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「過去からの呼び声 第四章 別離」~前篇~
 羽衣泡珠様のみお持ち帰り下さい。
 二か月もお待たせして、申し訳ございません(>_<)
 やっと前篇として少し更新しました。
 少しでもお楽しみ頂ければ幸いです(>_<)


「過去からの呼び声 第四章 別離」~前篇~
 「悪魔の私達が、何故同じ夢を見るのでしょうか?」
セバスチャンに解らぬ事がシエルに解る筈もなく、
 「お前に解らぬのなら、僕に解る訳ないだろう?一体何なんだろう・・・」
 二人して頭を抱える。
 昨夜は抱き合い、快楽に身を委ね、疲れ果て眠った二人。
 どちらが欠けても、満足出来ぬ二人・・・
 共に散ると誓ったのだ。
 悪魔同士の誓いなど無に等しいと言うのに・・・
 「しかし、過去のお前が童貞等と、笑わせてくれる。今のお前は、どんな女も思いのままだと言うのに・・・」
 シエルはクスクスと笑う。
 悪魔になったからと言って、感情を失くした訳ではなかった。
 セバスチャンに抱かれ昂ぶる身体・・・人間だった頃と何ら変わらないシエル。
 変わったのは、セバスチャンの方だ。
 魂を食えぬと解った時、シエルを見捨てても良かったのだ。
 シエルに興味を失くした時、一度はシエルの傍を離れ、天使のアッシュと共にいたのだから・・・
 アッシュが女のアンジェラとして、欲したのは、セバスチャン自身・・・
 女として抱かれたいと願ったが、シエルしかみていないセバスチャンは、いつの間にか、消えていた。
 堕天使となっても、父である神の為に、人間を浄化し、清い国に作り替えたかった哀れな天使アッシュ・・・
 シエルは今も真実を知らない・・・
 否、例え知ったとしても、セバスチャンを離す事など有り得ない。
 それ程に、愛してしまった今では・・・
 過去の二人が、今の二人に、影響しようが、シエルには、関係ないのだ。
 いつでも、前を見て突き進む潔さ。
 それは、シエルが悪魔になっても変わらない。
 「何だっていい。お前が僕の傍から離れなければ・・・」
 シエルはセバスチャンに自分から口付けた。
 「お珍しい事を・・・貴方からキスして頂けるのなら、変な夢も歓迎しなければなりませんね・・・」
 嬉しそうなセバスチャン。
 「たまにはいいだろう?飼い犬にエサは必要だろう。僕には、もう、この身体しかないのだから・・・お前にやれるモノは・・・」
 シエルは呟く。
 与えたかったのは、自分の魂・・・
 飢えさせるつもりはなかったのに・・・
 シエルの思考とは、裏腹に、セバスチャンを苦しめる結果になってしまった。
 「それでも私は、貴方のお傍から、離れる事は出来ません。欲しかったのは、魂ですが、貴方の身体も捨てがたい・・・」
 言いながらも再び、シエルをベッドに沈めた。
 「ハッ・・・あっ・・・」
 いきり立つセバスチャンのモノは、シエルを貫く。
 快感にシエルは背中をゾクゾクとさせていた。
 過去の凌辱の記憶が、セバスチャンを正面から受け止める体位を選ばせていた。
 「シエル・・・シエル・・・愛しい人・・・」
 悪魔になっても、愛しいかけがえのない存在。
 どこまで堕ちれば、二人は許されるのだろう。
 狂った運命は、二人を呑みこむ。
 深く深く闇の底まで、堕ちて・・・
                H24/3/13 A0:05

「過去からの呼び声 第三章 現在」
  死渡幻夢様に捧げます。
 死渡様のみ、お持ち帰り下さい(*^_^*)
 いきなりHシーン満載ですので、閲覧には、ご注意下さいませ。


「第三章 現在」
 クスクス・・・とても愉快そうな笑い声・・・
 ついぞ聞いた事のない無邪気な声・・・
 「楽しそうですね・・・坊ちゃん・・・」
 「ああ・・・これ程、愉快な事はない。やっとお前に勝てた気がする」
 尚もクスクス笑うシエルに、セバスチャンの眉がつり上がる。
 「貴方は良いでしょう・・・お腹一杯で・・・私は・・・」
 元気のないセバスチャン。
 それもその筈、シエルは快楽の余り、セバスチャンの精気を吸う加減が出来なかったのだから。
 いくらセバスチャンでも、空腹状態で、シエルに思い切り精気を吸われては堪らない。
 「もう仕方ないなぁ・・・そら?」
 シエルはセバスチャンに口付ける。
 自分で回復するまで取り戻せと言う事。
 「んっ・・・はっ・・・」
 深く口付けられて、シエルが喘ぐ。
 セバスチャンはシエルの声に、背筋がゾクゾクするのを感じる。
 何度抱いても飽きない・・・シエルとのSEXは文字通り、命がけなのだが、セバスチャンは止められない。
 ピチャペチャ・・・淫靡な水音に二人の気分も高まる。
 「もう・・・セバス・・・」
 舌たらずにシエルがセバスチャンを求めるのが合図・・・
 セバスチャンはシエルを仰向けに押し倒すと、昂ぶった己を蕾に挿入した。
 「はっあっっ」
 ズッズッ・・・セバスチャンは緩やかに律動していた。
 つい先ほどまで、抱き合っていたのだ。
 今、シエルとのキスで、精気を取り戻しても、そう簡単にセバスチャン自身が回復する訳もなく、交わった個所でも、精気を補給するセバスチャン。
 その度に、キュウキュウ締め付ける。
 「坊ちゃん・・・その様に締め付けられては・・・くっ・・・」
 セバスチャンは進む事も、離れる事も出来ず、只、呻くだけ・・・
 「そんな・・・事・・・言っても・・・はあぁぁぁ」
 シエルは自分の身の内に、セバスチャンがいると言うだけで、感じてしまう。
 嬉しい・・・のだ。
 どれ程、自分の身の上を呪ったか・・・
 自分の半身は、最早セバスチャンに呑みこまれてしまったかも、知れない。
 もう二度と、会う事もないだろう。
 自分が悪魔である限りは・・・それでも構わない。
 自分は一人ではないから・・・
 抱き締めてくれる優しい手に縋ってしまった自分・・・
 心は家族と共に死んだ筈だったのに・・・
 復讐を捨てたら、自分じゃいられなくなると誓った遠い日々・・・
 色褪せた悲しみは、心を軋ませるけど、もう何も知らなかった幼い自分はいない。
 人間だったシエル・ファントムハイヴは、もういない。
 ここにいるのは、悪魔のシエルだけ・・・
 「セバスチャン・・・もっと・・・僕にお前を刻み付けろ!痛みと共に、今、生きている証を僕に示せ!」
 「イエス・マイロード」
 激しくなるセバスチャンの腰の動き。
 灼熱の杭でも、打ち込まれた程の熱をシエルの蕾は感じる。
 セバスチャンのモノをギリギリと締め付けながら・・・
 「はっ・・・あっ・・・快いですよ・・・シエル・・・」
 シエルだけでなく、セバスチャンも快楽に呑みこまれる。
 「もっと僕を欲しがれ・・・僕は、もっともっとお前が欲しいのだから・・・」
 「これ以上、私を煽っては、どうなるか知りませんよ・・・」
 セバスチャンは悪魔だ。
 どんな人間でも、堕とせるし、抱ける。
 今はシエル以外は要らないが・・・
 「ふう・・・やっ・・・そんなに大きく・・・あっ・・・」
 シエルの内部でセバスチャンのモノが張り詰め、裂ける程の勢いで膨らむセバスチャン自身・・・
 「無理・・ですよ・・・あんまり貴方がお可愛らしいから、制御不能です」
 汗を飛び散らせながら、益々、律動を激しくしながら、シエルを抱き締めるセバスチャン・・・
 シエルはセバスチャンの首に手を回し、しがみ付くだけで、精一杯。
 「セバスチャン・・・セバスチャン・・・」
 シエルはしがみ付き、キスを強請る。
 かさなる唇に、お互いの身の熱さを想い知る。
 クスクス・・・二人ニコニコと微笑む。
 これ程、穏やかな時を過ごした事があっただろうか?
 二人は互いの熱さを感じ、深く口付け、深く深く混じり合う。
 二つの身体が一つになる感覚・・・溶け合う瞬間・・・
 二人は快楽に身を委ね、意識を飛ばしていた。
 過去へと・・・
 
