アクセサリーと本人後ろ姿 |
趣味のビーズアクセサリーと本人後ろ姿
|
ご連絡はこちらから |
ご意見、ご感想、問い合わせ等にご利用下さい。
|
カレンダー |
04月
| 2024年05月 |
06月
日 |
月 |
火 |
水 |
木 |
金 |
土 |
- |
- |
- |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
11 |
12 |
13 |
14 |
15 |
16 |
17 |
18 |
19 |
20 |
21 |
22 |
23 |
24 |
25 |
26 |
27 |
28 |
29 |
30 |
31 |
- |
|
|
|
|
「失われた契約6」リクエストのセバシエFIN |
あかさ様おまたせ致しました(*^_^*) 焦らしプレイでしたが、少しでも楽しんで頂けると幸いです(>_<) リクエストに添えたか不安ですが・・・あかさ様のみ、お持ち帰りOKです。 素敵なリクエストありがとうございました。 これに懲りずに 「九条静音の黒執事妄想劇場」を宜しくお願いします。
「失われた契約6」 (止めなくちゃ、何故だかわからないけど、あの二人を止められるのは、自分だけ・・・) 本能がシエルを動かしていた。 シエル本人は記憶を失くしていて、セバスチャンが自分の執事だと思い出してる訳ではなかった。 例え、多少、葬儀屋のデスサイズで切られても、すぐには死なない。 今のシエルも悪魔なのだから・・・ そんな事は忘れている筈なのに、降りあげられたデスサイズを見て 「危ない!セバスチャン!!」 身体は無意識に動き出す。 死ぬ筈のない悪魔で執事を庇って・・・ 飛び散る赤い血・・・ 「坊ちゃん・・・」
「良かった・・・ご無事・・・ゴフッ・・・」 セバスチャンは腕の中のシエルを気遣いながらも、吐血していた・・・ 葬儀屋のデスサイズの前に出て、セバスチャンに手を伸ばしたシエル。 そのままいけば、葬儀屋は確実にシエルの心臓をデスサイズで貫いていただろう・・・ 見捨てれば、悪魔としてシエルは死に、魂は身体から解き放たれる。 人には戻れなくても、シエルの魂をセバスチャンは喰らえただろう・・・ 「あ~あ・・・小生はどちらでも良かったのに・・・」 葬儀屋の言葉に、セバスチャンの目は赤く輝く。 「貴方が欲しいのは、坊ちゃんの魂だったと言う訳ですか?渡しませんよ、死神如きに・・・私の大切な坊ちゃんは、私だけのモノ・・・」 ズボッ・・・ セバスチャンの右胸に深く刺さっていたデスサイズが抜き取られた。 シエルを庇う時、微妙にデスサイズがズレ、セバスチャンは死ぬのを免れていた。 それは偶然なのだろうか? この世に偶然など有り得ない・・・ それは必然であり、運命なのだから・・・ シエルはセバスチャンが庇った為、勢い余って、セバスチャンの背中に抱き付く事になってしまった。 手にヌルッとした感触が・・・ 違和感を感じたシエルが、手を見た・・・ 血に塗れた手・・・ 過去の記憶が呼び覚まされる・・・ 「あ・・・あっ・・・あぁぁぁ」 「坊ちゃん!」 途端にセバスチャンの背中の傷口から溢れだすシネマティックレコード・・・ 悪魔になったシエルの眼前に繰り広げられるセバスチャンの走馬灯・・・ シエルとの出会いから今までのレコード・・・ どんなに悔いても、過去は変わらない、否、変えられないのだ。 シエルの手についた血が、天使との戦いで傷ついたセバスチャンの記憶を呼び起こす。 自分との契約の為に、彼は契約印の左腕を失った・・・ セバスチャンに女として抱かれる事を望み、拒まれたアンジェラの嫉妬によって・・・ その一瞬の隙が、クロードにシエルの魂を奪われ、一度記憶を失くしたシエル。 再び記憶を失くした今のシエル・・・ またシエルを失う恐怖から、セバスチャンは焦る。 死神に勝てないとしても、命を掛けてでも、シエルを渡せない。 それなのに、シエルはセバスチャンを庇う為に、命知らずにも、葬儀屋のデスサイズの前に飛び出した。 自分の事を忘れてるのに・・・ 「坊ちゃん!坊ちゃん!」 傷口から血は出ている。 それに気を止める暇はない。 急激なショックから、シエルの精神は壊れてしまうかも知れない。 自分が些細なケンカを仕掛け、シエルは死ぬ事を選んだ。 下級悪魔に穢される事を拒む手段として舌を噛み、自決したシエル。 どんなに悔やんでも、元と同じシエルがそこに戻るとは限らない。 それでも、セバスチャンは望む。 最早、魂を喰らえなくてもいい・・・只、そこにあればいい・・・シエルとしての主が存在していればいい・・・ 悪魔であった自分が、「美学」を捨ててまで欲した魂は、シエルの中に確かに存在しているのだから。 自分が愛したのは魂だけだったのか・・・ 否、生きて自分に命令する姿を愛したのだ・・・ シエルは抱き締めるセバスチャンの背に手を回す。 「セバスチャン・・・」 以前の様に力強くはないが、確かに主の声で・・・ 「あ~あ・・・戻っちゃったんだね。は・く・しゃ・く・・・」 如何にも残念そうな葬儀屋のモノ言い。 「葬儀屋さん貴方は・・・」 セバスチャンは、シエルの顔を見ながら、背後で溜息を吐いてる葬儀屋の動向を探る。 今の自分は、シエルを守り切れないかも知れない。 「この馬鹿!何でお前はいつも・・いつも・・・」 腕の中の主の言い方は以前のままだったが、大きなサファイアの如き左目からは涙がポロポロと溢れだし、セバスチャンは目を丸くする。 悪魔となったシエルが泣いているのだから・・・ 人間であったシエルは、抱く度に涙を滲ませていた。 しかし、悪魔になった頃から、泣く事などなかった。 それはまるで、セバスチャンに抱かれる事すら苦痛だったのかと、セバスチャンの心に猜疑心が巣食っていったのだ。 真実は違っていた。 セバスチャンがクロードに魂を奪われた経緯も、どうやってセバスチャンが腕を取り戻したのかも、シエルは知らない。 記憶を失った以上、その事情を知ろうと思う筈などないのだ。 悪魔で生まれたモノと悪魔になった元人間とは、考え方が異なるのだ。 二人は気付かなかった。 シエルが悪魔になった時点で、人間の心など失われてると疑わなかったから。 「坊ちゃん!坊ちゃん!」 只、セバスチャンはシエルを抱き締める事しか出来ない。 自分の失態をどう償えば良いのかも知らず・・・ 「もう・・・本当にお前は・・・もういい!まずはお前の手当てだ、いい加減離せ!んっ?葬儀屋なんでお前がここに・・・」 「ヒ~ヒッ・・・クックッ本当に面白いよ、君達は・・」 ガランとデスサイズを放り出し、腹を抱えて、庭を転げ回る葬儀屋・・・ 「何なんだ?一体・・・」 自分を抱き締める執事・・・元駒は庭で腹を抱えて笑いながら、転げ回れば大抵の者は怒るか、困惑するだろう。 シエルはどうしたのか? 「いい加減にしろ!」 ボカ、バシッ、ドカッ・・・ 大の大人の男二人は、主に頭にトリプルアイスクリームを喰らい、頬には殴られた痕があり、服をズルズルと引きずられ、屋敷に連れ込まれた。 バンとドアを開け、二人を玄関から投げ込み 「セバスチャンは風呂に行くぞ。