位とかは、本当だったとされる説があるそうです。
 「エキドナ」と言う下半身が、蛇なリリスも、勿論、本当らしいとか(・_・;)
 実は、原作を元にした漫画で、蛇の本性を持つリリスが、セバスチャンを殺した犯人を半殺しにしたりとか、女王にグレイの死にかけの身体を、眼前に晒し、脅すストーリーとかも、妄想したりして(・_・;)
 セバスチャンも、シエルもお互いを愛し過ぎて、自分の命を捧げるのに、迷いがないのを目指してみました。
 基本、セバシエ、シエセバのアツアツストーリーしか、書けませんので・・・
 最近は、Hがハード?かなぁって感じですので、ご注意くださいませね♥
 大体、Ⅱ期アニメ補完は、出来たので、のんびりいこうと思います♥
 実は、PCケータイHP随分、放置致してましたが、アクセス数が凄くて、びっくりしました。
 キリ番333・444・555の方が、再度ご覧になられていらっしゃいましたら、小説のリクエストお受け致したいと思っております♥但し、CPは、セバシエ、シエセバに限らせていただきますが・・・
 次は、666番の方リクエストお受け致します。
 リンクの黒執事小説中心サイトにて、お待ち申し上げております♥
 明日は、二週間振りの仕事ですので、明日そちらにも、告知致します♥
 これからも、ブログ共々、アクセスいただけましたら、嬉しいです♥ 
黒ミサNO.7
「馬鹿!僕何てほっておけばいいのに・・・お前は・・・馬鹿だ・・・」シエルは、泣きながら、セバスチャンに抱き付く。
 「ああ・・・虐め過ぎましたね・・・母が貴方の命を取らないなら、別にいいんですよ。私は、もう、貴方の魂を喰らう事など出来はしない・・・愛しています、シエル」チュッと軽く唇にキスするセバスチャン。
 「本当にお前は、馬鹿だ・・・悪魔のくせに自分の命を捨ててまで、獲物の命を優先するなんて・・・」シエルは、セバスチャンの告白が嬉しくて、いつまでも泣いていた。
 「ああ・・・お可愛いらしい・・・シエル泣き顔も美しいですが、笑って下さい。人間界では、あまりお目にかかれませんでしたから、貴方の笑顔が見たい・・・」セバスチャンは、シエルが切なくなる程の笑顔で囁く。
 「もう・・・馬鹿・・・」シエルは、耳まで真っ赤で、その言葉しか言えない。
 「フゥ、馬鹿しか言って下さらない・・・いくら私でも、そこまで連呼されると、流石に傷付きますよ・・・少しは、ムード大事にして色っぽいお言葉頂けませんか?」セバスチャンは、めげそうだった。
 二人が、主従関係の延長の様なやり取りしている時、ルシファーの両親は・・・
 「あいつ等、いつまで、問答している気だ・・・」ミカエルから、サタンに抱かれ、魔力を取り戻したリリスが呟く。
 「いいんじゃないか?アツアツで微笑ましくて・・・所で、何故シエルと契約した?」サタンは、些か、不機嫌そうだった。
 「息子を助ける為の手段に過ぎん。ルシファーが愛したシエルの魂を貰うつもりは、私には、ない。ルシファーと生きて行く契約を交わしたが、あいつとの契約がある以上、二重契約は、するつもりはないから、無償で、契約印のない契約だ。シエルが、私の願いを叶えてくれずとも、罰するつもりもないしな。」リリスは、サタンの機嫌が悪かろうが、気にはしない。
 「本当にお前は、意地悪だな・・・本当の契約は、シエルの心に秘めた方だろう。しかも、その内容をルシファーでさえ、覗けんのだろう?元大天使ミカエルが、ここまで変わるとは思わなかったぞ。ズルイ奴だ・・・」サタンは、呆れてしまう。
 シエルは、その内容をルシファーに悟られたくはないだろう。
 セバスチャンを取り戻す為とは言え、リリスとの契約は、シエル自身には、酷だから・・・
 「いつか、心からセバスチャンを愛した時、全てをセバスチャンに捧げよ。人間世界の柵を全て捨てて、セバスチャンと共に、生きてくれ。そして、もし、セバスチャンが望んだなら、子を成して欲しい。それが、私の願いだ。」シエルは、あまりな内容に迷っていたが、承諾した。
 自分もセバスチャンを愛していたから・・・
 セバスチャンが命と引き換えに、自分を生かしてくれたのだ。
 愛しているから、命を差し出す悪魔など、聞いたことがない。
 セバスチャンと一つになりたかったシエル・・・
 シエルだけを生かして、悪魔の力でシエルの命を繋ぎ止め、死を選んだ悪魔セバスチャン・・・
 二人の気持ちは同じ・・・
 お互いを大切に想い、潔い心・・・
 二人は、クスクスと嗤い合い、どちらからともなく、お互いを求めた・・・
 唇を重ね、どちらからともなく、身体を揺らし、高みを目指して・・・
 空には、セバスチャンがシエルへの忠誠を誓った月がある・・・
 二人の痴態を知るのは、只、青い月だけ・・・
 二人は、極上の快楽に翻弄され、強烈な飢えをお互いの精気で満たし、意識を手放した・・・
 この先、二人の運命は、どうなるかは、ふたの次第・・・
 悪魔に戻ったリリスとサタンは、二人が意識を失う前に、魔界に戻って行った。
 二人は、シエルとセバスチャンの未来に関与する事なく、両親として、只、身守りたいだけ・・・
 ベッドで抱き合うセバスチャンとシエルの顔は、笑顔で満ち溢れていた。
                                        FIN
 
黒ミサNO.6
ガバッとセバスチャンは、背後から、シエルを抱きしめ「ああ・・・坊ちゃん、何と可愛らしい事をおっしゃる・・・そうですね、多少お邪魔虫がいますが、この部屋には、私が立ち入らせませんよ。ご安心下さいね♥恋人と認めて下さって嬉しいですよ♥」セバスチャンは、シエルの言葉に有頂天になる。
 「もう、お前は、現金なんだから・・・まぁ、別に構わないが・・・僕は、お前に魂を喰わせて、消えるのが、望みだった・・・でも、今は、悪魔の力を持つ・・・早く、僕の魔力を吸いつくして、元の僕の悪魔セバスチャンに戻れ。魔界の皇太子ルシファー殿♥」シエルは、ウインクして、背後から抱き締めるセバスチャンの唇にチュッとキスした。
 「ああ・・・もう・・・私を煽らないで、下さいね(・_・;)どうなっても、知りませんよ・・・」セバスチャンは、益々、シエルに煽られて、再び、背後から、挿入していた。
 今まで、散々、シエルを抱いていたが、シエルの言葉にセバスチャン自身が、シエルの中で大きくなっていた。
 「あっ・・・そんなに・・・大きくしたら・・・」シエルは、未だ悪魔であっても、セバスチャンの激しい愛撫に身悶え、虚ろな瞳で、セバスチャンを煽ってしまう。
 子供だから、凄まじい快感に翻弄され、ボウッとしているだけなのだが・・・