 シャァー・・・過去のシエルは浴室で震えながら、シャワーを浴びていた。
 怖かった・・・
 自分の役目として、子供を為す行為を恐れるとは・・・自身の弱さに歯噛みする。
 しかも初めての自分にあんなモノを・・・
 童貞と言いながらも、手慣れた感のセバスチャンが信じられないシエル。
 でも経験がないのなら、自分の処女を散らす事も可能だった筈・・・
 震える身体を叱咤する。
 自分は次期当主・・・
 ハンターとしてヴァンパイアを狩らねばならぬ。
 身体にソープを付け、汚れを拭う。
 完全に、セバスチャンに抱かれた訳ではないのに、自分は彼を受け入れられるのだろうか?
 どんなに怖くても、自分の背負うモノに賭けても、引き下がる事は出来ない。
 新たな決意をするシエル。
 自分がどんな運命を辿るのかも気付かぬまま・・・
 髪も洗い、身体を湯船に沈めると、人心地ついた。
 「フゥ・・・」
 溜息が出てしまう。
 明日からは「セバスチャン・ミカエリス」の婚約者になる自分。
 後は、回りへの告知、国王への結婚の許可・・・やるべき事は山ほどある。
 温まり、バスタオルで丁寧に身体を拭き、髪をタオルで包むと、真新しいネグリジェに着替える。
 セバスチャンを怒らせた感はあったが、一応紳士だった彼。
 伴侶とするには、最高の容姿。
 ベッドに入るとシエルは疲れて眠ってしまう。

 意識は現在へと戻っていく・・・
 「セバスチャン・・・」
 「どうしましたシエル?」
 「んっ・・・何か不思議な夢を見た・・・僕は女で・・・ヴァンパイアハンターでダンピールのお前と会うんだ。でも・・・お前と結婚するとか「変ですね?私も同じ夢を見ていましたよ・・・」
 二人は顔を見合わせて、絶句した。     H24.1.13 P11:22

「第二章 運命」更新
 第一章をお読み下さり、納得頂いたお嬢様のみ、ご覧下さい。
 シエルは女体でセバスチャンは悪魔以外の人外です。
 設定は自由奔放にやってますので、原作のイメージが崩れて嫌な方は、読まないで下さいね。
 閲覧後の苦情は受け付けておりませんので、悪しからず(>_<)
 書く機会を与えて下さった、死渡幻夢様のみ、お持ち帰り自由です。



