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「光と影」拍手お礼小説
 PCケータイHPに載せていましたが、こちらに移動しました(>_<)
 眠い・・・もう更新しますね(>_<)


拍手お礼小説 「光と影」
________________________________________
 携帯ブログ用なのですが、PC で、載らないみたいですので、ここで載せていこうと思います。
 連載中ですので、少しずつ載せていきます。
     「光と影」
 セバスチャンはシエルにナイティを着せていた。
 「今夜はお疲れでしょう、お休みなさいませ」抑揚のない声でセバスチャンが言う。
 本当はイライラさせられたし、あの天使に鞭打たれたから、シエルに慰めて貰いたいくらいだった
2
________________________________________
 忠告したのに、この手で劉を殺さなければ、ならなかった。
 「命令」の一言で・・・
 いつか、シエルに手を出すかも知れず、手間が省けたが。
 下がろうとすると、シエルに呼び止められた。
 「待て、セバスチャン。ベッドに上がれ。」と・・・
 「しかし、今日は色々ありましたから」シエルの意図が解らず、セバスチャンは狼狽した。
 シエルはセバスチャンの手を引く。
 バタッとうつ伏せで、ベッドに倒れたセバスチャン。
 シエルもイライラしていた。
3
________________________________________
 劉に裏切られたショックは大きい。
 酷く抱かれてもいいから、疲れて眠りたかったのに、セバスチャンはシエルを避けていると想わせる行動を取ったから。
 「どうなさったのです?坊ちゃんらしくもない?」セバスチャンはシエルの行動に怒りさえ感じ始めた。
 「僕らしいって何だ?いいから、慰めろ!」シエルは敢えて、命令とは言わなかった。
 「御意、ですが、今日は手加減致しませんよ、それでも、宜しいのですか?」セバスチャンの目は赤く輝き、舌舐めずりして、獲物を喰らうのを待ち望んだ。
4
________________________________________
 唇を貪り喰らう様に、激しく口付ける。
 シエルはセバスチャンの怒りを感じていた。
 しかし、アパーラインを犠牲にした、セバスチャンの行動にシエルも怒りをあらわにする。
 「つうっ・・・」セバスチャンの唇からは、血が滴り落ちた。
 「服を脱げ!」シエルの言葉にセバスチャンは従わなかった。
 シエルは、怒りの為、シャツに手を掛け、引き裂いた。
 ツツッとシエルの手が、セバスチャンの肌を撫でた。
 急に爪を立てれば、血が滲む。
 「うっ」セバスチャンの呻き声が、寝室に響く。
5
________________________________________
「何故、殺さなかった?」シエルは知っていたのだ。
 アンジェラがセバスチャンを鞭打っていた事を。
 「何故、坊ちゃんその事を」
 「あいつが、言っていた・・・お前の身体は最高だと」セバスチャンは言葉を失っていた。
 (あの女!)シエルの嫉妬なのだ、この行為は・・・
 何をどうシエルに伝えたのだろう?