それから傷の手当て!葬儀屋!お前は紅茶の用意をしろ!ああ・・・何だか疲れたから骨型クッキーでも作っておけ!」 「「イエス・マイロード」」二人は声を揃え、常套句を口にする。 叶わないのだ。 この主には・・・ 悪魔も死神も関係なく惹かれるのだから・・・ 二人は殺し合ったのに、互いを見合い苦笑するしかなかった・・・ 主の命令通りに行動する為に、背中を向ける。 セバスチャンはシエルに促され、風呂に入り、血を洗い流し、傷の手当ての為に、髪をタオルに包み、バスローブを羽織ると言うラフな格好をして、シエルに傷口を舐めさせていた。 「こんなのが旨いのか?」 寝室に戻り、背中から肌を晒すセバスチャンの傷口に舌を這わせシエルは問う。 「フフ・・・貴方にはまだまだこの甘美な味は解らないのでしょうね・・・お子様ですから・・・」 セバスチャンは詫びない。 シエルが自分を置いて、一人で逝こうとしたから・・・ 許してやらない。 この想いを、自分の苦しいまでの狂気を・・・ 葬儀屋が去った後、思い知らせてやろう! 骨の髄まで・・・ 悪魔で執事は、シエルに傷口を治療させて、口元は歪んでいた・・・ この後、行われるであろう行為に期待しながら・・・ FIN H24.6.23 A10:17 あとがき あかさ様お待たせ致しました(*^_^*) ついに完結しました。 まだまだ葬儀屋がお邪魔虫なので、Hシーンまでいきませんでした。 葬儀屋を好きになる・・・抱き付く事までしか思いつかず、申し訳ございません((+_+)) あかさ様だけお持ち帰りOKですので、変な所がありましたら、書き直させて頂きますね。 焦らしプレイすみませんでした(*^_^*) 少しでもお嬢様が喜んで下さると宜しいのですが・・・ ご希望でしたら、またR-18として続編書きたいのですが、予定が詰まってまして、少々お待ち頂けますか? またリクエストお待ちしています。 素敵なリクエスト頂き、書く機会を与えて下さり、ありがとうございました。 拙い小説ですが、少しでも楽しんでいただけたら、幸いです(*^_^*)
|
「失われた契約5」暗いセバシエ&葬儀屋 |
趣味に走りました(*^_^*) あかさ様のみ持ち帰りOKです。 短編ですが、更新しました(*^_^*)
「失われた契約5」 振り上げられたデスサイズ・・・ 飛び散る赤い血・・・ 「坊ちゃん・・・」
数分前の事だった・・・ 葬儀屋にベッドに運ばれたシエルは、一人が嫌だとばかりに、服を掴んでいた。 それがセバスチャンの怒りを呼んでしまう。 葬儀屋がシエルを何かの力で眠らせると、セバスチャンに促され庭に出た。 「このまま小生に伯爵を任せて、自ら身を引くと言う選択は?」 「あり得ませんね。坊ちゃんは私のモノ・・・例え記憶を失くされたとしても、もう二度と離しはしない!」 それはセバスチャンの覚悟。 自分の失態が、シエルを悪魔にしたのなら、償うべきだから・・・ 「ヒッヒッヒッ・・・自分の美学の為に死ねるのかい?面白い悪魔だね、執事君。しかし、これは戦いなのだよ。勝った者のみが、伯爵を手に入れる」 「何故貴方が坊ちゃんを欲しがるのですか?一体何だと言うのです?」 セバスチャンには、謎だらけだ。 死神が審査の対象者に死期を教えるなど、愚の骨頂・・・ 有り得てはならない・・・ 例え、どの様な理由があろうとも・・・ 「そんな事は君が知らなくてもいい・・・大人しく死んでおくれ!」 セバスチャンはシルバーで応戦する。 戦いは続き、硬質な金属の音が響き、いつしか深く眠っていた筈のシエルを呼び起こす。 「んっ・・・」 キーン・・・カッキーン・・・ 「ふぁっ・・・」 「何の音・・・」 寝ぼけ眼で、ベッドから降り、音のする方に近づく。 窓から庭を見下ろすと、自分の執事だと葬儀屋に教えられたセバスチャンと、葬儀屋が戦っているではないか! シエルは無意識の内に走り出す。 6に続く・・・ H24.6.20 PM10:42
|
「失われた契約4」リクエスト暗いセバシエ&葬儀屋 |
あかさ様のみお持ち帰りOKです(*^_^*) 朝書いてみたのを更新します。 今朝は、旦那の仕事の関係でA4時起きで眠いので、短いです。 GF7月号、滾ったので、明日にはネタバレ感想書きたい!
「失われた契約4」 所詮は悪魔・・・ 主が使い物にならない以上、美学も何もない・・・ あるのは、シエル・ファントムハイヴと言う存在を唯、欲する哀れな男の如き悪魔のみ。 「離れなさい葬儀屋!それは私の獲物・・・貴方が触れて良いモノではない!」 今にも、掴みかからんとする哀れな男、セバスチャン・ミカエリス。 「小生が伯爵を縛ってる訳ではないんだがね・・・ヒッヒッ・・・そんなに余裕のない君は、初めてだね・・・本当に君達は、楽しませてくれる・・・」 言いながら、どんな手を使ったのだろうか? シエルの瞼を撫でたと思ったら、シエルはスゥスゥと寝息をたてて、安らかに眠っていた。 これから何が起こるのかも知らずに、無邪気に・・・ セバスチャンは、主の安らかな眠りを邪魔させぬ為に、葬儀屋にクイッと顎で合図をし、庭へと出る。 途端に戦闘が始まってしまった。 主を毎晩の様に啼かせ、嬲り、欺いていたくせに、独占欲を振りかざす唯の男になり下がってしまった悪魔セバスチャン・ミカエリス・・・ 「アレは私のモノ・・・貴方には触れさせません・・・返して頂きましょう」 「ヒッヒッ・・・見離したくせに・・・」 ビクッとセバスチャンの身体が揺れる。 そう何度セバスチャンは、シエルを見離しただろう・・・ 万博会場で天使と争い、人目についた為に、目の前に敵の女王がいても、みすみす取り逃がした主に失望したのが最初だった・・・ 一人でホテルに放置したのが最初だった・・・ でも、見捨てる事は出来なかった・・・ 猫に姿を変えて、港に導いた自分・・・ 「私は・・・」 何がしたかったのだろう? セバスチャンは自問自答する。 悪魔になってしまった主に嫌悪感を感じ、手刀で、腹を貫いた・・・ 殺すなら、心臓を貫かねばならない。 最も悪魔になってしまった主が、それくらいで死にはしない。 ハンナの使い魔の三つ子とは訳が違う・・・ 解っていた筈なのに・・・ 自分が道を迷ったばかりに・・・ ハッと気付いた時は遅かった・・・ ポタッ・・・ポタッ・・・と命の雫が漏れる・・・ 「な~んだ・・・只、大人しく殺されるつもりはないんだ。君は、伯爵の為にならない。今の彼は、保護者としての小生を求めているのさ。大丈夫、小生は悪魔たる君程は鬼畜にできていないから、伯爵を抱く事はないからね。安心してあの世にお逝きよ・・・伯爵が求めれば別だけどね・・」 5に続く・・・ H24.6.18 A6:56
|
「失われた契約3」あかさ様リクエスト暗いセバシエ&葬儀屋 |
あかさ様のみ、お持ち帰りOKです(*^_^*) シエル、記憶喪失ネタですので、暗めの仕上がりのセバシエです。 今回、セバスチャンの出番は少なく・・・葬儀屋が出張ってます。 なるべく、あかさ様のリクエストに沿って書いているつもりですが、感想お待ちしております(*^_^*) では、また次回4でお会いしましょう・・・