   「第二章   運命」
 「それでこそヴァンパイアハンターだ。貴女は私を退屈させない素晴らしい人間だ。ですが、私を呼び寄せた理由は何です?」
 セバスチャンの喉元にナイフを宛がったまま、シエルは身を起こす。
 空いた左手で、胸元のリボンを引けば、シュルッと音がして、次には、パサッと音がする。ネグリジェが肌蹴たのだ。
 小ぶりな胸を左手で隠す様にしながら、シエルは告げる。
 「貴方の子供が欲しい・・・」
 真っ赤な顔で、俯き加減で呟くシエル。
 セバスチャンは目を見開き、暫しの沈黙・・・
 「アッハハハ・・・貴女何を言ったか、解ってらっしゃるんですか?私はダンピールですよ?一応、ヴァンパイアに属するモノとは言え、完全体でない化け物だ。そんな私の子供が欲しいと?そもそも、どうすれば、出来るか解って言ってるなら、とんだアバズレだ。やっぱり見かけ倒しですか・・・」
 セバスチャンは溜息を吐く。
 刺激こそ自分が生きてる証。
 自分は好きでダンピールとして、産まれた訳じゃない。
 例え、両親の愛の結晶として、誕生したとは言え、自分だけを残し、二人はもうこの世にいないのだから・・・
 「馬鹿にするな!私は只、跡継ぎが欲しいだけ。どんなに酷くしてもいいから、今夜一晩で孕ませてみせろ!私は、跡継ぎを誰にも負けない子供にしなければならないのだから」
 シエルの剣幕に流石のセバスチャンもたじろいだ。
 しかし、元々父親はヴァンパイアなのだ。
 人如きに怖れを為す筈がない。
 「解りました。只、子供を作れば良いと・・・ではまず、その無粋なナイフをどけて下さいますか?」
 「んっ・・・解った・・・」
 シエルは、ナイフをどけた。
 「フフ・・・素直で良い子ですね。では、存分に私を味わって頂きましょう・・・」
 セバスチャンはそう言うと、シエルの頬を優しく撫でて、ベッドに組み敷いた。
 セバスチャンの端正な顔がシエルに近づき、シエルの唇を塞いでいた。
 両手で胸を隠していた腕を引き剥がされ、セバスチャンの手がシエルの胸を揉み出した。
 「んんっ・・・」
 慣れない感覚にシエルは、慌てる。
 胸を揉んだり、ささやかな突起を摘まんだり・・・次第に熱くなる身体に翻弄されるシエル。
 只、いきなりでもいいから、ずっぷりと挿入されて、破瓜の痛みと血に塗れ、処女を奪われると思っていたのに、ここまで優しく焦らされるとおかしくなってしまう。
 欲しいのは、セバスチャンの子種だけ・・・
 何度も、犯されて、ダンピールの血を受け継ぐ子供を妊娠したかっただけ・・・
 シエルの本音は別にあったのだが・・・
 初めて会った時から、気になっていた。
 ハンターとヴァンパイアとは敵対関係なのに、セバスチャンの子供を欲したのは、気の迷いでもなんでもないのだ。
 彼の子供だから、産みたいのだ。
 例え、シングルマザーと後ろ指を差され様とも・・・
 次第にセバスチャンの手は、下に下がっていく。
 辛うじて、下腹部は下着を付けていた。
 唇は塞がれたまま、覆い被され、左手は胸を愛撫し、右手で下着の上から、秘部をなぞる。既にそこは、愛撫により、感じてしまい、蜜を零し始めていた。
 クチュックチュッ・・・ヌルヌルしてて、シーツにシミを作る。
 「ああっ・・・」
 ツプッ・・・下着をずらし、秘部にセバスチャンの長く、シエルの指より太い指が入り込む。
 「あっ・・・やぁ」
 シエルは、セバスチャンの唇から逃れ、拒否の姿勢を見せてしまう。
 「貴女の望みでしょう?これでは、まだまだ孕む行為まで、進めませんよ?これくらいで、根をあげないで下さいね」
 グチュ・・・シエルの内部に無遠慮な指が、押し進んだ。
 「ハァッ・・・」
 シエルは仰け反り、目からは涙が滴り落ちた。
 「これでは、まだまだですね・・・」
 セバスチャンは最後の砦とも言うべき、下着を一気に取り去り、シエルの足をガバッと広げると、自分の眼前に秘部を晒した。
 ピチャ・・・セバスチャンの舌がシエルの秘部を舐めていく。
 「嫌・・・嫌ぁぁぁぁ」
 拒絶して、セバスチャンの髪を掴み、引き剥がそうとしても、シエルの力では敵わない。
 セバスチャンの舌使いが激しく、シエルはポロポロと泣いていた。
 初めての快楽に翻弄されての事だった。
 セバスチャンは舐めるだけでなく、女の敏感な部分を指で愛撫し出したのだ。
 何度も、男と関係を持っているなら兎も角、何の経験もないシエルには、過ぎた刺激だった。
 「ふっふぇ・・・」
 涙は次々に溢れ、シーツを濡らす。
 それでも、セバスチャンの愛撫は止まらない。
 舌でシエルの花弁を舐めまわし、敏感な部分を摘まむ。
 「ああっ・・・」
 シエルは背を仰け反らせ、爪がセバスチャンの肩に食い込み、血が流れ出す。
 「フフ・・・この血の匂いで、廊下に待機していらっしゃるシルバーさんのライカンの血が、目覚めなければ良いのですが・・・」
 ビクッとシエルが震える。
 シルバーは気配を押し殺し、闇と同化しているのだ。
 「何故それに・・・」
 「気付いたか?ですか・・・貴女は別にして、私とこうなる事をお父上とて、歓迎はしていらっしゃらないでしょう?どうせ、私を垂らし込んで、引き込んで、一族を壊滅させるおつもりでしたでしょう?無駄ですよ。もう私には、彼らを見つけられませんから・・・」
 「それはどう言う?」
 訳?と聞きたいシエルの言葉は続かない。
 「はっあああ」
 シエルの処女膜は破らない様に配慮しながら、セバスチャンに内部を刺激されれば、大抵の女は陥落してしまう。
 もっとも、今まで女を抱いた事のないセバスチャンだったが・・・
 「くっ・・・止め・・・」
 「止めませんよ、私はこのまま、貴女を解放する気はありませんよ。」
 言いながらも秘部を責め立てるセバスチャン。
 セバスチャンは女を抱いていないのではなく、抱けないのだ。
 その気になった事がなかったのが、正解かも知れない。
 本当に心から欲しいと思ったモノにしか、反応しないのだから。
 それが、両親の望みでもあり、一種の呪いでもあったから・・・
 その頃、廊下のシルバーは・・・
 人間体を取っているとは言え、ライカン。
 血の匂いに反応しない訳はない。
 しかし、シエルの血が流れた訳ではないので、姿を現す事も、部屋に踏み込む事もせず、闇に溶け、同化したままだ。
 シエルに呼ばれるまで、動けない。
 (お嬢様、貴女は最後まで、その男と・・・)
 妹の様に可愛がり、慈しんだシエルが、セバスチャンによって穢される。
 耐えがたいが、シエルが望まない以上、動けない。
 シエルの背負うモノはそれ程までに、大変なモノ。
 一族を継ぐ為に、次代を産み育てるのが、女性の存在意味である以上、シエルも本能に逆らう事など出来ない。
 初めて、セバスチャンと出会い、城に招かれ、ヴァンパイアと言う存在を抜きにしても、セバスチャンは魅力的だった。
 楽しい会話、紳士的な態度、エスコートの素晴らしさ・・・何一つ、シルバーが叶うモノはない。
 それでもシエルを想う気持ちでは、セバスチャンに負けたつもりのないシルバーだ。
 シエルの心の変化には気付く事なく・・・
 恋は唐突に訪れる。
 何の決まりもなく、強制力も持たず、自由奔放なモノだ。
 シルバーはシエルを妹の様に想ってはいるが、その身体を自由にしたいと想う欲望もある。叶う事ないのは、シルバー自身が知っている。
 只、守る為に生かされている自分なのだから。
 