 いかに、セバスチャンと言えど、シエルの心の闇は覗けない。
 セバスチャンは悪魔だ。
 享楽に弱いのだ。
6
________________________________________
ただし、自分の身体は、女を誑かすだけの道具としてしか、思っていなかった。
 だから、シエルを抱いて、快楽に溺れるとは、夢にも思わなかった。
 修道女を抱いては、いなかった。
 しかし、一緒にいたグレルも、勘違いする程の、悩ましげな声で、マチルダを誑かしていたのも、事実だった。
 もう、セバスチャンはシエル以外の人間に、反応する事はないのに・・・
 シエルは泣いていた。
7
________________________________________
 「坊ちゃん?」セバスチャンは、訳が解らず、戸惑う。
 シエルの涙はコトの最中以外、見た事がなかったからだ。
 マダム・レッドの死を前にしても・・・
 「何故、天使を殺さなかった・・・」それしか、シエルは言わなかった。
 「命令は、抵抗するな、でしたので」いつもの返答をするセバスチャン。
 シエルは、セバスチャンに、平手打ちをした。
 「勝手な事をして、どの口がほざく!お前に身体を使えと命じていない!」修道女と何かあったと、思い込んでいるのだ。
8
________________________________________
 「女王の番犬たる坊ちゃんが、その程度の事で、うろたえて、どうします?どんな手段でも使う、そうおっしゃったではないですか?貴方も大人になったら、ご自分の身体を、お使いになられるのですよ?」セバスチャンの言葉は、矛盾していた。
 シエルは大人になれない。
 その前に復讐を終え、魂はセバスチャンに、喰われるのだから。
 しかし、復讐すべき相手が見つからなければ、何れ大人になり、情報を得る為に、誰かと肉体関係を持つのだ。
9
________________________________________
 過去を思い出す行為だが、セバスチャンに抱かれる様になって、快楽に溺れた。
 悪魔に、身も心も奪われてしまった。
 人成らざる者に縋りつく、浅ましい自分。
 セバスチャンがどんな女を抱いても、仕方ない筈だ。
 自分は女ではない。
 まして、子供でしかない。
 セバスチャンに快楽を与える事など、出来ないから。
 シエルは、知らない。セバスチャンも、シエルの虜になってしまった事を・・・
10
________________________________________
シエルの肢体に溺れ、最高の快楽を味わった今では、どんな美人も抱けないのだから。
 反応しないのだ。
 シエル以外の魂を喰えぬのなら、交わって、精気を補給しなければならないのに。
 「嗚呼、マイ・ロード、私には貴方だけ。他に欲しいモノはありません。触れても宜しいでしょうか?」
 「今更、何を言う?僕の全てはお前のモノだろう?記憶を塗り替える為に、快楽を教えたのは、お前だろうが、責任を取れ!」シエルはセバスチャンに抱きつく。
11
________________________________________
 「御意。」セバスチャンは、一言、告げ、荒々しく唇を奪う。
 自分達には、言葉などいらぬ。
 ピチャピチャと艶めかしい音が、寝室に響く。
 セバスチャンに口内を蹂躙され、シエルは頭がぼうっとしていた。このまま、喰われても、構わないとさえ思う。
 シエルは疲れきっていた。
 女王の番犬であり続けるには、罪を犯した者を罰せねばならぬ。アバーラインの様に、巻き込まれて、死ぬ人も出るだろう。
 それが、嫌だった。
 犠牲になるのは、自分だけでいい・・・
12
________________________________________
 「怒ってらっしゃるのですか?私の行動を」シエルを抱いて、セバスチャンが聞いてきた。