 「シエル・・・シエル・・・」セバスチャンは、力の限り、シエルを抱き締め、余裕など無くしていく。
 悪魔であろうが、王族であろうが、ファントムハイヴの血筋のシエルは、妖艶で、自分を誘う雰囲気を醸し出しているのだ。
 グチュ、グチュっと淫らな水音が、寝室に響く。
 そんな卑猥な音ですら、聴覚を支配し、シエルもセバスチャンも、益々、煽っていく。
 「ルシファーお前は、僕だけの悪魔だ!」シエルの言葉は、ルシファーであり、セバスチャンでもある悪魔を縛り付け、翻弄していく。
 シエルを抱いているのは、セバスチャンなのに、シエルに煽られ、シエルに支配されている錯覚を感じてしまう。悪魔を縛り、煽る妖艶な肢体・・・シエルは、人間としては、最高の身体なのだ。
 もし、他の悪魔がシエルを抱いたなら、その身体に溺れ、手放せなくなるだろう・・・
 それ程に、シエルは、悪魔に取って魂だけでなく、身体すらも、最高のエサなのだから・・・
 セバスチャンは、想う・・・シエルと何故、契約出来たのかは、わからないが、最高の獲物であり、主であると・・・
 悪魔の力を取り戻した時、シエルは、魂を喰らえと言うかも知れないと・・・しかし、今のセバスチャンは、もう、シエルを手放せない。
 それを考慮して、リリスは、シエルと無償で、契約したのだ・・・
 セバスチャンを魔界に帰らせるきっかけになる契約を・・・
 セバスチャンは急に思いついてしまった。
 母が、リリスが自分を黒ミサで、助けた事の矛盾に気付いた。
 「もう、ルシファー・・・」シエルは、早く、もう一度、再奥にセバスチャンの迸りを受けたいと誘う。
 しかし、頭の中に過ぎった疑惑に集中したセバスチャンは、律動をピタッと止めた。
 「んっ・・・」イク寸前で、動きを止めたセバスチャンに、シエルは、怪訝な顔をする。
 目を潤ませ、男を誘うシエルの顔に、内部のセバスチャンは、ムクッと大きくなるが、悪魔であるから、忍耐力にも、長けていたのだ。
 「ねぇ・・・シエル・・・母上は何故、私を助けたのですか?あの方が、何の条件も無しに、黒ミサを行うなど、信じられませんよ・・・私に何か隠し事、してらっしゃらないでしょうね?」セバスチャンの笑顔が怖い。
 三年もシエルは、セバスチャンを傍に置いていたのだ。
 女王の番犬として、起こった事件の解決に働く、シエルの推理力、洞察力に長けた子供だからこそ、今のセバスチャンの笑顔は、悪魔の頬笑みだと思う。
 シエルはダラダラと汗を流し始めていた。
 (解りやすいですね・・・)セバスチャンの読みは、正しいのだと、シエル自身が教えている様なものだ。
 「言いたくなければ、宜しいですよ。私は、貴方が私の質問に答えて頂くまで、このままじっとして動きませんから・・・欲しければ、ご自分で、動いて下さいね・・・」益々、セバスチャンは、ニッコリ微笑む。
 「そんな・・・卑怯だぞ、僕の弱みに付け込む様な真似・・・僕に腰を振れって言うのか?僕は主なんだぞ」「おや?私の聞き間違いだったのですか?先ほど、坊ちゃんは、執事でいるな、恋人でいろとおっしゃったでは、ありませんか?」嫌味には、嫌味で返すセバスチャン。
 「だって、僕にそんな事出来るわけないじゃないか・・・」そう、シエルの過去は、見知らぬ男達に攫われ、弄ばれ、黒ミサで生贄にされ、セバスチャンに助けられるまで、生きた心地がしなかった。
 只、弄ばれただけなら、まだマシだった。
 しかし、シエルは僅か10歳だと言うのに、ありとあらゆる性技で弄ばれ、時には、醜い男達の性器を口に咥えさせられた事すらあったのだ。
 セバスチャンに抱き合う事の本当の意味、快楽を感じる事は、罪ではないと教えられ、愛する者同士の行為でもあると、教えられるまでは・・・
 悪魔に愛する行為だと説かれて、苦笑した事もあった。
 同族に辱められ、悪魔に慰められるなど、滑稽な茶番でしかない。
 「らしくしていろ!」その命令を忠実に守り、シエルには、醜悪で無様な悪魔の本性を見せる事なく、天使を倒し、セバスチャンは自分の命まで犠牲にして、シエルを守りきったのだ。
 「セバスチャン・・・」シエルは、溢れる涙を止められなかった。
 今のシエルは、もう、「ファントムハイヴ」は棄てたのだ。
 今ここにいるのは、只の「シエル」なのだから・・・
 リリスはセバスチャンに契約の内容を言うなとも、言っていいとも、告げなかった。
 つまりそれは、セバスチャンにバレても良いと言う事なのだろう。
 しかし、出来れば知られたくはなかった。
 リリスにも言ったが、その内容にセバスチャンがノルとは、思えなかったからだ。
 どんなに愛していると囁かれても、シエルはセバスチャンの本心とは、信じていなかった。
 セバスチャンに溺れていく自分を律し、シエルはファントムハイヴの当主として生きて行くしかなかったから。
 唯一無二の愛する恋人セバスチャンに嫌われたなら、シエルは生きていけない。
 それ程に、セバスチャンに溺れ、依存している自分に気付けなかったシエル。
 アバーラインの優しさに心が傾きかけたが、シエルは、依存しょうとした訳ではない。
 「お前はいつもそうだ・・・そうやって僕を追いこんでいく・・・アバーラインを劉に殺させたのは、僕が縋るのを許さなかったからだろう・・・お前なら、彼を盾にする事なく、僕すらも守れた筈だ・・・やっぱり、お前は悪魔でしかない・・・僕の本心など、信じないくせに・・・」シエルは怒り、自分の上に跨り、再奥まで挿入しているモノを引き抜こうとさえ、している。
 いかに今は、シエルの方が、悪魔の魔力を持っているとは言え、魔力を使いこなせないのだ。
 無理矢理、猛ったソレを引き抜けば、シエルの内部は傷付くだろう。
 「止め・・・シエル・・・無理にそんな事をすれば、貴方の内部は、傷付いてしまう・・・」セバスチャンは、自分の下で、自由が利かないくせに、結合を無理に解こうとしている生き物に、心臓を鷲掴みにされている錯覚さえ、感じていた。
 両手を押さえつけ、激しく律動を開始し、シエルの抵抗を奪う。
 「止め・・・もうルシファー・・・」シエルは、セバスチャンに抗えない。
 自分の気持ちに素直になった今、セバスチャンの愛撫に抵抗する気力などないのだ。
 「ああん・・・ルシファー・・・」シエルの口からは、セバスチャンの真実の名が紡がれる。
 「シエル・・・貴方は私のモノ・・・最早、誰にも渡しはしません・・・例え、もし、母が貴方の命と引き換えに、私の命を繋ぎ止めたとしても・・・」セバスチャンの恐れは、その一点なのだ。
 だから、リリスとシエルの契約を知りたがる。
 シエルの命は、自分のモノだから・・・
 シエルをエサを愛してしまったから・・・