 「はっああんっ」
 相変わらずのシエルの嬌声は続いている。
 セバスチャンの愛撫は変らない。
 しかし、一際激しく舐めまわすと、シエルは喘ぎと共に身体をベッドに預けた。
 クッタリとなったシエルにセバスチャンは更に、追い打ちをかけた。
 スラックスを寛げ自身を取り出し、再びシエルを組み敷き、口づける。
 シエルの手を握り、自身に触れさせた。
 それは高度を増し、鎌首を擡げ、ビクビクと反応していた。
 「はぁっ・・・こんな・・・」
 シエルは顔を真っ赤にしてしまう。
 どうすれば子が出来るのか?
そんな事は、シエルだとて勿論知っている。
 乙女ではあるが、家庭教師にも、性教育の担当の教師もいる。
 只でさえ、貴族の娘は、自身を売り込む為に、あの手この手で、どこぞの貴族の子息を垂らし込む術を教育されるのだ。
 勿論、女教師が言葉で教えるだけだ。
 男など宛がったりしては、身体の関係まで出来上がり、果ては、二人で駆け落ちしてしまったケースが後を絶たなかったからだ。
 「貴女は、只、跡継ぎが欲しいのでしょう?こんな化け物の私の子であろうとも・・・ですが生憎、私は、女を抱いた事がないのですよ、勿論、男もですが。両親に第三者と肉体関係を持つ事を禁じられていましたから・・・」
 セバスチャンの言葉に、シエルは反論したい気分だった。
 性経験のない彼に自分は、散々、翻弄されたのだから・・・
 黒曜石の様な、真っ黒な瞳・・・人外を想わせる整った容貌・・・どれ一つ取っても、怪しさ満点なのだ。
 それなのに、女を知らないと言われて、いまさらどう責任を取れと言えるのか・・・シエルを充分煽り、昂ぶらせて、そのま放置なのか?
 呆然としているシエルに、セバスチャンは覆い被さったまま、行為は終わらない。
 「ちょっ・・・もう・・・」
 「止めないと言った筈ですが・・・」
 気付けば、セバスチャンは、うっすらと汗をかき、上気していた。
 シエルの手に自身を握らせたまま、指はシエルを愛撫しているのだ。
 (どうしてこいつは・・・)
不思議な感覚だった。
何も知らない同士が出会い、肌を合わせた。
しかし、前に進む事は出来ないのだ。
シエルの瞳は既に潤み、一筋の涙が流れた。
セバスチャンはシエルを抱き締め、口づける。
自身を握らせていたシエルの手を離させ、シエルの敏感な部分に摺りつける。
 「はっあっっっ」
シエルは背を仰け反らせ、行き成りの快感に、身悶えた。
 「やっああん・・・」
可愛らしい嬌声が、セバスチャンの耳を擽る。
 「シエル・・・貴女は美しい・・・」
言いながら、首筋を舐めまわす。
ゾクゾクした快感を感じ、シエルは絶頂を感じて、セバスチャンの腕の中、ぐったりとしてしまう。 
 「もう少しですから、我慢して下さい・・・」
 セバスチャンはまだ、一度もイってないのだ。
 女を抱く事は出来なかったのだから、自慰くらいはしていた。
 只、特殊な人外だからと言う理由で、子供を作る為だけの一夜など、セバスチャンのプライドをズタズタに傷付けた。
 シエルはシエルで、自身の次代の子を産み、ハンターを継ぐ子を育てなければならないと言う重圧で、自分の本心に気付かないだけなのだか・・・
 二人ともまだ「恋」を知らなかったのだから・・・
 恋はいつから始まり、どの様な結末を迎えるのかは、当人同士の問題。
 第三者が介入しても言い訳ではない。
 「もう早く・・・」
 シエルは息も絶え絶えだった。
 全身をピンクに染め、いつの間にか全裸にされ、自分の身体が自分でない様な、不思議な感覚に翻弄されていた。
 自身の敏感な部分でセバスチャンは雄を摩り、快楽を感じているのだ。
 整った顔が乱れ、吐息も次第に荒くなるセバスチャンにシエルは愛しさを感じた。
 (何故、私はこの人を相手に選んだのかしら・・・)
 シルバーにセバスチャンの子供を欲する事を告げ、シルバーは、現当主であるファントムハイヴ伯爵に、事実を告げた。
 ハンターとしての役割を果たす為とは言え、人外に身を任せる娘を喜ぶ、父親など存在しない。
 出来れば、どんな馬鹿な男でも良いから、人間を夫に迎えて欲しかったのだ。
 しかし、次期当主であるシエルの決定は、覆せないのだ。
 それがシエルと父との約束。
 「くっ・・・シエルもう・・・」
 セバスチャンは眉間に皺を寄せ、欲情の迸りを白いシエルの肌に散らした。
 ドクンドクンとセバスチャンのモノは、波打ち、白濁でシエルを穢した。
 シエルの白い肌に、セバスチャンの放ったモノが吸い込まれていく。
 「マーキング完了です。これで貴女は私のモノ・・・私の子供を欲しいと言われるなら、ちゃんと手順を踏んで頂きませんと・・・」
 言うとハンカチで自身を拭い、衣装の乱れを整えた。
 シエルはいまだに快楽の中にいて、疲れからか、ピクリとも動かない。
 セバスチャンはシエルの額にチュッとキスする。
 「明日、正式にお伺いして、結婚の準備を整えましょう。私は形から入るのが好きですから。」
 シエルは虚ろな瞳で、セバスチャンの言葉を聞いていた。
 まさか、ヴァンパイアであるセバスチャンが、結婚して子作りなどと、まどろっこしい手段を取るとは、想わなかったので目をパチクリさせる。
 「本当に失礼な方ですね?貴女との子なら私も欲しいと想いましたし、反応致しましたのでね。それでは、理由になりませんか?」
 人とは、異質な存在を否定したくて堪らない。
 ましてやこれだけの美貌の持ち主なのだ。
 セバスチャンは・・・
 今まで、両親の言い付けを守り、童貞などと、どれ程愚かな女であっても嘘としか、想わないだろう。
 「嘘つき・・・」
 身体に力の入らないシエルが、辛うじて、紡いだ言葉・・・
 「私の言葉が信じられないのでしたら、どうぞお好きな様に・・・貴女に信じて頂ける様に、これから努力致しますので・・・」
 セバスチャンは、未だに虚ろなシエルの手を取り口づける。
 そんな時だった。
 「お嬢様!」
 バタンとドアを開け、シルバーが入ってきた。
 すっかり力を無くし、情事の余韻に浸っているかの様なシエルの裸体が、目に入る。
 「貴様!」
 シルバーは、牙を剥き出し、セバスチャンの傍に近づく。
 「待って!シルバー、これは違うのよ!」
 シエルは、必死になってシルバーに声を掛けた。
 まだシエルは、処女なのだから・・・微妙に誤解を受ける状況ではあるが・・・
 「何が違うのです?貴女は、こいつに穢されたのでしょう?いくら旦那様が、御許可されても、私はそいつを許せませんよ!想い知らせなければ・・・」
 「面倒な方ですね、私は貴女の大切なお嬢様を妻に迎えるのですから、もう少し穏やかに接して頂けませんか?」
 セバスチャンは頭に手を当てて、溜息を吐く。
 「何だと!お前はシエル様を妻にすると・・・まさか、もう、血を吸ったのか?」
 微妙な感違いに、セバスチャンの口元が歪む。
 シルバーはかなりの石頭なのだ。
 そんなシルバーを無視するかの様に、ぐったりするシエルにセバスチャンはネグリジェを着せつけていく。
 シルバーはシエルが成長し、女性らしくなる前に、身の周りの世話は、メイリンに譲っていた。
 男である以上、シエルを女として見る事もあるからだった。
 それなのに、自分とシエルの間に降ってわいたセバスチャンと言うヴァンパイアは、遠慮もなしにシエルに触れている。
 まるで、愛し合った後の妻を労わる夫の様に・・・
 シルバーは頬を染め、セバスチャンに為すがままに身を預けているシエルが信じられなかった。
 自分はシエルの兄同然ではなかったのか?
 シルバーは絶望を感じていた。
 「シルバー私はまだ完全には、この方に抱かれてはいません。只、無力さを想い知らされただけ・・・この方は、正式に私と結婚して下さるとおっしゃった。私はハンターとして、只、強い子供を産みたかった。それでも、この方は私を妻にすると言う。私はその言葉に賭けてみようと想います。シルバーこの場は引いて、私は貴方をお兄様の様に想っています。もし、この方と結婚するのが、気に入らないと言うのならば、貴方の自由になさって。でも、私は貴方には、幸せになって貰いたいの。この屋敷にいつまでもいて下さる事が私の望みなのですよ。贅沢かも知れませんが・・・」
 シエルはシルバーに解って貰いたくて、必死に説明した。
 「貴女はご自分の気持ちには、素直になられないのですね?解りました。貴女がこの方を夫にされるのでしたら、私は従いましょう・・・私は貴女に助けて頂いた。私は貴女に永遠の忠誠を・・・」
 シルバーは牙を収め、シエルに跪く。
 セバスチャンに身を預け、ウットリとしているシエルなど視界に入れたくないのだから。
 「では、シエル明日の朝、貴女のお父様にご挨拶致しましょう。お伝え願えますか?」
 シエルの秘所は、未だに、先ほどの刺激で濡れたままで、気持ち悪く、室内には、甘い香りが立ち上っていた。
 ライカンであるシルバーには、二人が結ばれてはいないものの、何かがあったのは、バレている。
 このまま、シエルとシルバーを二人きりにしていいものかと言う不安はある。
 それでも、いつまでもこのままでいる訳にはいかない。
 ダンピールであっても、セバスチャンは未だに、女性の生き血を直接人体から摂取してはいない。
 屋敷に帰り、摂取しなければ、命を保つ事は出来ないのだ。
 両親の忠実な下僕に守られ、純血種に殺される事なく生きてきたセバスチャンなのだから・・・。
 名残惜しいが、シエルに告げる。
 「貴女と彼を二人きりにしても大丈夫なのですか?」
 シエルは微笑む。
 「シルバー来て・・・」
 シルバーを呼び寄せ、触れようとすると、シルバーは弾かれた。
 シルバーの額とシエルの胸元に紋章の様なモノが浮かび出す。
 「契約を・・・」
 セバスチャンは絶句した。
 どの様な契約かは、おおよその見当がついた。
 シルバーはシエルに触れる事が出来ないと言う事なのだ。
 「何故その様な契約を・・・代償は?」
 セバスチャンは青くなった。
 自分のプライドを傷付けた女だったから、シエルをやり込める為に、妻に迎え、本能のままに抱いて、シエルの高慢な鼻をへし折ってやりたかった。
 しかし、彼女はシルバーと、ライカンの王族の血を引いているであろう男に「触れあえないと言う契約」を交わしていたのだ。
 シエルが魔術を使えると言う事を意味するのだ。
 例え、ヴァンパイアと言えど、魔力に関する事には、無力・・・
 シエルは自分に取って、最も恐れる存在だと言う事だ。
 「フフ・・・セバスチャン誤解なさらないで。私が魔力を使って、シルバーと契約した訳ではないの・・・父なの・・・魔力を使えるのは・・・」
 シエルは涙を流していた。
 それは先ほどまで、セバスチャンに翻弄され、過ぎた快楽で流した涙とは、意味が違うのがセバスチャンには痛い程、解っていた。
 「どう言う事なのですか?事と次第に寄れば私は貴女とは結婚「しないと言うの?今更でしょう?私が貴方のプライドを傷付けたから、復讐の意味でさっきの様な行為をされたのでしょう?だったら、例え最後までコトに及んでないとしても、男だったら責任を取ってみせなさい!もう、手遅れよ、私に手を出した以上、父は貴方を許さない、どこまでも追いかけ、追い込み、貴方を殺すまで・・・」
 「くっ・・・」
 今度は、セバスチャンが息を呑み、絶句するしかなかった。
 両親を亡くし、純血種の中で蔑まれながらも、義弟がヴァンパイアとして、独り立ちする為に、手助けする為だけに生かされていた自分だ。
 危機感は良く感じるのだ。
 死ぬ訳にはいかない。
 「フフ・・・貴女は人間にしておくには、惜しい女性ですね・・・解りました。貴女に彼が触れられないのでしたら、何も心配する事はないのですから・・・明日、改めて伯爵にお会い致しましょう。それでは私はこれで・・・」
 「ええ、セバスチャン明日また・・・」
 セバスチャンが去るとシエルはそろそろとベッドから立ち上がろうとした。
 「・・・」
 ペタンと床に座り込んでしまった。
 「お嬢様!」
 契約の為、シエルに触れる事の叶わぬ自分の身が恨めしい。
 「大丈夫よシルバー、気が抜けただけ・・・」
 そう、只、一族を継ぐ子供を産むだけの為に、セバスチャンに身体を投げ出したものの、恐怖感で一杯だったのだ。
 先ほどの行為だけで、一杯一杯なのに、あれ以上されたら・・・恐怖で身が竦む。
 ガクガクとする身体を叱咤し、バスルームへ少しずつ歩きだすシエル。
 「シャワーを浴びたら休むわ、貴方も早く休みなさい」
 シエルは、それだけ言うと
 「では、お嬢様、失礼致します・・・」
 シルバーは退出して行った。
 温かい湯が心地よい。
 先ほどまでの行為は嘘の様・・・
 しかし、明日からは、セバスチャン・ミカエリス公爵の婚約者になるのだ。
 「逃げられないのは、私も同じ・・・」
 そう囚われたのはセバスチャンだけでなく、シエルもなのだ。
 逃れられない運命・・・
 それは、過去からの呼び声・・・
 シエルは覚醒し出す・・・
 現在のシエルへと・・・