 「ああ、犬のくせに勝手な事ばかりして・・・自分の判断で、行動するなと言った筈だ。あっ・・・どこ触って・・・」セバスチャンはシエルの可愛らしい自身を握っていた。
 「触らなければ、先に進めませんよ。ふふっ・・・もう、こんなに蜜を溢れさせて・・・素直におなりなさい。」何度抱いても、シエルは穢れない。
 闇に落とし、何度シエルの最奥に射精して、悪魔の所有の証を刻んでも、魂は輝きを失わない。      続く
13
________________________________________
どんなに抱いても穢れない、気高き我が主・・・セバスチャンはシエルに仕えたのを誇りに思う。
 シエルでなければ、契約を完了し、とっくに魂を喰らっていた。
 今まで、一年も共にいた主など、存在しない。
 こんな子供に跪き、命令に逆らう事のない自分が信じられぬセバスチャンだった。
 「ああ・・んっ・・・もう、セバスチャ・・・」シエルの声が艶めいて、セバスチャン自身を煽って行く。
 「貴方は快楽、享楽に貪欲なんですから・・・私がいなくなったら、どうするんです?気高い貴方の事だから、何方かに、おねだりできないのでしょうね?もう、劉様もいらっしゃらないのですよ?嗚呼・・・まだ、葬儀屋がいらっしゃいますか?あの方におねだりなさいますか?」セバスチャンはシエル自身を弄びながら、意地悪を言う。
 「馬鹿、お前は契約によって縛られるんだろう?僕がお前のモノである様に、お前は僕のモノだ・・・下らん事言ってないで、さっさとしろ!僕の機嫌を損ねたら、待ちぼうけくらうんだぞ・・・」強がりしか言えないシエルだった。
 「その言葉、後悔なさいません様に」そこには、悪魔の目のセバスチャンがいた。
14
________________________________________
パクリとセバスチャンは、シエル自身を口に含む。
 「やぁっ・・・セバス・・・」急に訪れた快感に、シエルは呆気なく、セバスチャンの口内で、欲望の蜜を放つ。
 「美味しかったですよ、シエル・・・」セバスチャンはいやらしく、赤い舌を覗かせ、シエルの欲情を煽る。
 「もう・・・馬鹿・・・」シエルはセバスチャンの舌に誘われる様に、唇を重ねていった。ピチャピチャと艶めかしい音が、部屋の中に響く。
 シエルの目は、潤み、トロンとしていた。
 それだけで、セバスチャンの背筋をゾクゾクさせる。
 (どれだけ、悩ましいんですか、貴方は・・・悪魔の私を煽るなんて・・・)セバスチャンは心の底から、シエルを欲していた。
 初めて、肌を合わせたのは、契約の日・・・
 死にゆくシエルの魂を繋ぎ止める為に、自分の魔力を注ぐ必要があったからだ。
 その日は、何の感情も持たなかった。
 セバスチャンは男を抱いた事はなかったからだ。
15
________________________________________
 「フフ・・・貴方はとんでもないお方ですよ。こんなに悪魔の私を虜にするなど・・まぁ・・・いいでしょう。今夜は私も、加減致しませんからね、覚悟して下さいね。」セバスチャンも、我慢の限界だった。
 天使に好い様に嬲られ、自ら盾になり、シエルを守った刑事の為に、シエルに平手打ちを食らった身だ。
 自分の気が済むまで、シエルを抱かなければ、気が晴れないのだ。
 シエルの足を持ち上げ、カバっと足を開かせる。
 「馬鹿、そんなに広げるな 恥ずかしいだろうが・・・」シエルは何度、経験しても、自分の秘所をセバスチャンの眼前に晒すのは、耐えられない。
 慣れないシエルに初々しさを感じつつも、セバスチャンは、無言で蕾に舌を這わす。
 早く、挿入しなければならない程、スラックスの前は、張り詰めていたのだ。
 「そんなトコ、舐めるな・・・はぁ・・んっ」シエルの喘ぎ声は、益々、セバスチャンを煽り、焦燥感に囚われるセバスチャン。
 シエルの蕾の中では、セバスチャンの舌が、縦横無尽に蠢き、シエルの体内に己を挿入すべく、準備を整える。
16