「失われた契約3」 目の前の光景は何だろう・・・ たった一度の些細なケンカ・・・ 主は屋敷を飛び出し、下級悪魔二匹に犯される事を拒み、舌を噛み、息絶えた。 しかし、またも葬儀屋の手により、命を取り留めた。 副作用は、クロードに魂を奪われ、取り戻した後のシエルの状態より、酷かった。 精神は7歳に逆行し、当然セバスチャンの事など、覚えている筈もない。 ベタベタと自分から、アンダーテイカーに抱き付くシエルなど、見たくないセバスチャンだった。 毎晩の様に、抱き合い、シエルを翻弄し、自分に欲情した時だけ、喰らう事の出来ない魂は、質を変え、セバスチャンの飢えを満たしていた。
例え、満腹になる事はなくても、自分をシエルが求めている事実だけが、心を癒し、満たしていた筈だったのに・・・ (私は、とことん悪魔なのですね・・・) どんなに優しくしていても、心は伴わない。 唯、飢えを満たす為だけに、シエルを抱くのだろうか? セバスチャンは悪魔だから、自分の心の変化についていけないのだ。 生ぬるく、優しいだけの愛ではない。 シエルを求め、貪り、熱くなる自身のモノ・・・ シエルの内部の奥深く、貫いて掻き回し、最奥に欲を放つまで満足出来なくなった身体・・・ たかが脆弱な人であった存在をこうも欲するとは・・・ 「ねぇ?アンダーテイカー、お母様とお父様はどこにいるの?何故、タナカもいないの?」 7歳のシエルの疑問は、もっともな事。 今のシエルは、両親の愛に包まれて、幸せだった頃の記憶しかないのだから・・・ 「ヒッヒッヒッ・・・ヴィンセント達は、お仕事だよ。君の執事と二人だけで、ここに静養に来てるんだよ。喘息は余り良くなってないからねぇ・・・」 「そうだったの・・・僕あんまり思い出せないや?僕の執事って誰?」 その言葉にセバスチャンは、胸が痛む。 今のシエルは、無意識の内に、自分を拒絶しているのだろう。 いつも嫌味ばかり言って、シエルを怒らせてばかりの自分を・・・ 「ああ・・・は・・・シエル・・・君、少し前に頭を打ったからね。記憶が混乱してるんだよ。彼だよ。セバスチャン・ミカエリス。君の執事君だよ」 葬儀屋は、自分に抱き付くシエルを宥め、セバスチャンの方を向かせた。 「だって・・・僕の唇塞いだ人だよ!やだっ・・・」 尚も、葬儀屋に抱き付くシエル。 「傷の手当ての為だよ。舌に怪我して、血がいっぱい出てただろう?溢れる血を吸い出してくれたんだよ」 言ってる事は間違っていないが、執事が普通、そんな事はしないだろう。 セバスチャンは何と言ってよいか解らず、沈黙を貫いた。 下手な事を言って、子供の神経のシエルを怒らせたくないから。 「ふぁぁぁ・・・何か眠くなっちゃった・・・」 シエルは葬儀屋の腕の中で、ウトウトとする。 「仕方ないねぇ・・・執事君、このまま小生が伯爵をベッドに運んでも、差し支えないねぇ?」 今のセバスチャンは、あくまで執事・・・ 「ええ・・・構いません・・・」 目は赤く悪魔色に染めて、あくまで従順に・・・ クックックッ・・・と葬儀屋は笑っていた。 「面白いねぇ・・・実に面白い・・・」 葬儀屋は愉快でたまらない。 気紛れで死期を教えたシエルは、あろうことか、悪魔に転生してしまった。 ヴィンセントに、最後を見取ってやって欲しいと頼まれていた。 何れ、シエルも自分と同じ様な、運命に翻弄されるだろうと気付いてたヴィンセント。 葬儀屋が人成らざるモノであろうと見越して・・・ シエルを寝室まで運ぶ葬儀屋の背中に、セバスチャンの怒りの気配が突き刺さる。 (それ程、伯爵が大事なら、もっと優しくしてやれば良かったのに・・・まだまだガキだね、執事くんも・・・) 欲しいモノは手に入れる。 人であろうと、悪魔であろうと根本的なモノは変わらない。 物欲なのか、独占欲なのか・・・ シエルが失った記憶を取り戻せる可能性は低い。 葬儀屋が自分の失ったモノの代替えとして、シエルを求めたとしても、誰に咎められる事もない。 (これは戦いだよ、執事君・・・) 葬儀屋もまた、失ったモノを求めて・・・ シエルをベッドに寝かせ、移動しようとした葬儀屋の服をシエルは掴んでいた。 無意識の内に・・・ セバスチャンの怒りが、頂点に達してしまった・・・ 4に続く・・・ H24.6.17 P10:40
|
「失われた契約2」リクエスト暗いセバシエ&葬儀屋 |
あかさ様のみお持ち帰り下さい。 続きになります。 暗い暗いセバシエ。
「失われた契約2」 (まぁ、いいだろう・・・坊ちゃんは悪魔になったのだから、余程の事がない限り死ぬ事はない・・・) ネクタイを緩め、ソファーにドッカリと座り直し、寛ぐセバスチャン。 魔界では高位である為、こんなふてぶてしい態度だっただろう・・・ 貴族なのだから・・・ 思った通り、下級悪魔二匹がゾロゾロと出てきた。 どうせ、すぐに自分の名を呼ぶと思っていたセバスチャンは、後に後悔するのだ。 それが、今の状況に繋がった・・・ 「アンダーテイカー・・・あのおじさん酷いんだよ!いきなり、口塞いで・・・何故だか知らないけど、口の中痛かったのに・・・アレ?もう痛くない」 「伯爵・・・執事君は、君の舌の怪我を治してくれたんだよ。そんなに嫌っちゃいけないよ」 何気ない葬儀屋の言葉が、セバスチャンの胸に突き刺さる。 「嫌う」 しかし、セバスチャンに非があるのだ。 今の状況は、副作用なのだから・・・ 悪魔二匹に囲まれたシエルが何をしたか・・・ 今、思い出すだけで、自分を殺したくなるセバスチャン。 悪魔になったばかりのシエルに、下級は言え、無事に逃げおおせる訳などないのだ。 易々と捕らえられ、組み敷かれた。 過去に人間共に凌辱された経験を持つシエル。 自分を嫌って逃げたなら尚更、二匹に犯されて、自分の価値を思い出せとばかりに、放置したセバスチャン。 過去に自分を拒否したモノなどいない・・・ 唯のプライドの問題なのに、意地を張ったばかりに・・・ ビリッ・・・ シエルの服を乱暴に破る悪魔達・・・ 途端にシエルは、動かなくなった。 「フフン・・・悪魔になったばかりの人間が・・・力の差を思い知って、抵抗を止めたか・・」 「おい、待て!こいつ既に・・・」 「ウッあぁぁぁ・・・」 二匹は業火に包まれた・・・ 「坊ちゃん!」 シエルに駆け寄るセバスチャン。 口の端から、血が滴り落ちた・・・ 「何故こんな・・・また、私を置いて・・・一人で・・・逝かれるのですか・・・」 シエルを胸元に引き寄せ、搔き抱く。 涙が溢れて、シエルの頬を伝い、泣いている様だった。 「主が死ねと言えば、死にましょう」 ずっと昔に、グレルに言った言葉・・・ そう悪魔は死ねるのだ。 自分で活動を停止出来ると言った方が、適切かも知れない・・・ シエルは舌を噛み切っていたのだ。 下級悪魔二匹に、言い様に嬲られるのは、シエルのプライドが許さなかった。 自分を好きに出来るのは、セバスチャンだけ・・・ 冷たくなっていく筈の身体はまだ温かく、これが夢であって欲しいと願うセバスチャン。 「坊ちゃん!坊ちゃん!」 何度呼んでも、答えない主・・・ しかし、止まっていた筈の心臓は、微かに、トクン、トクンと動き出した・・・ 「?!」 