 「んっううん・・・」
 シエルは寝室のベッドの中、目を覚ました。
 先ほどまでの夢は何だったんだろう?
 セバスチャンはヴァンパイアで、僕は女で・・・
 頭が完全に目覚めておらず、すっきりしない。
 身を起こそうとしても、背後からの自分に回された手で、動けない。
 「もう、また僕を抱き締めたまま・・・」
 シエルが悪魔になったと知った瞬間、セバスチャンは無意識の内に、シエルの腹部を手刃で貫いていた。
 同族嫌悪・・・只それだけ・・・セバスチャンの本能に過ぎなかったが・・・
 シエルは悪魔になり、自分に正直になる事の心地良さを知った。
 記憶を失った為、「どんな事をしても僕を守れ!」とシエルはセバスチャンに命令してしまった。
 つまり、魔力の行使を認めていた事になる。
 しかし、執事としての美学を貫いたセバスチャンにより、シエルはクロードの魔の手にかかり、洗脳されて、セバスチャンを遠避けた。
 歪んだ契約は二人の信頼関係までも、凌駕していくものと想われた。
 しかし、シエルはアロイスを抑え込み、自身の命を奪えと、セバスチャンに最後の命令を下した。
 間抜けな悪魔のミスで今の状態だが・・・
 「坊ちゃん・・・嫌なのですか?」
 背後のセバスチャンの悲しげな声・・・
 「フン、起きていたのか?たくっ・・・もういい加減に・・・」
 身体に走る快感・・・そうシエルの内にセバスチャンのモノは、入り込んでいたままなのだ・・・
 「ちょっ・・・もう抜け!」
 熱くなる身体の熱にシエルは、夢の様に、翻弄される。
 「嫌ですよ。貴方のココは私を離して下さらない。今もギリギリと私を締め付け、もっと奥へと誘って下さるじゃないですか?」
セバスチャは、シエルの耳たぶを軽く噛み、耳元で囁く。
 「ああっ・・・セバス・・・」
 悪魔になり、自分に正直に・・・
 シエルは背後から、自分を抱く悪魔が愛しい・・・
 「幸せになってはいけない」
 それは、誰が決めた事?
 僕の未来を奪った人間に復讐して何が悪い!
 全て終わり残ったモノは、愛しい悪魔を手に入れた事。
 未来永劫、この命が続く限り、手放さない。
 死ぬ時は二人で一緒・・・何処までも堕ちていく・・・
 「坊ちゃん・・・ああ・・・素敵ですよ・・・」
 夢の様に、甘く耳元で囁くセバスチャン・・・
 「もっともっとセバスチャン・・・」
 甘いお強請りに酔いしれる。
 「ええ、何処までも共に・・・」
 再びシエルに誓う。
 「貴方を裏切った私は、もう二度と貴方を裏切りません。何処までも、貴方と共に・・・」  
 「それでいい、セバスチャン。僕には、お前だけでいい、お前しか要らない。」
 二人は共に誓う。
 お前だけだと、お前しか要らないと・・・
 それは過去からのメッセージ。
 二度とその手を離すな!と・・・
 過去の二人は、これからも、今の二人に影響を与えるのだ。
 狂った自分達の運命を繰り返す事のない様にと・・・