________________________________________
「もういいから・・・早く・・・」シエルも煽られ、欲望のままに、セバスチャンを求めていた。
 「まだ、駄目・・・ですよ・・・痛いのは、御嫌でしょう・・・」セバスチャン自身も余裕がないのだが、まだ、固いシエルの蕾に挿入すれば、裂けてしまう。
 悪魔の癖に、シエルに対しては、甘いセバスチャンだった。
 三年かけて、ファントムハイヴの当主に相応しくシエルを教育したのだ。
 今更、手放す事など、出来はしない。
 甘過ぎても、ベッドの中だけ・・・
 人前で、必要以上の接触はしないのだ。
 仲が悪いと勘違いされる程、お互いに関心がない素振りさえ、してきた二人だ。
 その分、お互いの身体を求め出すとキリがない。
 「はぁっ・・・だいぶ解れてきましたよ・・いいですか?坊ちゃん・・・」イチイチ確認をとるセバスチャンにシエルは苛立つ。
 「さっさとしろ!いいって言ってるのに・・・」散々、焦らされた身体は、熱くて、シエルの思考回路は定まらない。
17
________________________________________
「ああっ・・・」イキナリ、シエルの秘所にセバスチャンの熱くて、硬い、欲望の塊が挿入された。
 「うっ・・・シエル・・・そんなに締めたら・・・」久し振りに身体を重ねるのだ。
 セバスチャンにも余裕などない。
 悪魔だから、何とか耐え、シエルを快楽に導く為、腰を動かす。
 「もう、イク・・・」シエルは快楽の縁に導かれ、射精していた。
 シエルに覆い被さっていたセバスチャンの身体をシエルの精液が穢す。
 青白く、血の気のない様なセバスチャンは、ほんのりと身体を赤らめていた。
 「ああっ・・・こんなにキツク・・・もう私もイキます・・・」セバスチャンもシエルの最奥に激しく、欲望を迸らせていた。
 はぁはぁ・・・と荒く息を付き、美しい男が、自分の傍にいる・・・
 シエルはそれが、幸せだと想う。
 セバスチャンは悪魔だが、絶対に自分に嘘をつかない・・・絶対に一人置いて、死んでしまう事もない。
 シエルの目に知らず、涙が溢れた。
18
________________________________________
「坊ちゃん、痛かったんですか?こんなに涙を溢れさせて・・・」セバスチャンは、いつになく、優しい口調で言う。
 「いや、違う・・・嬉しいんだ・・・こんな穢れきった僕でも、人間に絶望した僕でも、お前の腕の中では、本音を出せるから・・・こんな弱い僕は、お前の望む魂でないだろうな・・・お前が飽きたなら、このまま、魂を喰らって、僕を殺してくれても構わない。早いか遅いか、どうせ、僕はお前に喰われて、僕でなくなるのだから・・・」シエルは、セバスチャンの望む高貴なままの魂でありたかった。
 しかし、劉に裏切られたのは、マダム・レッドに裏切られていた傷を思い起こした。
 自分の駒が、思い通りにならない、苛立ち・・・
 大人ぶっても、まだ、13歳のシエルには、傷口を抉られる程の痛みなのだ。
 流した涙は、セバスチャンへの感謝の意味も含まれているのは、シエルは気付かない。セバスチャンは、抱き締めると、背中をポンポンと軽く叩き、宥める様な仕草をみせた。
 「フフ・・・私が貴方に飽きる事はありませんよ。劉様の裏切りの始末はもう、終わった事ですよ。御辛いお気持ちお察し致しております。」執事として言う。
19
________________________________________
「今日は、やけに優しいんじゃないか?怒っているだろうから、もっと手酷く抱くかと思った・・・」シエルは、セバスチャンが不思議だった。
 アパーラインが盾にならなければ、自分は命を落としていたかも知れなかった。
 失態だと、セバスチャンを平手打ちしたのだ。
 いかに、プライドが高いからと言って、今まで、悪魔を殴って、無事でいられた人間が存在するのか・・・
 否、生きていたと言う事実は皆無だろう。