シエルの顔を見ても、相変わらず、血の気はない・・・ 「まさか・・・」 セバスチャンにある心当たり・・・ 「ヒッヒッヒッ・・・実に面白いよ・・・執事君・・・君は小生を楽しませてくれる」 「アンダーテイカーさん・・・」 ピンクのしおりをチラつかせ、微笑む葬儀屋。 「どうするね?伯爵を助けたいかね?しかし、もう彼は一度、蘇っている・・・副作用がどんな事になるか知らないよ?」 「構いません!坊ちゃんが助かるなら・・・私は何度坊ちゃんを失っても、気付けない」 「ふぅ~ん?可哀想だね・・・悪魔って・・・では」 セバスチャンの腕の中で、シエルの鼓動がしっかりしてきた。 「ありがとうございます。葬儀屋様。では、屋敷へ戻りましょう。美味しい紅茶をお淹れしましょう」 二人の甘い時を取り戻すのに、邪魔だと言ってる様なモノ・・・ 「ああ。小生も結果が知りたいからね・・・ククク・・・」 そして、戻った屋敷で、目覚めたシエルの傷を治す為、口付けた後に、セバスチャンは、驚愕の事実を知る事になったのだった。 3に続く・・・ H24.6.15 A6:16
|
「失われた契約」あかさ様リクエスト暗いセバシエ葬儀屋登場! |
「あかさ」様から頂いたリクエスト セバシエ&葬儀屋をお送りします。 詳しくリクエスト下さり、ありがとうございました。 少しずつ更新ていきますので、焦らしプレイをお楽しみ下さいね(*^_^*) 「あかさ」様のみお持ち帰りOKです。 こちらで、こんな感じかなと書いてますので、駄目でしたら書き直しますので 「あかさ」様感想お願いします(*^_^*) では、暗いセバシエをお嬢様にお届けします・・・
「失われた契約」 ほんの一瞬の出来事だった。 また、私は主を失うのか? 目の前にいるのは、無邪気な7歳の少年。 「おじさんだぁれ?葬儀屋!」 主は懐かしい人であるアンダーテイカーに抱き付く。 (それは私の獲物!触れるな!) セバスチャンは虚しさに支配された。 主は私から離れ、あろう事か葬儀屋に抱き付く。 「坊ちゃん・・・」 再び主を失うのか・・・ 「だから、言った筈だよ。どんな副作用があるかも知れないって」 愉快そうに笑う葬儀屋に苛立つセバスチャン。 「主は私のモノ返して頂きましょう!」 セバスチャンは、さっきまでシエルに触れていた。 暫く眠りについていた主を起こす為に・・・ 主が記憶を失い、精神が7歳まで逆行したのは、私のせい・・・ それは、数日前の出来事だった・・・
「まったく・・・貴方も悪魔になられたのですから、少しはご自分の事はなさって「煩い!お前がまぬけだったから、僕はこうなったんだろう?お前は永遠に僕の執事だと誓ったじゃないか!」 些細なケンカだった・・・ シエルは悪魔になっても、精神まで悪魔になり切れなかった。 否、だからこそ、セバスチャンを傍に置く理由の為だけに、着替えすらもセバスチャンの手を煩わせていた。 何度も肌を合わせ、お互いの心は通じあっていた筈だったのに・・・ 「もういい、そんなお前は嫌いだ!暫く外へ出る探すな!」 シエルは激しい怒りに囚われ、屋敷を飛び出した。 セバスチャンも疲れていたのかも知れない。 永遠に終わる事のない契約に・・・ シエルが何かの原因で死ねば、魂を喰らえるのにと、頭の片隅にあったの かも知れない。 悪魔の美学など、知れたもの・・・ 「契約」を律義に守る悪魔など、本来は悪魔ではないのだ。 ドサッ・・・ シエルに執事として仕えていたセバスチャンは、ソファーに腰掛けたりはしなかった。 「疲れた・・・」 知らず知らずの内に、言葉が漏れた。 (私は何をしたいのだろう・・・坊ちゃんを傷つけて・・・心の何処かで、殺してしまいたいと思うのだろうか?坊ちゃんを悪魔にしたのは、私の失態だと言うのに・・・) シエルは偶にケンカした時くらいに、セバスチャンの嘘を詰った事はあった。 シエルの魂を食う事だけを夢見て、「契約」を無視し、吐いた嘘・・・ 悪魔としての常套手段なのだから、本来シエルを騙し、魂を喰らったとしても、誰に責められる事もないのだ・・・ それが、悪魔と契約すると言う事。 飽きられたら最後、アロイスの様に、殺される。 ピクッ・・・ セバスチャンの耳が動く・・・ シエルが自分の結界を破り、外へ出たのだ。 荒れ狂うシエルの怒り・・・ 完全に魔界を目指し進むシエル。 止めなければ、下級悪魔に攻撃されるかも知れない・・・ しかし、セバスチャンは動かなかった・・・ 否、動けなかったのだ・・・ 終わる事のない契約に疲れきって・・・ 2に続く H24.6.14 A6:07
|
「過去からの呼び声 第四章 別離 」~後編Ⅲ~R-18 |
羽衣泡珠様からのリクエストの続編です。 まだまだ焦らしプレイで申し訳ありません・・・ 羽衣様だけお持ち帰りOKです(*^_^*) では、なるべく早く、完結に持ち込みたいです・・・ がっつりシエル女体で、SEXシーン連発します。 H苦手なお嬢様は、ご覧になりません様に・・・
「 過去からの呼び声 第四章 別離 」~後編 Ⅲ~ ズプッ・・・ 「ああっ・・・」 シエルは痛みに喘ぐ。 「坊ちゃん!爪を立てて痛みに耐えて・・・」 正面から抱き合った為、シエルの爪はセバスチャンの背中に食い込む。 血が流れても、セバスチャンも痛みに囚われる事はなかった。 アンダーテイカーがシエルに口移しで飲ませた媚薬は、シエルからセバスチャンに吸収される程、強力なものだったから・・・ セバスチャンの頑なな理性すら奪い去り、確実にシエルの身の内に、子を孕ませる目的の為に作られた媚薬。 「ああっ・・・セバス・・・」 シエルはセバスチャンを受け入れ、破瓜の痛みに翻弄された。 シエルは悪魔になり切ってはいない。 心は人間の頃のまま・・・ セバスチャンの様に、享楽を甘受する様には出来ていない。 グチュッ・・・グチュッ・・・ 卑猥な水音が二人の理性を奪い去ろうとする。 「命令だ!セバスチャン・・・絶対・・・・・・・解ったな!」 「イエス、マイロード!」 シエルはセバスチャンにしか、聞こえない命令をした。 気を失う程、セバスチャンに抱かれる前に・・・