  「 第三章 現在 」へ続く・・・
  H23.12.11 P10:33
 あとがき
 少しずつ動きだしたキャラ・・・セバスチャンがH過ぎで中々、進みませんでした。
 悩みながらも、何とかここまで書けました。
 楽しみにして下さってるお嬢様の励ましで、ここまでこれました。
 ありがとうございます(^-^)
 次回で終わる予定でしたが、終わるのか?
 謎の人物達の正体が、第三章では明かしていく予定ですので、お楽しみに・・・
 現ファントムハイヴ伯爵は誰で、シルバーとは・・・
 もうすぐ、10000アクセスですが、この企画もやらなイカンかな?
 2012.2.3でPCブログ二周年です。
 企画としては、
 「セバスチャンVS使用人S」です。
 セバスチャンは使用人S達の誘惑を克服したシエルとニャンニャン出来るか?です。
 いつもの通りのアダルト企画・・・OKとおっしゃるお嬢様のみ、宜しくです(^-^)
 
 


「過去からの呼び声 第一章 出会い」
 やっと、第一章 「出会い」書き上がりました♥
 TLで書こうか呟いて、死渡幻夢様に楽しみにして頂きましたので、図に乗って書いてしまいました(>_<)
 死渡幻夢様だけお持ち帰り下さい。
 アニメⅡ期ラスト後、100年後のセバシエの運命は・・・
 捏造・妄想、親子関係、その他、モロモロの設定が目茶苦茶になっていますので、原作のイメージを大切にしたいお嬢様はご覧になりません様に・・・
 過去のシエルが女体で、セバスチャンは悪魔以外の人外です。
 まだ登場人物の本当の正体は明らかにしていませんが、少しでもお楽しみくだされば幸いです。
 基本「セバシエ」
 ですので、読んでもいいよと言う方だけの閲覧お願い致します。
 閲覧後の苦情はお受け致しかねますので、ご了承くださいませ。
 三部で終わりたいすね。
 次回「第二章 運命」
 ラスト「第三章 現在」の予定です。
 それでは、御心の広いお嬢様だけどうぞ♥
 「過去からの呼び声」
 ギシッギシッ・・・ベッドが激しく揺れる。
 悪魔になったシエルを抱くのに、セバスチャンが遠慮しなくなったからだった。
 「くっ・・・シエルそんなに締めたら・・・」
 「そんな事・・・ああ・・・んっ・・・早く、中に・・・」
 ビュ・・・ビュクッ・・・
 セバスチャンは呆気なくシエルの内部に、情熱のたけを放ってしまっていた。
 力なくシエルに倒れ込むが、シエルに全身を投げ出して、潰そうとはせずに、すんでの所で手で自身の体重を支え、セバスチャンはシエルに口付ける。
 チュッ・・・チュッ・・・小鳥が啄む様に軽いキス。
 「もう、僕は悪魔になったんだ。遠慮しなくていいのに・・・」
 もう二人だけで100年は暮らしている。
 以前の様に、只の主従でいる必要などないのだ。
 「女王の番犬」でいる必要がない為、いつしか以前より甘い関係になっていた。
 シエルが悪魔になったすぐは、セバスチャンはどんよりと暗い顔だったのだが・・・
 「例えそうではありましても、私は執事です。永遠にね・・・」
 嫌味を言う所は、100年過ぎても変わらない。
 「もう、寝る!」
 子供な恋人はすぐ不貞腐れる。
 「ええ、私も一緒に・・・」
 シエルは人の魂を食べたがらない。
 元人間だからではない。
 人間に凌辱されていたからだ。
 二人はお互いの精気を喰らい、生き続けている。
 どれ程、精液で穢れ様とも、肌から吸収し、悪魔としての魔力の元に変換出来るから、一々入浴する必要もなかった。
 人間の肉を喰らい、血を飲めば、もっと効率が良いのだか、シエルが良しとしない。
 二人で肌を寄せあい、全裸で眠るのが、日課となっていた。
 まだ、秘所は繋がったままだったが、シエルの命令がないので、セバスチャンは好きな様にしていた。
 ハンナとクロードにシエルを奪われた恐怖から、セバスチャンは完全に回復している訳ではないのだ。
 いつも不安が付きまとう。
 それ故、自分達に誘れる過去に気付かない。
 何故、自分達が離れられないのか・・・
 二人は運命の渦に巻き込まれる未来を知らない。
 只、恋人の肌を感じ、穏やかに眠るだけ・・・
「第一章 出会い」
 セバスチャンもシエルも只、眠り続けた。
 その方が、魂を喰らわなくても、無駄な魔力を消耗する事なく、お互いの精気だけで、生きていられるからだ。
 もう、離れない、離さない・・・
 過ぎた執着は、お互いを縛り付ける。
 二人は繋がったまま、抱き合ったまま、同じ夢に翻弄される事になる。