 「はぁっ、坊ちゃんは私が悪魔だから、貴方を簡単に殺すと御思いなのですか?それでしたら、貴方は何度、死んでいた事でしょうね・・・私を其処ら辺にいる悪魔と一緒にしないで頂けますか?そんなに気マグレな存在ではありませんから、ご安心くださいね。」セバスチャンの頬笑みが怖い・・・
 「フフ・・・お前は嘘をつかない。だから、契約して良かったと想う。他の悪魔だったら、僕は、更なる絶望に落とされていただろう。しかし、よく僕みたいな子供に仕えて、我儘聞いて、よく疲れたりしないな?そっちの方は、お前の心情が理解出来ない。」シエルの言葉にセバスチャンはガックリと肩を落とす。
20
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 「貴方がそれを言いますか?我儘言ってる自覚があるなら、もっと素直になって下さると、ありがたいのですが・・・」セバスチャンはそれ以上言葉が出ない。
 (嗚呼・・・こんな子供に好い様に操られてるなんて・・・私は、どうなってしまったんでしょうね・・・)セバスチャンは自分が信じられなかった。
 確かに、シエルは魂だけでなく、外面も美しい。
 悪魔なら、誰だって、身体まで自分のモノにしようとする。
 セバスチャンの行為は、間違ってはいない。
 しかし、天使に攫われ、自分の過去を塗り替え、浄化しようとした天使に逆らったのは、目の前の脆弱な主なのだ。
 シエルの魂は、自分が喰らうに相応しい高貴で、極上な魂なのだ。
 快楽に貪欲な悪魔の自分でも、孤高な魂を持つシエルを只、殺す事など出来はしない。セバスチャンの中では、契約を果たした後のシエルの処遇は、とっくに決まっている。只、真実から目を背けたいだけなのだ。
 殺せない・・・共に生きて行きたいなどと言う感情は、悪魔にはないからだ。
 そこまでシエルを愛した事実に気付かぬセバスチャンだった。
21
________________________________________
 只、抱くだけでは、収まらない程の熱い想い・・・セバスチャンはその理由に気付かなかった。
 否、認めたくなかったのだ。
 たかが人間に、13歳の子供に、しかも、男の子を愛したなどと・・・
 悪魔には、性別など関係ない。同性でも禁忌ではないからだ。
 子供を産ませたいなら、性別を変える事など、造作もない事・・・悪魔は万能ではないが、その程度なら、下級悪魔でも可能だ。
 尤も、セバスチャンは高位の悪魔で、滅多に下級悪魔が、ちょっかい出そうなどとは、恐れ多く、命掛けなので、長く人間界にいても、同族に会う事さえ、殆どない。
 自分で悩み、悶々とする日々・・・
 しかし、長く人間と暮せば、自然と人間らしくなってくる。
 シエルが大切で堪らない気持ちに気付いて、驚愕する自分がいる。
 シエルに対する怒りは、頬を打たれた事ではない。
 いずれ、自分のモノになると言いながら、アパーラインと行動を共にし、自分を呼ばなかった事・・・
 その為、天使に拷問され、屈辱を味わったからだった。
22
________________________________________
 自分に厄介な犬をおしつけ、シエルを攫った憎むべき天使に・・・
 自分がいない間、アパーラインと何をしていたのか・・・いくら悪魔だとて、全ての真実が見える訳ではない。
 その為、シエルの心を傷つけたのは、自分なのだ。
 修道女を抱いてはいない。
 自分自身を遣わずとも、耳元で甘い声で囁き、激しく指で、性感帯を突いただけなのだ。まるで、本当に抱いたかの様に、納屋が揺れる程に激しく抜き差ししただけ・・・
 「坊ちゃん、何故そんなに泣いていらっしゃるんですか・・・?それ程に、私を御嫌いですか?私が悪魔だから、アパーラインさんを犠牲にしたからですか?」セバスチャンはシエルの涙は、情事の最中、快楽の為、流すだけだと認識していた。