「一体、何がどうした訳?」 グレルはわめき散らした。 「グレル・サトクリフ、騒々しい!もう少し、穏やかに話せませんか?」 ウィリアムはイライラしていた。 シエルが悪魔になるのを手助けした様な自分とロナルドだったから、この世界にセバスチャンを案内した。 しかし、その為に、葬儀屋の計画に、乗せられた気がしないでもないのだ。 イライラとグレルに当たり散らすのも、仕方のない事だろう。 「ヒッヒッヒッ・・・本当に君達は面白いね。まぁ、いい・・・ここじゃ刺激が強すぎるだろうしね。ついておいで、御茶でもして、執事君達が戻るのを待とうじゃないか」 葬儀屋は手をヒラヒラとさせて、二人を誘う。 新婚の夫婦のアレコレが鬱陶しいのだ。 この部屋から退出出来るならばと、二人は葬儀屋について行く。 「ああっ・・・セバス・・・はぁ・・・」 シエルは女に変えられ、先ほど初めて女の部分をセバスチャンに貫かれたと言うのに、身体は従順に快楽に溺れて行く。 セバスチャンも同様なのだが・・・ 「坊ちゃん・・・申し訳ございません・・・葬儀屋に翻弄させられまして・・・貴方を苦しめる・・・事・・・ばかりで・・・くぅ・・・」 シエルを抱いている筈なのに、抱かれている感覚すら呼び起こされるシエルの身体。 悪魔のセバスチャンに取って、魂の器でしかない肉体など、意味はない。 快楽を感じたとしても、唯、それだけ・・・ シエル以外のどんな存在とSEXしたとしても・・・ 「ああっ・・・セバス・・・もう僕から離れるな!僕の手・・・を・・・二度と・・・離すな!」 何度も交わされる約束・・・ 「ええ・・・坊ちゃん。私は二度と、貴方を離しません。この命に掛けて・・・」 「なら、いい・・・早く・・・もっとお前を・・・僕によこせ!」 「ええ、何度でも、私を差し上げましょう・・・」 ドクン・・・ドクン・・・ セバスチャンはシエルの内部に欲望を放つ・・・ 「ああっ・・・セバス・・・」 シエルは悦びを感じ、牙を隠す事もせず、目を赤く変色させていた。 悲しそうなセバスチャン・・・ 「嘆くなセバスチャン・・・僕はお前を永遠に手に入れたんだ!本当に欲しかった者を・・・そんな顔をするな。」 シエルはハァハァと荒く息をしていても、柔らかく、セバスチャンの頬を撫でた。 まるで、労うかの様な仕草・・・ 「坊ちゃん・・・」 セバスチャンはシエルの唇を奪い、途端に、シエルの牙で傷つけられた。 流れる血は甘く、何度も何度も口付ける。 「あふっ・・・セバスチャン・・・」 セバスチャンの血が、シエルの口元から垂れた。 「ああ・・・素敵だ・・・シエル・・・」 再び、シエルはセバスチャンに組み敷かれた。 セバスチャンは抜きもせず、シエルの内部にあったモノで、シエルを翻弄していた。 「で・・・一体どう言う訳なのよ?」 グレルは葬儀屋の淹れた紅茶を飲みながら、問う。 「まぁ、のんびりすればいい・・・伯爵と執事君は、一晩中、離れられないからね」 「貴方は何をしたいのですか?あの子供の運命を弄んで・・・害獣になったとは言え、まだ人の魂を食っていない・・・あの害獣と精気を食い合えば、二度と、魂を食う必要もなくなるのです。今のままならね・・・」 ウィリアムは真面目な表情を崩さない。 「今のままならって、どう言う事なの、ウィル?」 「ヒッヒッ・・・今のままの男の伯爵なら執事君と抱き合うだけでいいと言う事さ。だが、これから執事君の子を身に宿す。その為には、人の魂を手に入れなければ、子は死ぬかも知れないのさ。悪魔と悪魔の子供だからね・・・何が起こるか解らない・・・」 葬儀屋は、楽しそうだった。 自分の目的の為なら、どんな事もするのだ。 その為に、死神になったのだから。 「そんな事許される訳ないじゃない!もし、あの坊やが、子供を孕んだら、殺してやるわ」 嫉妬半分、職業意識半分のグレルだった。 「どう足掻いても、どうにもならないよ。運命は止められない」 ヘラヘラと葬儀屋は、笑うだけ・・・ そんな三人に気付かず、シエルはセバスチャンに溺れていく・・・
「ああっ・・・もっと・・・もっと・・・セバスチャン!」 何度もシエルは己の最奥にセバスチャンの精を受け入れ、喘ぐ。 女性にされた為に、長くなった髪を振り乱しながら・・・ 繋がった個所はドロドロで、どちらの体液だか解らないモノで、グチュッ・・・ズチュッ・・・と卑猥な水音がする。 そこにいるのは、理性を失くした二匹の獣の如き悪魔二人・・・ 「シエル・・・シエル・・・」 何度欲を放っただろう? セバスチャンは、激しく腰を使い、今まで、シエルの内部が拒んでいた最も、最奥の深い深い、子宮に精液を迸られていた。 「はぁぁぁぁ・・・」 シエルは絶叫と共に、セバスチャンの腕にその身を預けた。 「ご命令どおりに・・・坊ちゃん・・・」 セバスチャンは、理性を失くす前のシエルの命令を遂行していった。
「運命・・・か・・・つくづく哀れなガキね、あの子。まさか、悪魔になっちゃうとはね・・・」 シエルの叔母のマダム・レッドに執事として仕えていたグレル。 何度も彼の屋敷にも行っていた。 悪魔であるセバスチャンを使役していたのだ。 シエルが普通で終われる訳はなかった。 しかし、人間が悪魔になるのは、並大抵の事ではないのに・・・ 「自分で過去を忘れぬ為に、憎しみに支配されてたのに・・・まさかセバスチャンを愛しちゃうなんて思わなかったわ・・・」 グレルの言葉は本音だろう。 悪魔としてのセバスチャンを愛したのか、執事としてのセバスチャンを愛したのかは、不明だが・・・ 「どっちだって構わないのさ。小生の望みさえ叶えてくれれば・・・」 「その望みの為に、運命を狂わせて良いものではありませんよ・・・」 ウィリアムは溜息をつく。 そんなやりとりの中、ドアをノックする音が・・・ 「どうぞ、入りたまえ・・・執事君」 「失礼します」 セバスチャンはシエルを抱えながら、入室してきた。 些かの違和感を感じさせながら・・・ 「ああっ・・・セバスチャンに胸・・・胸が・・・」 そう、シエルの命令を実行する為に、自分を女に変えた。 簡単に言えば、孕む前に、自分達の糧に変換したのだ。 「流石は害獣ですね、宿った筈の命を糧にするとは・・・」 ウィリアムは嫌みを言う。 「それが、坊ちゃんのご命令でしたから。葬儀屋さんの望みを阻止しろ!との事でしたので・・・」 命が宿る前に、妊娠の事実を失くしたのだ。 『僕が、お前の子供が欲しくなったら、ちゃんと産んでやる!だったら、それまで、葬儀屋の目的を阻止しろ!』 何とも、シエルらしい命令だった。 Ⅳに続く・・・ あとがき 焦らしプレイで・・・ ストーリーは私の中で、終わってますが、まだまだ続きます。 葬儀屋の目的とは・・・ 次の回では、もう少し前に進みたいです((+_+)) まだまだ正体の判明していない、登場人物、目白押しです((+_+))
|
「過去からの呼び声 第四章 別離」~後編Ⅱ~ |
羽衣様へのリクエスト まだ終わりません 前作から一週間・・・ 少しずつ謎が解かれていく過去のセバシエ・・・ 今回は新たに登場人物が出ています。 羽衣様だけお持ち帰り自由で・・・ 意外な展開ですが、少しでも喜んでいただければ幸いです。