 「さぁ・・・いい加減にしないと、酷い目に遭うぞ!」
 一人の眉目秀麗な青年が目の前の16歳くらいの少年に声をかける。
 しかし、少年は一向にその行為を止めようとしなかった。
 青年がウンザリして、溜息をついた瞬間、それは起こった。
 「危ない!」
 青年は少年を抱え、済んでの所で、危険を回避する。
 「あら?残念、二匹まとめて、仕末出来る筈だったのに・・・」
さも、残念と言う顔の少女も16歳くらいだろう?
「ご挨拶ですね?貴族のご令嬢が男に行き成り剣で斬りかかる何て、下品にも程がありますよ?」
 青年は不快を露わにする。
 「よっく言うわね?人外のくせに!その女性を襲ったくせに、このヴァンパイア!」
 そう行為とは、吸血行為の事。
 16歳の少年は、女性の首筋から、血を吸っていたのだ。
 「それが何だと言うのです?貴方達人間だとて、エサとして獣を喰らうでしょう?我々にとって人間はエサでしかないのですよ?そんな事も御解りになれない方が、よくヴァンパイアハンターなど、やっていられますね?」
  目の前の青年は、少女をあざ笑う。
 「フフ・・・貴方中々、おもしろいじゃない?いつまですました顔していられるかしら?」
  少女も負けてはいない。
  ヴァンパイアは狩るだけなのだから・・・
  少女は双振りの剣で、青年を攻め立てた。
  青年は少年を建物の影に隠し、少女との間合いを取り、果敢に攻める少女を難なくかわす。
  剣の腕に自信はあるものの、青年の素早さにはついていけそうもない。
  それでも、そこで立ち止まるのは、死を意味する。
 「どうしました?減らず口だけは、一人前の様でしたが・・・」
 「流石は、ヴァンパイアね・・・この手は使いたくなかったんだけどシルバー!」
 少女が一言言葉を発すると、銀髪の長い髪をリボンで結んだ長身の男が現れる。
 「お嬢様、御呼びですか?」
 「それは・・・」
 青年の顔色が僅かに青ざめた。
 「ライカン・・・狼男ですか・・・フゥ、とんだ獣を飼っていらっしゃる。可愛いお顔で中々のあばずれですか?」
 「お嬢様に無礼な!ヴァンパイアだから、遠慮はしないでいいな、全力で行かせて貰おう!」
 言うが早いか、シルバーは人間体のままで、青年に突進する。
 いくらヴァンパイアが不死身とは言え、力ではライカンに叶う訳がない。
 「くっ・・・そのままの姿での馬鹿力・・・王族ですか・・・」
 青年の端正な顔が歪む。
 ヴァンパイアと同じ様に、ライカンがどうやって誕生したかは解らない。
 只、どちらの種族も人間の王族が、呪いによるものなのかは、不明だが、突然変異したものらしく、王族の血を継ぐモノは、圧倒的な力を有する。
 血を吸われ、主となったヴァンパイアが望んだ者のみ、同族となり、ヴァンパイアとして、傍に仕える事を許される。
 ヴァンパイアに取っては、人間など、主食である血を与える家畜に過ぎない存在。
 ライカンはヴァンパイアとは敵対関係にあった。
 同じ様に、人間を糧とするのには、違いない存在だが、元はオオカミと人間との間の子供が存在して、ライカンになったとされる説もあった。
 青年はヴァンパイアではあるが、多少、事情があり完全な王族ではなかった。
 しかし、少女が連れているシルバーと言うライカンは、生粋の王族の血を引くモノであった。
 「仕方ないですね、ここは引きましょう・・・ヴァンパイアハンター・・・ファントムハイヴ伯爵令嬢貴女は、私の名をご存知なのでしょう?」
 「ええ・・・何度か舞踏会とか夜会でお会いしてますもの・・・セバスチャン・ミカエリス公爵様・・・貴方がヴァンパイアとはね・・・まぁ、それ程の美貌は、らしいと言えるでしょうけど・・・」
 「貴女の様に、美しい方にお褒め頂き、光栄です。シエル嬢貴女を私の城へお招き致しましょう・・・私は美しいモノが大好きですから」
 青年はセバスチャンと言い、表向き公爵の爵位を持つ。
 「まぁ、貴方のお城にお招き頂けるとは・・・そこで貴方と再び戦って宜しくて?」
 「そんな無粋な事はなさらないで頂きたいですがね。只、一度貴女とダンスさせて下さっても宜しいでしょう?私達は、戦う運命にあるのでしょうが、これはゲームですよ。どちらが相手をよりやり込められるか、試してみませんか?」
 「お嬢様いけません。これは罠ですよ。奴の城などへ行ってはなりませんよ。」
 シルバーがシエルを制す。
 シエルはゲームと言われるモノに負けた事がない。
 女性でありながら、ゲームの天才と称され、探偵の真似ごとなどもして、シルバーを困らせている。
 「ご心配なら、貴方もご招待しましょう。私の正体を知りながら、見逃しているとは。シエル嬢貴女も中々の曲者だ。人知れず、陰で私を仕留める事すら容易いでしょうに・・・酔狂な・・・」
 そうセバスチャンを殺すだけなら、十字架を使い、動きを封じ、銀の弾丸を拳銃の弾にして、打ち込めば、少しの間動きを止める事すら可能だ。
 但し、それはライカンを確実に仕留める方法でもある。
 ヴァンパイアは、心臓を杭か何かで貫き、首を切り落とし、命の糧である血を完全に抜き取り、ミイラと化した所を燃やし、灰にしなければ、完全に死滅しないのだ。
 只、ミイラにしても、血を一滴でも与えてしまえば、たちどころに蘇る。
 力はライカンに遠く及ばないとしても、人間など、捻り潰す事さえ可能。
 本気を出していれば、シエルなど、とっくに殺していた筈なのだ。
 「いいのよシルバーこの方は私を殺したりなどなさらない。面白いわ、心配なら貴方もいらっしゃい。私はゲームと名の付くモノに負けた事ないのは、貴方も知っているでしょう?楽しみだわ、どんなお持て成しして下さるのか楽しみで」
 シエルは目を輝かしている。
 シルバーは諦めるしかなかった。
 シエルがこの顔をしている時は、ゲームを楽しもうとしている時。
 シルバーは自分の素姓を知らなかった。
 いつから生きていて、誰が自分の親なのかも・・・
 只、オリの中にいて、シエルの父に買い取られた事だけは覚えていた。
 ヴァンパイアハンターだけあって、シエルの父の伯爵も、相手の正体を見破る能力に優れていた。
 普段は温厚で、それ程、頭の切れる人物と想わせないのが、彼の特徴だ。
 「それでは、商談成立と行きましょうか?明日、私の城への案内図など同封した招待状をお届けしましょう。朝早く届けさせますので、お昼にいらして下さいますか?」
 シエルは怪訝な顔をする。
 「貴方、ヴァンパイアでしょう?お昼では棺の中にしかいられないのでは?」
 「いいえ、私は純血種ではありませんので、夜だけ活動する必要はありません。あまり血を吸う必要もね・・・」
 「まさか貴方はダンピール?人間とヴァンパイアの混血種だとでも言うの?」
 