 見殺しなど、出来るわけなどないのだ・・・
 
黒ミサNO.5
 「ええ・・・マイ・ロード・・・誓います。私は、貴方と共に、生きましょう・・・二度と、貴方を一人にしたりしない♥死ぬ時は、貴方も道連れに・・・それでも、良いと言われるのですか?」「当たり前だ!僕を誰だと思っているんだ!お前が死ぬ時は、こんどこそ、僕の魂を喰らえ、それで、僕達は、やっと一つに溶け合えるんだ。解ったな!」シエルは、セバスチャンの主なのだ。
 真実の名を知った所で、支配しようとは、想わない。
 今、命令で縛っている相手をそれ以上、支配する程、悪趣味ではないシエルだから・・・
 「ああ・・・貴方を愛して良かった・・・貴方の魂は、生きてこそ、なお輝きをます・・・愛していますシエル・・・」セバスチャンの切ない顔・・・
 「セバスチャン、そんな顔するな、僕まで辛くなる。僕も愛してる」シエルは、真っ赤になって俯く。
 「ああ、坊ちゃん・・・嬉しいですよ、お話は何れ又。続きをしても、宜しいですか?そんなお顔されたら、我慢出来ません。」セバスチャンは、今までと違い、余裕のない、ソワソワした感じで、シエルを求めた。
 「僕は、お前のモノなんだろう?だったら、イチイチ確認するな・・・こんな時まで、完璧な執事を演じるな・・・」シエルは、耳まで真っ赤にして、セバスチャンに抱きついていた。
 「では、シエル。私をここまで夢中にさせといて・・・煽ったんですから、覚悟して下さいね・・・」セバスチャンは、シエルをベッドに押し倒した。
 一方・・・
 サタンとリリスは、リリスの足を掴んだサタンが、魔力で、リリスの暗殺者を消し、壊れた部屋も修復し、別室のベッドにリリス、基、今は、大天使ミカエルなリリスを押し倒していた所だった。
 「ちょっと・・・サタン・・・ああ・・・息子がいるのに・・・」ミカエルは、セバスチャンが、同じ屋敷にいる事が気になっていた。
 悪魔であろうが、天使であろうが、羞恥心などないのに・・・
 「何言ってるんだ?私を蹴り飛ばしたお仕置きだ!それに、私が抱かなければ、お前、悪魔に戻れないじゃないか・・・」サタンは、呆れて溜息を吐く。
 セバスチャンがシエルによく呆れた時の様に・・・
 「ぐっ・・・」ミカエルは、言葉に詰まる。
 ミカエルは、性別をサタンの為に、女に固定した。
 しかし、天使の持ち物である聖剣「エクスカリバー」を使用して、悪魔を殺したら、悪魔の力は、聖剣によって、浄化されてしまうのだ。
 本来リリスは、別名「エキドナ」と言い、蛇の本性を持つ悪魔なのだ・・・
 残忍にして、冷酷・・・魔界広しと言えども、同族を喰らう、唯一の悪魔なのだ・・・女帝リリス。
 それは、神を裏切ったリリスに与えられた罰・・・リリスとサタンとの間には、未だに、子はセバスチャン一人 聖書では、リリスは元人間で、アダムの最初の妻とされていると言う可能性が、現代の研究で明らかにされてきた。アダムと別れた理由が、マトモな体位?と言うか、ありきたりな、正常位での行為に物足りないと言う事も、一部の書物では、書かれている現代なのだ。
 サタンの妻でもあるが、同時に複数の悪魔との間に、100人程は、子を成したともされている。
 しかし、今、ここにいるリリスは、サタンとしか、関係していない。
 サタンとの契約で、お互いが、生命維持装置の様な状態にあるが、愛し合い、神に追放されたからだ。
 リリスは、ミカエルだった頃、女になれる体質、否、特性に目を付けられ、千年に一度、新しい妻を娶るとされている神ゼウスの次の妻に選ばれた。
 しかし、ゼウスには、実の姉、正室ヘラがいた。
 人間の王族だろうが、人間の小間使いだろうが、ゼウスは、美しい女性をモノにして、子供を産ませてきた。
 ヘラは、そんな女達をあらゆる手を使って、殺してきた。
 太陽神アポロンと、月の女神アルテミスの母も、例外ではない。
 ゼウスが母を亡くした二人をオリンポスの12神に加えたから、ヘラは手を出せないが、二人を殺したい程、憎んでいたのだ。
 ヘラの激情を鎮める為の対策として、天使の女性を千年に一度、ゼウスの妻に捧げると言う事になったのだ。
 しかし、ゼウスの妻となった天使は、現在、誰一人として、生きてはいない・・・
 今のサタンは、ミカエルの双子の兄ルシフェルで、ミカエルを助ける為に、神に立ち向かい、サタンとなったのだ・・・ミカエルを愛していたから、神の妻となり、ヘラに殺される運命にしたくなかったから・・・
 ミカエルは、兄であるルシフェルを心秘かに愛していた。
 男性体を常に心掛けるのは、自分の本心に気付いた兄に嫌われたくなかったから・・・
 まさか、兄も同じ想いだとは、気付けなかったから・・・
 そんな日々の中、ミカエルが次の神の花嫁に決まった時、ルシフェルは、自分の激情のまま行動に移す。
 自分の想いを告げる事もなく、ミカエルを男性体のまま、抱いたのだ・・・
 しかし、両性体であった為、妊娠してしまったのだ・・・
 その時の子がルシファー・・・今のセバスチャンなのだ・・・
 神は怒り、二人を魔界に落とした。
 そうして、二人は魔界の帝王サタンと、王妃リリスとなったが、神の罰で、リリスは、「エキドナ」とされ、悪魔を喰らう、唯一の悪魔として、魔界に君臨する事になったのだ。
 サタンはリリスと「血の契約」を交わし、お互いの血を飲み、傷口を合わせ、体内の血を混ぜ合わせる事で、お互いを縛り、どちらかが死んでも、生き残った方の血で、蘇る方法を選んだのだ。
 だから、二人はお互いの生命維持装置なのだ。
 「サタン・・・私の気持ちも少しは、察しろ・・・息子がいるんだぞ・・・」ミカエルの姿で、甘えるリリス。
 「解っているが、お前が女に戻る為には、抱き合うしかないだろうが・・・さっさと足を開け!」形勢逆転で、優越感一杯のサタン。
 (セバスチャンがスケベなのは、血筋か・・・)ミカエルは、こめかみをピクピクさせる。
 サタンを愛しているから、抵抗できないが・・・
 「んんっ・・・はぁ・・・」無理矢理サタンに口付けられて、リリスは喘ぐ・・・
 (今頃は、シエルもセバスチャンに・・・)契約し、自分の望みを叶えてくれる相手に、リリスは想いを馳せた。
 「ああっ、セバスチャン・・・」シエルは、セバスチャンに喘がされていた。
 「シエル・・・私の・・・真実の名を呼んで・・・」ルシファーは、シエルに懇願した。
 「ルシファー・・・お前は僕のモノ・・・僕だけのルシファー・・・」快楽の縁に溺れ、シエルは何度、セバスチャンの名を呼んだか解らない。
 しかし、セバスチャンは、シエルに強請る。
 真実の名を呼んでと・・・
 愚かだと思う・・・たかが人間に、今は、13歳のシエルに溺れていく自分・・・