「 過去からの呼び声 第四章 別離 」~後編Ⅱ~ 「まったく・・・あの方ときたら・・・悪魔になられたのなら、ご自分の欲望に素直になられれば、宜しいのに・・・」 セバスチャンは一人ブツブツと呟く・・・ あれからシエルをお風呂に入れたのは良いのだが、自分の欲望を優先した結果「Hは当分禁止!」と命令されたのだ。 何度抱いても飽きない・・・否、溺れていると言っても過言ではないだろう。 「ああ・・・スイーツでご機嫌を御取りして今夜も・・・」 顔がほころんでいても、止める事さえ叶わない。 いくら言葉でシエルが拒絶しても、コトが始まれば素直に感じ、「もっと奥に・・・」結局、最終的に強請るのは、シエルの方・・・ 「仕方ないですねぇ・・・」 やれやれと言いながら、嬉しさを隠し、優位に立とうとするセバスチャンとの駆け引きは、毎晩続いている。 どちらから止めるとか言う選択肢もない二人・・・ お互いに溺れてしまっているのだ。 「クス・・・余りお待たせしてしまっては、坊ちゃんが不機嫌になられましょう・・・」 思い出のスイーツ「ガトーショコラ」を作ってみた。 アグニを打ち負かした「カリーパン」を完成させる切っ掛けになったシエルのリクエストのスイーツだったから。 今、シエルは一人図書室に籠もり、推理小説でも読んでいるだろう。 セバスチャンのスイーツを待ちわびながら・・・ 契約は歪んだものの、何度も身体を重ね、今まで以上に契約を強固なものへと変化させた。 もうシエルも人間ではなくなってしまったから、別の悪魔が魂を掠める事は出来ないが、身体を奪う事は簡単だったから・・・ それでは悪魔としての美学もかなぐり捨てて、シエルに嘘をつき、アロイスを新たな標的と覚え込ませた自分の努力は無になってしまう。 シエルを手放すと言う選択肢もセバスチャンにはない。 「愛に破れたセバスチャン」 グレルに言われた言葉が胸に突き刺さる。 自分の奢り昂ぶった愚かな振る舞いが、シエルとの本当の契約を終わらせられなかった。 本当のシエルの望みは人のまま「死ぬ」事だったから。 自分を置いて、逝かれるのは、セバスチャンの本意ではなかった。 そろそろスイーツが焼き上がる頃だった・・・ 「坊ちゃん!」 セバスチャンは瞬時に移動し、図書室の中に入った時だった・・・ 「セバスチャン!」 シエルは一言発したまま気を失っていた。 意外な人物の腕の中で・・・
「葬儀屋さん・・・」 そうアンダーテイカーだった。 「ヒッヒッヒッ・・・久し振りだねぇ、執事君・・・」 アンダーティカーは腕の中のシエルの頬を、長い爪で愛おしそうに撫でていた。 「坊ちゃんを離しなさい!何故、今頃になって貴方が・・・」 セバスチャンの表情が険しくなる。 シエルと何度もベッドを共にする間に、アンダーティカーが、シエルに死期を教えた事を知ったセバスチャンは、何時かこの日が来る事を予知していた。 思い違いであればいいのにと思いながら。 「大丈夫、用事が済めばちゃあ~んと君に返してあげるからね」 そう言いながら、葬儀屋は空間を開き、飛び込んだ。 咄嗟の事で対応出来なかったセバスチャンは、後一歩の所で、またしても空間から弾かれ、シエルを葬儀屋に奪われてしまった。 絶望がセバスチャンを襲う。 魂をクロードに掠め取られ、ガックリと膝を付いた時の様に・・・ 「全く・・・自分の主を守る事すら出来ないとは・・・本当に貴方は何と愚かな害虫でしかない・・・」 聞きなれた皮肉なモノ言い・・・ 「また・・・貴方ですか?貴方が出てくると碌な事がない・・・」 ウィリアムだった。 「自分の間抜けさを人のせいにしないで頂けますか?」 「だったら、葬儀屋さんを見張っていて下さい。何故彼が坊ちゃんを誘拐したのか?」 「フフ・・・焦ってる焦ってる!」 いつの間に現れたのだろう? 赤い死神までいた。 「貴方達は、葬儀屋さんを見張っていたのではないのですか?」 セバスチャンは確実に隠された真実に近づいていた。 セバスチャンだけが知らないシエルと自分の過去を彼ら死神は知っているのだろうと・・・ 「貴方には彼の手を離して貰っては、我々が困るのですよ」 ウィリアムはそっけないが、不本意ながらも、セバスチャンを助けるしかないのだ。 それが神の命令ならば・・・ 「そうそう、貴方にはあのガキがいないとね・・・」 恋敵だった筈のシエルをグレルは救いたいのだろうか? 彼らが、話している間にアンダーティカーは目的地に着いていた。 「眠れる王女様・・・目を覚ましなさい・・・」 アンダーティカーは眠るシエルに口付けた。 「うっんんっ・・・」 シエルは覚醒する。 いつも朝目覚める時、セバスチャンだけが知る年相応の無邪気な顔で・・・ 「セ・・・セバス・・・チャ・・・」 「ふう~ん?伯爵はいつもそんな顔を執事君に見せてるんだ。妬けちゃうね」 「アンダーティカーなんで、お前が・・・」 シエルはびっくりした。 人であった時、最後の時を教えてくれた自分の駒であった男・・・ 「ヒッヒッヒッ・・・君には、まだまだやって貰いたい事があるからね」 シエルは自分の身体の変化に気付き、戸惑う。 「何で・・・こんな・・・」 確実に熱くなる身体・・・ 変化はそれだけではなかった。 「フフ・・・もう我慢できない?直接触れたら、もうすぐ来る執事君に殺されちゃうからね・・・舐めてあげよう」 シエルが寝かされていたソファーにアンダーティカーが伸し掛かる。 拒否したくても、シエルは指一本動かせなかった。 「小生が特別に作った媚薬だからねぇ、いくら伯爵が悪魔になった所で、抵抗すら出来ないよ。大丈夫、悪魔は欲望に正直だから、これくらいなら、執事君を裏切る事にはらないよ・・・」 言いながら、アンダーティカーはシエルの足をM字に押し開く。 「嫌ぁぁぁ」 シエルは媚薬に犯されながらも、人であった過去の凌辱を想い出してしまっていた。 ピチャ・・・ピチャ・・・ アンダーティカーはシエルの下肢に顔を埋め、秘部を舐めていく。 「うっうっ・・・」 悪魔である筈なのに、シエルは泣いていた。 「坊ちゃん!」 セバスチャンは声と共に、アンダーティカーに組み敷かれたシエルをあっさりと自分の腕に取り戻した。 「やぁ、意外と早かったじゃないか?もう準備は出来てるからね、後は執事君の出番だよ」 アンダーティカーはいけしゃあしゃあと言う。 バサッ・・・ シエルの長い髪が揺れた。 「何の準備ですか?葬儀屋さん、坊ちゃんをここまで愚弄した罪、償って頂きますよ!」 その時だった。 シャッ・・・ 「んんっ・・・セバス・・・チャ・・・何?」 音に振り返り、過去のセバスチャンと現在のセバスチャンの目が合った気がした。 「もう!何なのセバスチャン!」 声の主は、少女のシエルで・・・ 「何でもありませんよ、シエル・・・誰かに見られてる気がしたものですから・・・」 過去のシエルは、再び、夫となったヴァンパイアのセバスチャンに組み敷かれた。 「これはどう言う事何ですか?ご説明頂けますか?」 シエルをその腕に取り戻しても、セバスチャンの気分は晴れない。 今いる所は、過去のセバスチャンとシエルの寝室で、どうも新婚初夜だと言う事が、雰囲気として伝わったからだ。 「一々説明などしなくても・・・小生には、君と伯爵との子が必要だから、準備をしてあげたのさ。さぁ、ここ以外の客間でもいいから、存分に伯爵を犯してくれたまえ!子供を孕むくらいにね・・・」 セバスチャンはシルバーをアンダーティカーに向ける。 「殺しますよ!貴方、坊ちゃんに何て事を・・・坊ちゃんが私の子など産む訳、ないじゃないですか?私の不甲斐なさが坊ちゃんを悪魔にしてしまったのだから・・・」 「そんな事、今の伯爵には通用しないよ。さぁ、執事君」 「早く・・・セバス・・・チャ・・・」 理性を失くしたシエルがそこにいた。 「何と言う事を・・・いくら貴方が伝説の死神だと言え、好き勝手は許されませんよ!」 ウィリアムも臨戦態勢になる。 「まぁ、いいんじゃない?セバスちゃんたら、今まで色々、そのガキに我慢させられてたんだから・・・」 「貴方は黙ってらっしゃい!