 それ故、今、泣いているのは、自分を非難している様で、胸が締め付けられた。
 「違う・・・あいつ等は、僕の忠告を聞かずに、逆らった。死んでしまっても、自業自得だ。僕は、今、嬉しいんだ。一番欲しかったモノを手に入れた気分になれて・・・僕は二度と一人になりたくない・・・お前は、僕の死を看取ってくれるんだろう?復讐を遂げた暁に・・・」シエルの望みは、結局、死ぬ事なのだ。
23
________________________________________
「ええ・・・マイ・ロード・・・」セバスチャンはシエルの本音を知り、愕然とした。
 自分の手を取ったのは、結局、自分で死ねぬから、殺してくれと言う事なのかと。
 魂を差し出し、復讐を誓ったシエルに満足していたし、深く考えた事はなかった。
 しかし、この主も自分を置いて逝く存在・・・嗚呼・・・私が悪魔だから・・・
 セバスチャンの心に冷たい風が吹く・・・
 どうすれば良いか解らぬ喪失感・・・
 悪魔で執事のセバスチャン・・・主の命令があるから、らしく・・・只、人間らしくしただけ・・・
 心が冷えていく気がする・・・
 「どうした、セバスチャン?」いつもと違う表情のセバスチャンに、シエルが気付く・・・(嗚呼・・・こんな私でも、坊ちゃんは見てくれているのだ。)
 「坊ちゃん・・・坊ちゃん・・・」シエルに抱きつき、囁くセバスチャン・・・
 相変わらず、シエルの涙は止まらない・・・
 「どうした、本当に今日のお前は変だ・・・」
 シエルは呆れ顔である。
24
________________________________________
 「只、私も疲れただけですよ・・・まさか、劉様が貴方を裏切る等と・・・」セバスチャンは信じられなかった。
 マダム・レッドがシエルを裏切り、グレルに殺されたのは、周知の事実・・・誰よりも、劉は、シエルとマダムの近くにいた存在だったのだ。
 知らなかったでは、済まされぬ裏切り行為・・・シエルは裏社会に君臨する王として、劉に制裁を与えただけ・・・
 しかし、自分の駒は、殆ど、シエルには残っていない・・・
 幽閉されたシエルは見放されたのだから・・・
 (嗚呼・・・この方は何処までも孤独であられる・・・最早、私しか、駒は残されていない・・・ならば、私は全てを捧げ、主の為の剣にも、盾にもなろう・・・例え、この身は滅びても、心はこの方に囚われたままで・・・)シエルが死を望むなら、最後まで、傍にいよう。セバスチャンの素直な想い・・・
 「まだ、泣いてらっしゃるんですか?この涙は劉様の為?それとも、貴方の身代わりになったアバーラインさんの為?妬けますね・・・」セバスチャンの本音だろうが、シエルには、嫌味にしか聞こえない。
25
________________________________________
「どうだっていいだろう、お前には関係ない話なんだから・・・僕の涙なんか見たくないからって、嫌味ばかり言うな!どうせ、お前とは契約だけだろう・・・僕を優しく抱く手も、この唇も皆、僕が命じた言い付けを守る為だけのモノ・・・お前自身の望みではない。さぞ、滑稽だろう。女を誑かすだけの美しいお前の顔・・・全部紛い物・・・お前の存在は、僕との契約を執行する為の手段でしかないんだから・・・」何故だか、今日のシエルは素直になれない。
 セバスチャンの怒りを買うには、充分な罵倒だった・・・
 「うわっ・・・」いきなり、乱暴にシエルの手首を掴み、自分から逃れられない様にベッドに押し倒す。
 悪魔の目に変わるセバスチャン・・・
 ピジョンブラッドと評される禍々しい、深紅の瞳を輝かせ、喜々としてシエルに覆い被さる。
 いつもと違うセバスチャンに、シエルは怯えを隠せない。
 「もう、止め・・・嫌だ、セバスチャン」明確なシエルの拒絶に、セバスチャンは理性を失う。「こんなに愛しているのに・・・」本音を漏らすセバスチャン・・・
26