 しかし、自分の立場を考えると、シエルと契約する運命だったなと考えさせられるのだ。
 「黒ミサ」の儀式の時、豚共は、シエルを生贄として、その身にナイフを振り下ろした。
 本来の魔方陣の意味など知らずに・・・
 契約の紋章は、獲物を縛り付ける為のモノ・・・
 しかし、契約時の魔方陣には、悪魔から身を守る意味があるのだ。
 魔方陣の中の人物は、真の意味の契約者であり、悪魔に殺される事はない。
 つまり、魔方陣の外にいる者を悪魔は、殺す事が出来るのだ。
 例え、契約者の「命令」がなかろうと関係ないのだ。
 それが、儀式の本来の意味、暗黙の了解なのだ・・・
 無智な人間は、色々と悪魔を楽しませてくれる・・・
 セバスチャンは、シエルと会うまでは、例え、魔方陣の中にいる本来の契約者であろうと、魂を喰い散らかしてきた。
 当時は、グルメではなかった。
 それなりに、身体の関係もある。
 悪魔なのだから・・・
 自分から誘わずとも、貴族の女なら、自分から、喜んで、身体を差し出すのだ。
 尻軽な女は好きではない。
 魂だけ抜き取り、喰らい、亡きがらに、何の感傷すらなくて、打ち捨ててきた自分・・・
 シエルを抱き締め、満足している今の自分に、矛盾を感じるセバスチャン・・・
 シエルに縛られたくて、真実の名を呼ばせる事すら、悪魔らしくないと、同族に嗤われるだろう。
 そんな事は、セバスチャンには関係なかった。
 今の自分が、セバスチャンの真実なのだから。
 ファントムハイヴで過ごした時間も、かけがえのない想い出・・・
 しかし、今シエルを腕に抱いている事こそ、セバスチャンには意味がある。
 生きていると感じさせてくれるから・・・
 自分が、他の悪魔と異質だとは、気付いていた。
 しかし、自分は、魔界の一角に隔離されていて、自分の素性すらも知らなかったのだ。
 時折、今いる自分の城に両親は、やって来ても、すぐに王宮に帰る事になるのだが、その真実を当時、セバスチャンは知らされてなかった。
 神から自分を守る為の手段だとも、知らされていなくて・・・
 執事が一人いた・・・
 魔界でのサタンの右腕サタナキアと呼ばれた悪魔が・・・
 彼は、紳士的にセバスチャンに接し、セバスチャンの知らない内に、次期魔王としての教育を施していた。
 サタンの臣下は、側室に次期魔王を産ませ様と画策し、セバスチャンを殺しにくるかも知れない事もあり、この城は、魔王の魔力で、結界を張られていたのだ。
 セバスチャンが、次期としての魔力を発揮出来る様になるまで・・・
 「シエル・・・シエル・・・」愛しい主の名を呼ぶ・・・
 「ルシファー・・・ル・・・シ・・・ファー・・・」シエルは、激しくなるセバスチャンの腰の動きに翻弄され、乱され、喘がされ、それでも、精一杯しがみ付き、逞しい、ルシファーの胸にチュッ、チュッとキスを送る 
 「貴方って人は・・・」セバスチャンは、シエルの再奥をズプンと激しく突いた。
 「ああ・・・もう・・・イク・・・ルシファーお前も、僕の中で・・・早く・・・」シエルは、限界を感じ、自分の中で果てろと言うのだ。
 「シエル・・・うっ・・・」セバスチャンがシエルの体内に、白濁を迸らせる前にシエルは、射精していて、セバスチャンを内部から締め付けたのだ。
 ビュクッ・・・シエルの白いモノがセバスチャンの腹を汚す。
 二人は、ハァ、ハァと荒い息で、抱き合う。
 何度、イッたか解らず、二人の身体は、酷い有様だった。
 クス、クスと嗤いあい、抱き締め合う。
 シエルの前のセバスチャンの胸には、自分が吸い上げ、刻んだ、赤いバラの様なキスマークが点々とあった。
 「フフ・・・セバスチャン・・・僕の身体はいいか?僕は、まだ子供だから、満足させてやれんかもしれないが・・・」シエルは、主であった時と、何も変わらない。
 「坊ちゃん・・・貴方は充分、私を楽しませて下さいますよ。今のままでいい・・・これから少しずつ、お勉強いたしましょうね・・・」セバスチャンは、悪魔で執事なのだ。
 「もっと、ムードを大事にしろ!二人でいて、勉強もないだろう・・・」シエルの方が、大人だ。
 「だって、坊ちゃん。セックス何て殆ど御存じないでしょう?私が、手ほどきしなくて、どうします?」「だから、執事の振りはいいって・・・ここにいる時は、恋人として振るまえ」シエルは言いながら、赤面していた。
 
 
 
  
黒ミサNO.4
お互いに快感を感じ、一つに溶け合う瞬間だった・・・
 ガラガラ、ドカーン、ピシャーン凄まじい轟音がしたのは・・・
 「な・・・今の何だ・・・」シエルは、情事の熱が、一瞬で冷めてしまった。
 目の前のセバスチャンは、眉間に皺を、こめかみに怒りマークを張り付けている様に見えた。
 おそらく、セバスチャンには、思い当たる事があるのだろう・・・
 「セバスチャン・・・まさかとは、思うが、奴ら連れて来ていないだろうな・・・」シエルは、目の前の男に怖々、聞いてみた。
 「ええ・・・そんな訳ありませんよ・・・まぁ、誰が原因かは、検討がつきますが・・・」まだ、悪魔に戻っていないと言うのに、セバスチャンのオーラが怖いシエルだった。
 シエルの為に、自分の命を犠牲にしょうとしたセバスチャンだ。
 折角、使用人達、お邪魔虫のいない今、奴らを連れて来てる訳がない。
 「坊ちゃん、ソワソワしてらっしゃいますね・・・原因を見に行かれたいのでしょう・・・」シエルは、本来は子供なのだ。
 好奇心で、何でも知りたがる年頃なのだ・・・
 そんな所も愛して止まないセバスチャンだった。
 フゥッとセバスチャンは溜息を吐くと、シエルの身体をサッと洗い、自分も簡単に洗い、バスタオルでシエルの身体を包んだ。
 サッと水気を取り、バスロープを着せ、自分も身体を拭き、シエルとお揃いの純白のバスロープを着て「さぁ、行きましょう。」とシエルを抱き上げる。
 セバスチャンは、以前の悪魔に完全には、未だ、戻っていない。
 どちらかと言えば、今はシエルの方が、高位の悪魔と言った方が正しい位置だった。
 シエルは、慣れた物で、セバスチャンの首にしがみ付き、抱き付く。
 アッシュとセバスチャンの戦いの前、こうして運ばれていた事を思い出す。
 (まだ、早いですよ・・・リリス様・・・)騒ぎの主は、リリスに間違いないだろう・・・
 王妃リリスは、ある理由から、夫である魔界の帝王サタンとは、48時間以上離れては、いけないのだ。
 お互いが、お互いの生命維持装置である存在の契約で、結ばれているのも、原因の一つではある。
 だが、今回は、もう一つの理由だろうと思うセバスチャンだ。
 シエルを現場に連れて行っては、いけないと警鐘を鳴らされているのは、感じている。