我々は神の一員にしかすぎません。神本人でない限り、人の一生を弄んで言い訳がない・・・」 「やっぱり・・・そう言う事ですか?アンダーティカーさん・・・」 ウィリアムとセバスチャンは、アンダーティカーの真意を悟っていた。 只一人、グレルは気付いてなかった。 「第一いくら悪魔同士だって、男と男で、子供を孕む訳ないんだし、いいじゃない?抱いてあげれば・・・」 「だから貴方はクズなんですよ、、坊ちゃんは今は男じゃありませんよ。こんな酷い事を・・・」 そうシエルの長い髪は、女装を装った時のものではなく、女体に変化した証だったのだ。 「何ですって!」 これには、流石のグレルもキレた。 「もっ・・・駄目・・・」 シエルは媚薬の力に抗えず、セバスチャンを求めていた。 「坊ちゃん・・・すぐに楽にして差し上げますよ」 「ああ・・・二度や三度、伯爵に精を注いだ所で、満足出来ないからね・・・伯爵の性が女に固定するくらいに抱いておあげよ」 ヒッヒッ・・・と嫌な笑いのアンダーティカー・・・ 「それでは、失礼します」 セバスチャンは深くお辞儀すると、過去のセバスチャンとシエルの寝室を後にした。 不思議と、足はある部屋に向かった。 「んっんっ・・・セバス・・・」 手っ取り早く、セバスチャンはシエルを全裸にした。 女になってしまったシエルは、トロトロと濃い愛液を垂れ流し、セバスチャンのモノを受け入れる準備を初めていた。 処女だと言うのに・・・ こんな形でシエルが女になり、初めてを奪う事になろうとは・・・ 「坊ちゃん・・・なるべく優しく致しますが、初めてですので、少々痛いかと・・・」 「いい・・・痛くしろ!僕にお前を・・・今生きている証を刻みつけろ!」 「イエス・マイロード!」 セバスチャンはシエルの処女を散らすべく、荒々しく押し入った。 Ⅲに続く・・・ H24.5.12 P4:26
|
「過去からの呼び声 第四章 別離」~後編Ⅰ~ |
羽衣様またも一ヶ月たっちゃいました(>_<) Ⅰ・Ⅱに分けました。 少しでも楽しんで頂ければ幸いです(*^_^*)
「過去からの呼び声 第四章 別離 」~後編Ⅰ~ 「もうっ・・・しつこい・・・いい加減に離れろ!」 何度も何度も自分を犯すセバスチャンにいい加減シエルは呆れた。 現在のセバスチャンは、シエルと想いが通じた瞬間から変わった。 「しつこい・・・ですか?くうっ・・・それは貴方にも言えるのでは・・・」 シエルは人であった時から、セバスチャンのモノを貪欲に咥え込み、ギリギリと締め付けた。 「んっんっ・・・」 シエルは嬌声を聞かれたくなくて、セバスチャンの唇を塞ぐ。 身長差がある為、セバスチャンの方が身体を曲げなくては、いけないのだが。 ピチャ・・・ 重なった唇から淫靡な水音が響く・・・ 繋がった場所でも、グチュグチュ・・・と卑猥な水音が寝室に響き、シエルは全身を薔薇色に染めていた。 「ああ・・・美しい・・・こんな時の貴方は余計に素敵ですよ・・・」 セバスチャンも益々、煽られる。 「やっあっっっ・・・そんな大きく・・・」 「無理ですよ・・・こんなに締め付けてるくせに・・・うっ・・・」 何度目か既に解らぬ程、セバスチャンはシエルの内部に放っていた。 ハァハァと肩で息をするシエルに、負担にならぬ様に、注意しながらも、密着するセバスチャン。 「悦かったですよ・・・シエル・・・何度抱いても、貴方の身体は、私に誂えたかの様に相性がいい・・・」 自分に欲情してると悟らせる程の真剣なセバスチャンの顔。 シエルが知る限りでは、アンジェラが関わった事件の時、情報を知る為だけに、修道女を抱いたセバスチャンだった。 マーキングをしておいた御蔭で、シエルは契約を終わらせる事はなかった。 過去に複数の女を抱いた事のあるセバスチャンが、まさか自分と共にいる事を選択するとは、思わなかった。 悪魔に性別など、関係のない事だと言われても、鵜呑みにする事は出来なかった。 「心ここにあらずですか?シエル・・・私は貴方を愛していますのに・・・」 わざとらしく目をウルウルさせるセバスチャン。 「ウザイ!キモイ!お前そんなキャラじゃないだろう!僕の魂を美味しく喰らう為に、嘘吐いたくせに・・・自分の罪棚に上げて白々しい!もうさっさと風呂!」 「はいはい、我儘ですねぇ・・・悪魔何ですから、私の精液を体内に取り込んで、糧となされば宜しいのに・・・」 ハァ・・・やれやれ・・・ そんな投げやりな言葉が合いそうなセバスチャンにプンプンのシエル。 「そんなの気持ち悪い!普通に食事でも何でもいいから、変態発言は止めろ!」 「全く素直じゃないのですから。では、とっとと身体洗って、お風呂を出ましょうね」 今ではセバスチャンと一緒にお風呂に入り、同じベッドで朝を迎える事もあった。 誰も、二人の間を割く事は叶わなかった。 永遠に・・・ Ⅱに続く・・・ H24.5.5 P11:30
|
「過去からの呼び声 第四章 別離」~中編~ |
過去のセバシエ、パラレル R-18バリバリのHなので、苦手なお嬢様は御戻り下さいね(*^_^*) 過去のセバシエ、シエル女体、捏造・妄想ストーリー 収拾つかなくなり、凄い脱線しましたが、取り敢えず更新致します(*^_^*) 次回では、色々、核心に近づきたいのですが、まだまだ続きます。 どんなセバシエでもOKのお嬢様のみお読み下さいませ(^-^) 「過去からの呼び声 第四章 別離」~中編~ 深くのめり込む互いの身体に苦笑するしかない。 「もう・・・セバス・・・」 何度シエルは、セバスチャンに求められても、慣れる事はなかった。 黒ミサを迎える前に、同族であった『人』に凌辱されていた筈なのに・・・ 「ですが・・・貴方の身体は・・・こんなにも・・・私を求めて・・・」 悪魔になってからと言うもの、シエルの身体は、以前と何ら変わらず、セバスチャン自身を締め付けた。 「僕はそんなつもりは・・・くっ・・・」 シエルの内部で大きくなるセバスチャン。 「そんな・・・大きく・・・」 「し・・・仕方ないでしょう・・・貴方の身体が貪欲なのだから・・・」 「はっあっっっ」 セバスチャンも珍しく余裕のない表情を見せた。 汗に塗れ、シエルの内部の締め付けに、喘いてさえ見えた。 「もっと僕を欲しがれ・・・これは罰・・・なんだから・・・」 「イエス・マイロード・・・私は・・・はっ・・・くっ・・・貴方が欲しい・・・」 「ああんんっっっ」 シエルの締め付けに、欲望を放ったセバスチャンも、疲労感からシエルに凭れ、気を失う様に眠ってしまう。 過去が二人を呼んでいるのだ・・・