________________________________________
「愛しているだと・・・嘘を付くな!僕を今まで抱いた人間と一緒にするな・・・馬鹿にするな。お前なんか、僕の事など、只の餌だとしか、認識してないくせに・・・そんな優しげな顔で、僕を誑かすな・・・」ヒックヒックとシエルは声を上げて泣き出していた。
 (嗚呼・・・そんな顔をさせたい訳じゃないのに・・・)セバスチャンは自分の言葉を信じないシエルに遣る瀬無い気分にさせられる。
 「どう言えば、貴方は信じて下さるんです?何度も言ってますよ、貴方を愛していると・・・確かに人間等、餌でしかない・・・でも、貴方は違う・・・悪魔の私が、貴方を愛した方が、寧ろ、滑稽でしょう。貴方を失いたくないのに、貴方は私を置いて逝く・・・それが、本当の望みなんでしょう・・・」セバスチャンは今にも泣きそうな顔だった。
 「だって、契約だろう・・・お前は飢えたままでいいのか?僕は困る。今まで、ロクに代償らしい物を与えていないのに、よく働いてくれたお前に何も返せないなんて・・・僕はもう、嫌なんだ。大切な何かを失うなんて・・・僕は僕でなくなるのが、望みなんだ・・・卑怯かも知れないが・・・」セバスチャンの言いたい事は解るのだ。
27
________________________________________
  只、シエルには失った物が多すぎたのだ。
 心の闇が大きくて、押しつぶされそうな三年・・・そんなシエルを見つめ、今のシエルを作り上げたのは、セバスチャンなのだ。
 だからこそ、誰よりも近くて、遠い存在・・・
 悪魔と人間だから・・・
 シエルが無様になるのは、セバスチャンには、許せない。
 しかし、愛してしまったと自覚してからは、シエルに甘いセバスチャンだった。
 そんなセバスチャンの微妙な変化に気付いていたシエルだが、手放しでは喜べない。
 悪魔の感情などシエルには、理解出来ないからだ。
 愛されてるなどと、子供のシエルには、理解出来ない。
 只、悪魔は享楽に貪欲だと何かの本で読んだ知識しかない。
 肉欲だけで、自分を抱いているだけだろうと・・・
 すれ違いなのだ、大人と子供・・・悪魔と人間・・・所有者と獲物でしかない自分とセバスチャンとの関係だから・・・
 執事などした事のないセバスチャンには、シエルの心は開けなかった。 
28
________________________________________
「私が悪いのですよ、もっと貴方を大事にしないから・・・申し訳ございません・・・人間を愛したのは、初めてで・・・いいえ、今まで、誰も愛せなかった・・・どこか冷めてて、悪魔だから、貴方に侮られるのが、悔しくて・・・もっと言葉にすれば、貴方はこうはならなかったでしょうか・・・」セバスチャンは自重気味に言う。
 「フフ・・・お前らしくない。でも、面白い・・・僕は僕だ。あの絶望の中、お前が救ってくれなければ、僕は死んでいたんだ。僕は自分の意志で契約した。片目を代償にしようが、お前と言う力が欲しかった。気に病むな・・・僕は死にたいんだ・・・自分でも気付けなかったが、復讐を終えたら、生きるつもりなどない。奴らと同じ、人を殺める立場の僕が幸せにはなれない。だから、エリザベスと決別するんだ。お前が僕の魂に有り付ける日はいつか解らないが、そんなに遠い日ではなさそうだ・・・それまで精々僕に仕え、僕を喜ばせろ。もう、こい!焦らすな、奴らに弄ばれたのに、お前との行為は、何故か嫌じゃない・・・」シエルは真っ赤な顔でセバスチャンにしがみつく。
29
________________________________________
「嗚呼・・・貴方は不思議な方ですね、悪魔の私でも宜しいのですか?後悔なされても、知りませんよ。もう、私は自分を抑えれません。貴方を愛してる。」セバスチャンも自分に素直になる事にした。
 シエルの唇に吸いつく。
 チュッ、チュルッ部屋に響く、卑猥な音。
 もう、シエルには何も考えれなかった。