 しかし、真実を知らせずに、このままシエルを騙す事は、不可能だった。
 「坊ちゃん、これから、ご覧になられる事は、全て真実・・・どんな事でも、受け入れる覚悟は、おありですか?」セバスチャンは、念の為、確認を取る。
 「ああ・・・どんな事でも受け止め様。お前が、僕の前では、悪魔の本性を現すのを拒んだ気持ちは解る。でも、嫌なんだ・・・どんなお前でも、見せて欲しい。無様で、醜悪だろうが、お前はお前・・・僕の悪魔、セバスチャン・ミカエリスだから・・・」シエルの言葉にセバスチャンは、目を見開いていた。
 「嬉しい事をおっしゃって下さいますね・・・今この時でなければ、再び、ベッドに押し倒したい所ですよ。」セバスチャンは、優しい瞳でシエルに微笑む。
 シエルは、その笑顔にドキリとする。
 しかし、事態は一変する。
 現場に着いた時、意外なモノを目にするのだから・・・
 窓は粉砕され、何者かが、侵入して来たのは、理解出来る・・・
 しかし、部屋は、所々、焼け焦げ、その様子から、雷でも落ちただろうと推測された。
 だが、次の瞬間、二人には信じられない存在を目の当たりにする事になる。
 そいつは、二人に背を向け、必死と言うか、何かを突き刺していると言うか、押さえつけていると言うか、信じられない行動をしていた。
 二人の前に広がるのは、美しいが禍々しい例の存在と同族・・・
 部屋中に散らばり、舞い上がる白い羽根・・・
 天使の5対の羽根を持つ、大天使がいたのだ・・・
 「リリス様、どうされたのですか?」セバスチャンの声に、腕の中のシエルは、怪訝な顔をする。
(黒い少女など、どこにもいない・・・まさか、この天使が、王妃を殺したのか・・・)
「ああ、こいつが、私の命を狙ったから、返り討ちにしたまで・・・その分だと、私は、そなたたちの邪魔をした訳か?」天使が、振り返る。
 長いブロンドの髪、目の色は、シエルの瞳の青さには、劣るが、水色に近い澄んだ青い瞳だった。
 まるで、聖書に出てくる大天使「ミカエル」その存在の様な・・・
 「どう言う事だ・・・天使なんて・・・まさか、王妃は・・・」シエルは蹲る存在が、男であり、王妃でない事を知ると、混乱していた。
 「クスッ、セバスチャン、説明してやれ。御主人様は、混乱しておられるぞ。」目の前の天使は、途轍もない大きな剣「エクスカリバー」と呼ばれる魔物退治の聖剣を手にしていた。
 「坊ちゃん・・・目の前の天使がリリス様ですよ・・・」セバスチャンは、ニッコリほほ笑んだ。
 「どう言う事だ!リリスは、悪魔で少女だろうが・・・この天使は大人で・・・悪魔が天使になるなんて聞いた事がない!」シエルは御機嫌斜めになる。
 死んだはずの自分は、セバスチャンの魔力で悪魔になり、魔力を返す為にセバスチャンと身体を重ねる事になっただけでも、混乱していたのに、この展開では無理もない。
 「落ち着いて下さい。坊ちゃん、順を追って話しましょう・・・」腕の中のシエルが、怒りで震えているのをセバスチャンは、見逃さなかった。
 「その前にサッサと部屋を離れろ・・・でないと手遅れに・・・うっ・・・」天使は、言い終わらない内に、大きな黒い影に包まれ、唇を塞がれた。
 大天使より、大きな真っ黒な翼の悪魔に・・・
 6対の羽根を持つ、唯一の存在・・・
 天界で、尤も神に愛され、常に神の傍にいたと言う大天使、別名、光の天使ルシフェルのみが、持つ事を許された12枚の羽根を持つ悪魔など、魔界に一人しかいない。
 魔界の帝王サタン只一人・・・
 「もう、離せサタン!」大天使の声で、サタンの顔が、シエルの眼前に明らかになる・・・
 「どう言う事だ!これは!」シエルは、怒りで、セバスチャンの頬に平手打ちを喰らわす。
 「お前は、僕をからかって、楽しんでいた訳か・・・どうだ?お前に騙されて、お前に縋った僕は、さぞ滑稽だっただろうな・・・」ヒック、ヒックとシエルは泣きじゃくり、言葉と裏腹に、セバスチャンの胸元を掴んで、身体を預けていた。
 「そんな事ありませんよ・・・出来れば貴方に全て、明かしたくはなかった・・・私は只の悪魔でいたかった・・・貴方のお傍にいられるならば、この命捧げるとお約束しました。リリス様が現れた時、こうなるとの予感はありましたが、実際に経験してみると・・・辛いです。」セバスチャンの言葉に嘘はない。
 自分の本性を見せなかったのだから、自分の正体を明かすつもりもなかったのだ。
 闖入者、サタンが現れるまでは・・・
 「そうか、ならば、お前は、セバスチャンではなく、真実の名は、ルシファーと言う訳か・・・」シエルは、泣きながら言う。
 「ええ・・・それが、私の真実の名です。どうぞ、その名で、私を支配して下さい。私の坊ちゃん・・・私の・・・私だけのシエル・・・」セバスチャンは、シエルの身体を抱きしめ、悲壮な顔で告げた。
 「この馬鹿者、主とは言え、人間に真実の名を告げるなど・・・仮にもお前は・・・」ドカン、サタンは、リリスと呼ばれた天使に蹴飛ばされた。
 「馬鹿はお前だ!私の計画をおじゃんにしてくれて・・・私が「ミカエル」に戻ろうが、簡単に暗殺者に殺されんのは、お前も知っておろうが!肝心な時に現れおって、この馬鹿!」ゲシゲシとサタンを蹴り続ける天使なリリス・・・まるで悪魔の様で・・・
 「さぁ、坊ちゃん、他愛無い夫婦喧嘩など、見るに耐えません・・・さっさと寝室に戻って・・・続きを・・・」セバスチャンは、クルッと踵をかえして、足早に部屋を後にする。
 「待て!ルシファー、助けろ・・・」サタンの悲痛な叫び。
 「貴方が悪いのでしょう?私は、知りません!」聞く耳持たないセバスチャン。
 「嫌だぁ・・・」魔界の帝王も、妻には叶わない。
 「はぁ・・・何か、疲れた・・・」シエルは、ベッドに倒れ込み、溜息を吐く。
 「済みませんでした・・・坊ちゃん・・・」セバスチャンは、シエルの隣に寝ころび、抱き締める。
 「お前が悪い訳ではないだろう・・・しかし、知られたくない事だったんだろう・・・お前がまさか・・・魔界のその・・・王子だったなんて・・・」シエルは、何とも言えない感覚なのだ。
 セバスチャンが、高位の悪魔だとは、気付いたが、まさか、王族だとは・・・
 そう、シエルが目にしたサタンは、長いストレートの黒髪に、顎鬚生やしていたが、セバスチャンに瓜二つだったのだ。
 正確に言えば、息子が、父親に似ただけの他愛ない事なのだ・・・
 シエルが、先代に似た様に・・・