「ふっああ・・・」 過去の少女のシエルが目覚めたのだ。 現在のシエルと違い、目覚めは頗る良い方だ。 トントン・・・ 「どうぞ・・・」 「失礼します、シエルお嬢様」 シルバーとメイリンが入ってきた。 目覚めの紅茶と着替えの為に・・・ コポコポ・・・ カップに紅茶が注がれる心地良い音・・・ 昨夜の出来事を労う為に、ストレートのダージリンにミルクを添えて・・・ 一族を背負う為とは言え、人外の身を夫に迎えようとする主に、執事でしかない身では、美味しい紅茶を供するしか出来ないシルバーは、我が身が歯痒かった。 コクッ・・・ シエルは一口飲み、脳を活性化させる。 時期当主として、生きていかねばならぬ身では、のんびりとした貴族の娘でいられないシエル。 今日からは、セバスチャンの婚約者となり、王の許可が下りれば、近々には、婚礼の運びとなるだろう。 後悔はしない。 今ここで生きていく為には、これしかないのだから。 「お嬢様、御婚約おめでとうございます。ミカエリス公爵は、社交界でも有名な御方・・・御婚約されるには、素晴らしい御方ですよ」 ニコニコと微笑むメイリン。 無邪気だから仕方のない事なのだが・・・ 「ありがとうメイリン、あの方と婚約出来て嬉しいわ」 内心からの言葉・・・ 自分では気付いてないシエル。 恋など知らなかったのだから・・・ 初めは、一族を継ぐ義務として、子を成すのに、最適な相手が、ダンピールだったセバスチャンだっただけ・・・ それが、何時しか恋する相手になっていたとは・・・ セバスチャンとシエルは何時の時代も、平凡な生活を送る事は叶わない・・・ 過去の因縁、運命・・・ 愛し合いながらも、互いに刃を向け、根首を掻こうとするのは、今の二人から始まっているのだ。 種族を越えた愛・・・ 時には破滅を齎す関係・・・ 今のシエルは女性で何れ、ダンピールであるセバスチャンの子を産むのだ。 シエルの内心は荒れ狂っていた。 セバスチャンがダンピールで、未だ人体からの吸血はしていないものの、自分を抱いた時、変化するかも知れないと・・・ しかし、父は魔術を操る。 それにより、不完全な吸血鬼であるセバスチャンを抑え込むくらいは、朝飯前だった。 メイリンが、シルバーが退出してからのシエルの支度を着々と進める中、シエルはずっと考えていた。 前の自分なら、ダンピールであるセバスチャンに、遅れをとるなど有り得ないからだ。 (何故、殺せなかった?) ダンピールであろうがなかろうが、吸血鬼の血を受け継ぐ以上、セバスチャンは敵なのだから・・・ それが運命と気付かぬまま・・・ どんなにシエルが悩もうと運命は否応なしに、二人の歯車を狂わせ、現在の二人の未来を迎えるのだ。 それが、どんな結果を導くのかは今の二人次第・・・ 「お嬢様、お綺麗ですよ。奥様が生きていらっしゃればさぞ・・・」 シエルを産み落とし亡くなった母・・・ 父はシエルを愛し、次期当主にするべく厳しく教育した。 その甲斐あって、シエルは美しく、たおやかで、剣さばきにおいては、一流の剣士となった。 社交界では、シエルの求婚者が後を絶たず、現ファントムハイヴ伯爵の頭痛のタネだった。 その悩みは一応解決したのだが、その存在が新たな悩みの種だろう。 「お父様、おはようございます。今日は、改めてミカエリス公爵が、ご挨拶にこられます。正式に婚約し、わたくしとの結婚を認めて頂きたいと、おっしゃられました」 「おはよう、シエル。ああ・・・遂にその日が来たんだね・・・私は構わないよ。シエルは次期当主・・・その決定は絶対だからね・・・でも良いのかい?彼がダンピールだと知っているのに・・・」 「はい、わたくしは強い子を得る為だけに、あの方に身を任せるつもりでしたが、大人の男の怖さをみせつけられただけでした。でも、あの方は、わたくしと正式に結婚するとおっしゃった。ですから、わたくしはその道を選ぶ事に致しました。お父様は、ご了承下さいますのね」 「お前が決めたのならね・・・本当は、お前を人外に任せるつもりはなかったが、こうなった以上、認めざるを得ないだろう。それに、彼と結婚する為には、ヴァンパイアを殲滅する口実にもなるしね。彼の命を守る為には、奴らを狩らねばね」 「はいお父様、ありがとうございます。これからも、宜しくご指導下さいませ」 「そうだねシエル。もっともっと強くならねば、彼を守れないだろうしね。さぁ、折角の朝食が冷めてしまうよ。午後には、彼がくるのだろう?」 「ええ、お父様。これからは、戦いになりますから、しっかり頂きますね」 二人はシルバーに給仕されながら、朝食を摂る。 忠実なる下僕・・・シルバーは只、それのみの存在だった。 例え、ライカンの王族の出であろうとも、素姓の知れぬ身では、それ以上の存在にはなれない。 セバスチャン・ミカエリス・・・彼が現れるまでは・・・ シルバーは男としてシエルを意識してしまったのだ。 シエルをセバスチャンに穢されたと思った時、怒りのまま牙をむこうとした。 しかし、それは完全な誤解だった。 セバスチャンに嬲られたものの、まだ処女であった。 もう手遅れなのだが・・・ 「シルバー、お前はよくやってくれている。本来ならお前をシエルの相手としても良かったのだが、既に私が契約してしまった以上、お前の力は解放されない。それでは、いざとなったら、シエルを守る事は出来ないのだ。解ってくれ」 「お父様!その様な事・・・今言わなくても・・・」 「いいえ、お嬢様、私は貴女の忠実なる下僕。貴女に命を救われなければ、今ここにいる事など出来なかったのです。旦那様のお気持ちは嬉しいのですが、私の望みは貴女の幸せのみ。御気になさいますな・・・」 「シルバー・・・」 シエルは悲しい気持ちになる。 出会って自分の気紛れで、屋敷の執事となったシルバー・・・ シルバーに出会わなければ、彼は別の生き方が出来たのでは?と・・・ スープを掬う手が止まるシエル。 「お嬢様、どうなさいました?パンプキンスープは、御口に合いませんでしたか?」 どこまでも優しいシルバー。 「いいえ、只の感傷よ・・・いざとなると色々考えるから・・・」 シエルはまだ16歳・・・ 現在なら、まだまだ遊びたい盛りだが、当時の少女は王族であれば、14歳で他国の王妃として嫁いでも当たり前の年齢だ。 ヴェルサイユの薔薇と謳われた、かの有名なフランス王妃マリー・アントワネットが後のルイ十六世に嫁いだ歳でもあった。 貴族の娘も、王族の王女も可愛そうだったかも知れない。 自分の意思で結婚を決める事など、稀だったから・・・ イギリスの王室の王は代々、実直で、キビキビとした執務を行う者が多かった。 そこがフランスと違っていた。 フランスで有名な太陽王ルイ十四世は無類の女好き。 フランス宮廷では当時、午後からの貴族の集まりが持て囃されていた。 もし、今のシエルがフランス宮廷にいたら、即、愛妾にされていただろう。 当時の女性は、自由恋愛など許されなかったから。 自分は幸せだとシエルは考える。 何時のシエルも前向きなのだ。 落ち込むのは、セバスチャンの方・・・ 現在のセバスチャンがシエルを悪魔に変えられた当時、絶望していた様に・・・ 二人の歯車は確実に動き出す。 シエルは、午後から来るであろうセバスチャンに想いを馳せた。 後編に続く・・・ H24.4.5 P10:06 あとがき 脱線しまくりで、焦らしプレイ中のストーリー 兎に角、現在のセバシエのイチャイチャ書けて満足しています(*^_^*) 核心に近づきたいのですが、中々、進みません。 TLに嵌ってて、中々、腰を上げれませんでしたが、今回は頑張りました。 ラストが二転三転して、どうなるか、まだ未定ですが、少しでも、お楽しみ頂ければ、幸いです(*^_^*)
|
|
|
|