 自分は人間に見捨てられ、悪魔に救われたのだから。
 セバスチャンが気まぐれを起こし、契約を破らない限りは。
 はぁ、はぁと喘ぐシエル。
 頭はボウっとして、セバスチャンの愛撫に身を任せる。
 自分のやって来た事は何だったんだろう・・・女王の為に、悪魔のセバスチャンを扱き使い、挙句はセバスチャンを身代わりにして、天使に拷問させただけなんて・・・
 益々、涙は溢れる。
 「坊ちゃん、御辛いのでしたら、言って下さいね、自分を抑えれませんので。」セバスチャンはシエルに優しい。

30
________________________________________
「辛いわけじゃない・・・自分に素直になる事がこんなに難しいとは、思わなかっただけだ。気にするな、セバスチャン。」シエルは恥ずかしげに言う。
 「フフ・・・本当に貴方は私を退屈させて下さらない。いつでも、私を驚かせる行動をされる。嬉しいですよ、坊ちゃん。」セバスチャンの指がシエルの秘部に触れた。
 「ああ・・・んっ」甘ったるいシエルの声・・・
 先ほどまで、散々、セバスチャンに蹂躙されていたソコは、貪欲にセバスチャンの指を締め付け、奥へと誘う。
 「もう、充分ですね・・・」セバスチャンはシエルと繋がりたくて、身体が熱くなるのを感じていた。
 (嗚呼・・・悪魔の私が、こんな子供に惹かれるなんて・・・)
 魔界では、冷酷で残忍とされていた彼だった。
 今まで、喰らってきた人間の数は覚えていない。
 悪魔の中でも、彼を恐れる悪魔は沢山いる。
 上級か下級か、貴族か、只の悪魔かで、ランク分けされるのだ。
 弱肉強食、どこの世界も変わらない。
31
________________________________________
何故、こんな子供と契約したかなど、今となっては、どうでも良い事・・・
 セバスチャンは熱くなる身体を持て余し、シエルの蕾に己の昂りを押し当てた。
 「ああ・・くっセバス・・・」シエルの身体は、貪欲にセバスチャンを求め、激しく収縮を繰り返す。
 「くっ・・・坊ちゃ・・・そんな・・・に締めるともう・・・」セバスチャンはシエルに落とされる錯覚に陥っていた。
 「あああ・・・」シエルは甲高い喘ぎ声と共に、己の欲望を放つ。 その快楽の果てに、蕾は収縮し、セバスチャンを締め付け、再奥に熱い迸りを受け、意識が薄れゆくシエル。 はぁはぁとセバスチャンの珍しく乱れた吐息を聞きながら・・・ 「もう、貴方は何て方なんでしょうね・・・悪魔の私をこんなに乱して・・・ちゃんと責任取って下さいね。もう、二度と、貴方を自由にはさせませんよ。魂を喰らっても、私から逃れるなんて許しませんよ。」シエルには、セバスチャンの最後の声は届かない。魂をどう食べるのかは、契約していないのだから・・・       FIN 
あとがき
________________________________________
 やっと終わりました・・・長かった・・・
 九条には、短編はムリ(-_-;)
 アニメⅡにだいぶ影響された小説です
 途中で何を書きたいのか、見失ってしまいました。
 とにかく、基本、セバシエで少女漫画のイメージで、ラブラブなHが書きたいだけなんです
 劉の裏切りで心痛むシエルに付け込んで、悪戯するセバスチャン
 でも、アパーラインに嫉妬して、シエルを優しく愛せないセバスチャンの葛藤がテーマです
 アニメⅡは、「シエル愛してる」って感じのセバスチャンですものね・・・
 うちのセバスチャンは、男前シエルに押され気味なのが多いので、今回はちょっぴり鬼畜セバスチャンです。
 ラストでは、シエルに落とされた感の拭えないセバスチャン・・・これからも、色々小説書いていこうと思います。
 どのサイトに書くかは、不明なので、また、お会いしましょう。  H22.8.8 21:00

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