 「どう言う事かは、説明してくれるな・・・何で、王妃リリスが、よりによって、大天使「ミカエル」なのか・・・それに、確か、ミカエルとルシフェルって、双子の・・・」「はい、兄弟ですよ・・・父が神を裏切った経緯とかは、聖書に書いてありますが、真実は闇に葬られておりますよ。母、リリスは、アッシュさんの様に、両生体だったのですよ。そんな母を父は、兄でありながら愛していました。しかし、ある事がなければ、決して告げぬ秘めた想いになる筈だった・・・それを神が壊した・・・只、仲の良い兄弟でいられる二人の関係を変えてしまった・・・だから、碌でもないのですよ・・・」セバスチャンの声は、震えていた。
 恐らく、自分に聞かせたい話ではないのだろう・・・しかし、自分に敢えて真実の名を晒し、支配を受けても良いと言う愛しい男の真実を知るのは、シエルに取っては、悦びなのだ。
 セバスチャンの過去を知るのは、自分に取っては辛い事かも知れぬが、同時に、悩んでいた事が解決する事にも、繋がる事にもなるから・・・
 「セバスチャン、お前が何を隠したいのかは、僕には解らない。しかし、お前の事は、いつも気になっていた。お前の過去を知りたいと思ってもいた。僕に、真実の名を告げてくれただけで、充分なんだ・・・お前を支配した所で虚しいだけだ。誓え!僕と共に、生きると、2度と、一人で逝こうなどと、しないと・・・連れて行くなら、僕も一緒だ・・・」シエルも、力の限り、セバスチャンを抱き締めた。

 
黒ミサNO.3
「僕の言いたい事は、解っているだろう?セバスチャン!」後ろから、シエルを抱き抱える様にしている執事に言う。
 「ええ・・・坊ちゃん・・・貴方のお怒りは、御尤もです。しかし、私には、あの方法しか・・・」セバスチャンは、叱られた犬の様に、シュンとしていた。
 「契約を守れ!死ぬ筈だったのに・・・もう、一人ぼっちにするな・・・」シエルは、カバッと後ろを振り返り、セバスチャンに抱き付く。
 「坊ちゃん・・・」セバスチャンは、言葉が出なかった。
 ヒックヒックとシエルが泣いていたから・・・
 「申し訳ございません・・・坊ちゃん・・・」長い間、抱き付くだけの二人だった。
 「今更、謝ったって遅い!王妃が何で、お前を助けたかは、知らないが、契約が完了した訳ではないだろう?僕の魂、食べなかったんだからな・・・再度、誓え!二度と、僕の傍から離れないと・・・。一人で逝ったりしないと。死ぬなら、僕も一緒に連れて逝け!もう、一人になるのは、嫌なんだ・・・僕を一人にしないで・・・」最後は、子供っぽい願い・・・
 見た事のないシエルに心を掻きたてられる。
 「ええ・・・誓います。二度と、貴方を一人にしない・・・今度こそ、死ぬ時は、一緒です・・・地獄の果てまでも・・・これで、お許し頂けますか?ああ・・・涙で濡れても、貴方は美しいですね・・・」セバスチャンは、優しくシエルの涙をお湯で流し、隅々まで、綺麗に洗っていく。
 「ああっ・・・どこ・・・触って・・・」途端に上がる悩ましい声・・・
 セバスチャンは、シエルとの再契約の為に、シエルと身体を繋げる準備をし始めたのだ。
 「いや・・・こんな所で、コトに及べば、僕は逆上せるだろうが(・_・;)」シエルは、本気で慌てていた。
 「クスッ、マイ・ロード。本当に貴方は、お子様なんですから・・・」甘い雰囲気も何のその・・・シエルにはセバスチャンも叶わない。
 「では、寝室へ御案内致しましょう・・・」セバスチャンは、シエルをバスタオルで包み、足早に寝室へ向かう。自分にも、余裕などないのに、素知らぬ振りをしていただけ。
 ドサッとベッドに倒れ込み、お互いの唇を貪った。
 「んんっ・・・」シエルは、久しぶりのセバスチャンの濃厚な口付けに酔った。
 死の島で気を失い、今までセバスチャンと抱き合っていない。
 身体が熱くなるのが、自分で解るシエルだった。
 「フフ・・・こんなに溢れさせて・・・」セバスチャンは、シエルの幼い茎を触り、フニフニと弄ぶ。
 「やぁ・・・」シエルは、全身を薔薇色に染める。
 セバスチャンは、シエルの首筋に吸いつき、赤い花の様な跡を付けていく。
 「ああ・・・んっ・・・」シエルは、快楽に身を任せ、溺れていく。
 セバスチャンは、執拗に所有印を身体中に付けていく。
 離れた時間を埋める様に・・・
 「もう・・・早く・・・」「駄目ですよ、まだ、解してませんから・・・」早くと強請るシエルに、大人の余裕で接するセバスチャン。
 「いいから、僕も今は悪魔なんだろう・・・もう、待てない、壊れてもいいから・・・」シエルは、セバスチャンの首に抱き付き、全身を真っ赤に染めていた。
 「貴方って人は・・・知りませんよ、そんなこと言って・・・私がどれだけ我慢していたか・・・貴方は、知らない。もう、私は、自分を抑えて要られませんよ・・・殆ど、魔力の残っていない今、貴方から、魔力を返して頂かなければ、どんなに傷付いて直して差し上げれませんよ。それでも、宜しいのですか?」セバスチャンは、シエルを気遣う。
 「ああ・・・構わない。お前の仮死状態を見て、ショックだった・・・僕の為なのは、解るが、一人置いて逝こうとしたのは、許せない。償う気があるなら、抱いてくれ・・・」シエルの頬を涙が伝う。
 両親も自分を一人にして逝ってしまったのだ。
 一人生き残るのは、耐えられない。
 「では、いきますよ・・・」セバスチャンは、昂った自分のソレをシエルの、まだ、解していない蕾に宛がった。ズプッと、挿入された。
 「あああ・・・」シエルは、久しぶりの痛みに絶叫していた。
 「坊ちゃん、大丈夫ですか?」セバスチャンの心配そうな顔。
 「ああ、気にする・・・な・・・」痛みに耐えて、顔を顰めるシエル。
 グチュグチュ、淫らな水音が寝室に響く。
 シエルは、快感を感じ、射精していた。
 瞬間、内部で、セバスチャンの砲身を締め付け、搾り取る勢いで、蠢くシエルの熱い秘所。
 「ああ・・・くっ・・・シエル・・・」僅かに喘ぎ、セバスチャンは、シエルの内部で、果てていた。
 未だに、シエルの再奥まで、到達していないと言うのに・・・
 「坊ちゃん・・・貴方を・・・愛しています。シエル・・・」自身の胸でハァ、ハァと荒い息遣いのシエルを抱き締め、セバスチャンは、幸せを感じていた。
 「僕も・・・お前を愛している・・・セバスチャン・・・」シエルは、荒い息の中、自分から、セバスチャンに口付けた。
 セバスチャンは、シエルに魔力を与え、消滅する道を選択した。
 王妃リリスが、それを阻止したが、シエルが望まなければ、彼女は、手を貸さなかっただろう・・・
 リリスは、自分の望みを叶えてくれれば、代償は何も要らないと言った。
 セバスチャンは、自分に嘘を言わないのだから、信じられるが、リリスは悪魔だ。
 信じられる筈もない。
 どんな代償を払っても、シエルは一向に構わないのだが・・・
 「ああ・・・坊ちゃん・・・」セバスチャンは、未だに、自身をシエルの内部に収めたままだった。
 「ちょっ・・・もう、それ以上・・・」悪魔でない筈のセバスチャンのソレは、シエルの中で大きくなっているのだった。
 「駄目ですよ、一度や二度で、私が満足するとでも?今まで散々、お預けくらったんですからねっ、まだまだ、お付き合い願いますよ♥」「何がねっ、だ。自分から、離れたり、僕に魔力を移したり、お前が全部、悪いんじゃないか?僕を散々、弄んだくせに・・・」シエルは、膨れる。
 「ですから、そのお詫びに、極上の快楽を・・・」セバスチャンは、悪魔であろうが、なかろうが、自分の身体には、自信があるのだ。
 言葉と共に、律動を開始する。
 「はぁっ・・・んっ・・・」シエルは、再び、訪れた快楽に身体をくねらせ、喘ぐ。
 全身を薔薇色に染めたシエルは、美しい。
 「ああ・・・こんなに締め付けて・・・私にも、極上の快楽ですよ・・・素晴らしい肢体ですよ、貴方は。」
 追い込んでる筈のセバスチャンでさえ、シエルには、追い込まれてしまう。
 人間を騙し、誑かし、契約完了時、引き換えに魂を喰らう悪魔・・・魂など、食料に過ぎぬのに、シエルを愛したセバスチャンは、自分の命を掛けて、シエルの生の願った。
 魔界の女王、魔王の王妃であるリリスには、セバスチャンの命を繋ぐ事など容易い。
 シエルとの契約は、シエルのセバスチャンへの想いを確認したかっただけ・・・
 セバスチャンが、シエルを愛した様に、シエルもセバスチャンを愛したのか、知りたかっただけ・・・
 セバスチャンの熱い抱擁に翻弄され、シエルは快楽の波に流されていく。
 「くっ・・・坊ちゃん・・・もう・・・」セバスチャンももう、限界だった。
 「僕も・・・イク・・・セバスチャンも・・・僕の中で・・・」激しく揺さぶられ、身体は軋み、シエルも限界だった。身体がバラバラになりそうな感覚の中で、シエルは強請る。
 「何と可愛い方なのでしょう・・・貴方は・・・私も・・・もう・・・イキますよ、シエル」ドクンッ、セバスチャンは、シエルの再奥に、シエルは、抱き合って密着したお互いの身体に快楽の証を迸らせていた。
 疲れ切った二人は、繋がったまま、意識を手放した・・・
 二人が、意識を失った事を確認したリリスが、魔力で二人の身体をシーツで隠し、ガラガラとワゴンを引いてきた。
 シエルは、セバスチャンの魔力を移され、命を取り留めたが、完全な悪魔ではない。
 散々、抱き合って、セバスチャンに魔力が流れ込み、人間に戻るのは、後一息だった。
 この後も、情事は続けなければならない。
 体力を付ける為に、食事を摂らなければならない。
 リリスは、食事を用意し、二人に手を翳し、体力の回復を図る。
 強大な魔力を秘めたリリス・・・彼女がサタンから、離れた今、亡き者にしようとする暗殺者は、もうそこまで来ていた。
 二人が目を覚ます瞬間にリリスは、部屋を後にした。
 置き手紙を見て、繋がったままの身体を離した二人は、食事を摂る。
 シエルは、食べた事のある味を感じ、複雑な表情をした。
 食事を終え、シエルはセバスチャンに抱き上げられ、浴室に運ばれた。
 二人は、無言だったが、どうすればいいのかは、解っている二人だった。
 「ああっ・・・セバスチャン」浴室では、痴態が繰り広げられていた。
 セバスチャンを完全な悪魔に戻す為には、手っ取り早く、身体を繋げるのが一番なのだから・・・
 「坊ちゃん・・・坊ちゃん・・・シエル・・・」切ない表情のセバスチャン。
 二人は、お互いの名を呼び続けた。
 離れていた間の隙間を埋める様に・・・
 どんなに抱き合っても、中々、満足する事はない。
 一つに溶け合って、二度と離れる事がない様になるまでは・・・
 運命は、二人を引き離す事は出来なかったのだ・・・
悪魔で大人のセバスチャンと人間で子供なシエルを・・・
 結ばれるべきではなかったかも、知れぬ・・・運命の悪戯は、二人を引き合わせた。
 お互い、孤独な魂を持つ存在だったから・・・
 「シエル、私は貴方と出会った事に、後悔はしていません。貴方と出会って良かった。例え、同族と争う事になったとしても・・・」セバスチャンは、自分の覚悟を本音をシエルに伝える。
 「セバスチャン、僕もお前を選んだ事を後悔していない・・・一度、お前の魔力を受け継ぎ、悪魔になった以上、完全に人間には、もう、戻れないのだろう?それでも、構わない。お前と、共に生きていけるなら・・・」シエルも自分の本音を暴露する。
 セバスチャンを失うくらいなら、自分が死んだ方がマシなのだから・・・
 種族を越え、愛し合った二人には、怖いモノなどないのだ。
 お互いを失う以外には・・・
 
 
黒ミサNO.2
 少女は、取り敢えず、セバスチャンの命を繋ぎ止める為、魔力を込めた自分の血をシエルの口に含ませた。
 少女は、自分の右の手首を喰い破り、流れる血をシエルに差し出したのだ。
 シエルは、甘い血とスイーツの様な甘い芳香を放つ、少女の香りに酔いそうだった。
 セバスチャンの唇に喰らいつき、少女の血を一滴残らず、口に流し込む。
 ダラダラとセバスチャンの口から流れ出す血・・・
 シエルは、絶望を感じていた。
 「心配せずとも良い。私の血は、只、セバスチャンの魂が、身体から離れるのを留める為のモノ・・・必ず、そなたとの契約は叶えてやろう・・・だが、解っているな?」少女の声は、壮絶な恐ろしく威厳のあるモノへと変わっていた。
 地の底から、頭の中に響く様な威厳に満ちた声・・・
 「ああ・・・僕は、お前との契約を破らない・・・それで、セバスチャンが助かると言うなら・・・」シエルは、血で汚れたセバスチャンの口をハンカチで拭いていた。
 涙が溢れていた。
 自分を翻弄していた、目の前の男の血の気のない青白い顔・・・
 「フフ・・この男をここまで虜にしたそなたは、流石は、ファントムハイヴの血を受け継ぐ者なのだな・・・悪魔が、契約者を助ける為に、自分の命を投げ出すなど、初めての事だ・・・さぁ、行くぞ。儀式の場へ・・・」シエルは、セバスチャンから離れ、立ち上がった。
 少女は、手首の血を舐め取りながら、左手を上げると、フワッとセバスチャンの身体が浮き上がる。
 少女が、普通の悪魔でない事に改めて気付いたシエルは、旋律を覚えた。
 一歩、踏み出しただけで、景色が変わり、地下室の様に暗いが、広大な空間に辿り着いた。
 シエルの思い出したくない、黒ミサの祭壇が目の前に広がった。
 セバスチャンの身体は、自分が生贄になった時に、寝かされた台の上に乗せられていた。
 「さぁ、儀式の為の血を用意するまでに、セバスチャンを全裸にして、これを掛けよ。終わったら、そなたもこれを・・・」少女が渡したのは、黒いロープ・・・黒ミサの時、シエルを凌辱した者達がまとっていたマントの様な物・・・
 シエルの身体が竦むのを感じた少女だが「早くせねば、間に合わぬ。」少女の言葉に、シエルは意を決した。
 自分の命は、セバスチャンに二度助けられたのだ。
 今度は、自分がセバスチャンを助けるのだ。
 服のボタンを外した事などないシエルだったが、一時的に悪魔になったせいか、素早くセバスチャンを全裸にし、大事な所を隠す様に渡されたシーツの様な物を掛けた。
 自分は、ロープを着ようとしたら「そなたも全裸だ。」振りかえった少女も、全裸に黒いロープでシエルは真っ赤だった。
 少女は呪文を唱えると、自分の両手首をナイフで切り裂き、セバスチャンの身体に血を浴びせた。
 「我らが王サタンよ、貴方の力を用い、悪魔セバスチャン・ミカエリスの命を魂を呼び戻し給え!」少女の声に応える様に血は、見る間にセバスチャンの身体にスウっと吸い込まれて消えた。
 何度も同じ行為を繰り返す。
 血が吸い込まれなくなった時「さぁ、シエル、この血をセバスチャンの口から飲ませよ。」ズラッとセバスチャンの頭の上に並べられたワイングラス。
 シエルは、その血を口に含み、セバスチャンに何度も、何杯も飲ませていた。
 一向に、セバスチャンが目覚める兆候がなかった。
 シエルは泣きながら、口付けを繰り返す。
 何度目かの行為の時、逆に力強い舌に絡め取られ、唇を離せない。
 「んんっ・・・うっ・・・」苦しげなシエルの声・・・
 やっと唇を離し、目の前の男を睨みつける・・・
 「セバスチャン!」紅い目を輝かせた悪魔・・・セバスチャン
 「ああ・・・坊ちゃんここは天国ですか?貴方から、キスして頂けるなんて・・・」事態の空気も読まず、再び、シエルの唇に喰らいつく・・・
 「馬鹿・・・んんっ」シエルは、何も言えなかった。
 愛しい悪魔が目の前にいるのだ。
 周りの事など、気にならない。
 「いつまでくっついている?まだ左腕は、くっつけたばかりじゃ、無理をするな!」少女の声で、我に還るシエル。
 「これはこれは、私の命を繋ぎとめて下さったのですか?ありがとうございました。でも、はっきり申し上げましてお邪魔虫ですよ。」セバスチャンは、少女がくっつけた左腕も使い、シエルの身体を抱き締めた。
 「離せ!親愛なる女王、魔界の王妃リリス様、ありがとうございました。このご恩は、忘れません。」シエルは、セバスチャンの腕から逃れ、英国の女王の前でする時の様に跪き、礼をとった。
 「フフ・・・私の名に気付くとは・・・折角助けたのだ。セバスチャンと仲良くやるように・・・」リリスは、微笑んだ。
 リリスは、シエルの気付かぬ間に、セバスチャンの左腕の再生をしていたのだった。
 「さぁ、血で汚れた身体をフロで清めよ。」リリスが言うと、広い空間の大浴場に二人はいた。
 「坊ちゃん・・・」セバスチャンは、茫然とするシエルを引き摺り、浴室に身体を浸からせていた。
 シエルの機嫌が、すこぶる悪い事には、気付いていたが、敢えて無視する。
 手の平でシエルの肌を撫で、血を洗い流す。
 
 
 
 
「黒ミサ」NO.1
 「では、坊ちゃん」紅い目のセバスチャンは、シエルに近付き、唇を重ねる。
 シエルがビクンとして、セバスチャンの肩を掴んだ手が、パタリと落ちる。
 「これで、契約完了です」シエルに告げるセバスチャンの顔色は、心なしか、青ざめていた。
 感傷に浸っている訳ではない。
 「坊ちゃん、出来れば、いつまでも、貴方のお傍にいたかった・・・私がいなくても、悪魔になった貴方なら、一人で生きていけますね。愛しています。もっと早く自分の気持ちに素直になれば、良かった。」その言葉を最後に、セバスチャンは、シエルの隣に座り、残った右腕をシエルの肩に回し、二度と目覚めぬ、永遠の眠りにつこうとしていた。
 シエルが目覚め、自分の最後を確認したら、暫くして、チリとなって消滅するまでの魔力は、残したまま・・・
 静かな時が流れ、セバスチャンの顔には、穏やかな笑顔が刻まれた。
 「んっ」シエルは、目覚め、自分を包む腕に気付く。
 執事の時には、見せぬ悪魔の黒い爪・・・
 情事の時、自分を翻弄する長い爪の先の艶やかな爪は、いつもよりくすんで見えた。
 (どうしてセバスチャンが・・・)シエルは、自分を包んだまま、ピクリとも動かない悪魔に驚く・・・
 「何故?僕は、生きてるんだ!」シエルは、混乱していた。
 アッシュを殺し、復讐を遂げ、セバスチャンに魂を差し出した筈・・・
 「セバスチャン、離せ!何でお前は、起きないんだ・・・セバスチャン!」シエルは異常事態に取り乱し、叫んでいた。
 「煩い!騒ぐな!」凛とした少女の声・・・
 シエルの亡骸を狙っていた鴉が、シエルの前に舞い降りた瞬間、黒いドレスの少女になった・・・
 「汝、シエル・ファントムハイヴに問う?セバスチャン・ミカエリスは仮死状態にある。お前に魔力を注ぎ込んで・・・しかし、今なら、魂を呼び戻す事は可能・・・どうじゃ?私と、契約するか?」少女は、取引を持ちかけた。
 「セバスチャンが・・・僕を置いて一人で・・・許さない、僕との契約を守らないなどと・・・いいだろう、悪魔、お前と契約してやろう!必ず、セバスチャンを生き返らせろ!」シエルは、セバスチャンが一人で逝こうとした事に怒り、目の前の少女が何者かなど、気にしてはいなかった。
 少女とは言え、女の悪魔の中でも、一番残酷で冷酷な悪魔・・・最高位にある少女・・・
 「ハハハさすがにセバスチャンの主だった契約者、私が誰でも構わぬのか?気に入った。そなたが私の願いを叶えてくれたら、魂など要らぬ。セバスチャンの為にも、お前には、生きていて貰わねば・・・良いか」少女はシエルの耳元で、願いを言った。「なっ・・・そんな・・・」シエルは、顔を真っ赤にして、うろたえた。
 「嫌か?ならば、我は、手を引く。暫くすれば、セバスチャンの身体は、チリとなって消え逝く運命・・・そうなれば如何に私の魔力でも、二度と生き返らす事など、叶わぬ、それでも良いと?」少女は、長い前髪で目を完全に隠し、表情を見る事は出来ない。「わかった・・・お前の望み叶えてやろう・・・しかし、セバスチャンが拒絶したら、どうするんだ・・・」シエルは、羞恥に未だ、赤い顔で、熱い身体を持て余していた。
 隣にいるセバスチャンの身体が、どんどん冷たくなるのを感じて・・・
 「よかろう、約束通り、セバスチャンを助けてやろう・・・この血をセバスチャンに口移して、飲ませろ!既に時間がたっているが、未だ完全には、死んでいない筈、さぁ」シエルは、女の指示に従った。