「ええ、私の母は人間でしたよ。父は獲物としてではなく、母を女性として見て、愛してくれてましたよ。もう二人とも亡くなりましたが・・・」
 「つっ・・・」
 シエルは言葉を詰まらせた。
両親を亡くしたダンピール・・・理由には触れてはいけない気がした。
 「それでは、貴方からのご招待をお待ち致しております。」
シエルはドレスの裾を持って、恭しくお辞儀すると、シルバーを伴い、さっさとその場から離れて行った。
「フフ・・・女性のハンターとは楽しませてくれますね。さぁ、帰りましょうか?」
セバスチャンも少年を伴い、城へ戻っていく。
少年の瞳に宿った光に気付く事もなく・・・

「フゥ・・・」
シエルはバスタブの中にいた。
「お嬢様どうしただか?」
家女中のメイリンが訪ねた。
「いえ、只、少し疲れただけよ。でも明日素敵な方のお城のランチに招待されるのよ。しっかり磨いてね。」
貴族の令嬢は16歳ともなれば、そろそろ結婚相手を確保しておかなければならない年齢だった。
その為、自分をアピールし、最適な貴族の子息の心を掴まなければならなかった。
大好きな薔薇の香りに包まれ、シエルはリラックスしていた。
女でありながら、ヴァンパイアハンターの家に生まれた以上、戦う宿命から逃れられない。
それでも、違う形で生きる道を探す事も諦めてはいない。
自分の命を駒として、戦い続ける宿命・・・運命に抗っても、人の身である以上、絶対はあり得ない。
大好きな父の為にも、亡くした母の為にも、生き続けるには、どんな手段でも使う。
それが、シエル・ファントムハイヴとして生まれた意味。
「ありがとうメイリン、もう上がるわ」
ザバァ・・・と滴を撒き散らし、シエルは風呂から上がり、メイリンに丁寧にバスタオルで拭かれ、バスローブを着せて貰い、丁寧に髪を乾かして貰っていた。
(明日は、ヴァンパイアの本拠地へ・・・)
違う決意を胸に秘め、全ての身支度を終えると寝室に移動する。
タイミングを計った様に、シルバーがホットミルクを運んできた。
シルバーは表向きはシエル付きの執事なのだ。
「ありがとうシルバー・・・今日は助けてくれてありがとう」
「いいえ、私は何もしておりませんよ。しかし、お嬢様、貴女はまさか・・・」
「そうね、貴方の想っているとおりよ・・・」
シエルはホットミルクを飲みながら言う。
「ですが、それでは・・・貴女は何処まで・・・」
シルバーは言葉が発せない。
執事である以上、主であるシエルとの契約は絶対。
「ええ・・・兄弟同然に育った貴方だけが、私の理解者ね。だから何でも話せた。貴方は私の兄の様な者ですもの。だったら約束通り、私がする事は只、黙って自由にさせて。これは私が決めた事ですもの」
「しかし、それでは貴女は自分を犠牲にするのですか?女性として只の貴族の子息に嫁ぐと言う手もあるのでは?」
「それでは駄目なのよ。誰がお父様を守るの?お母様が亡くなってから、お父様は必死で私を育てて下さったわ。いくら使用人達がいてくれたとしても、お父様と貴方以外で、そこまで私を愛してくれた訳ではないでしょう?私はお父様と貴方を守る為なら、どんな事でもするわ。明日は貴方が私を守ってくれるんでしょう?だったら、何も心配ないじゃない・・・さぁ、もう寝るわ、明日は戦いですもの・・・」
「ええ・・・お嬢様、私が貴方をお守り致しますよ。この命に代えても・・・」
「そんな悲しい事は言わないで・・・貴方は私のお兄様なのだから・・・」
シエルはシルバーの頬にチュッとキスし、カップをシルバーに渡して、シーツに包まる。
「おやすみなさいませ、お嬢様」
シルバーは執事としての職務を果たす。
人外の身として怖れられ、手錠をされ、鎖に繋がれた子供の頃・・・
ある日、見世物として売られたサーカスに来た小さな少女。
5歳くらいのシエルは、青く大きな円らな瞳で、シルバーを欲しいと父親にダダを捏ねたのだ。
当時、シルバーには名がなかったが、シエルの余りの我儘に根負けした伯爵は、サーカスの団長から、高額な金貨で彼を買い取った。
何が起こっても責任は取らないとの条件付きだが・・・
シルバーはまだ当時は、ライカンとして目覚めてはおらず、まだ人の血も肉の味も知らなかったので、シエルを襲う事はなかった。
しかし、何時覚醒しても無理のない血筋であったらしいが、シエルとの契約とも言える約束に拘束され、満月の夜が近づくと、城の地下に結界を張り、鎖に繋がれ、変身する様にはなっていた。
シエルの父はヴァンパイアハンターでもあり、ありとあらゆる人外に対抗する術を身に付けた人外ハンターでもあったのだ。
何故、そんな能力が伯爵に備わっていたのかは、解らない。
元々の素質として優れていたのかも知れない。
人の身ではあり得ない事・・・自分の妻の死期すら、予知していたのだから・・・
妻が死に、男手一つで育て上げた宝・・・シエル。
シエルは想う。
父の為ならどんな事でもすると無茶をするシエルを、シルバーが止めようとするのは、無理からぬ事・・・しかし、立ち止まる事は許されぬ運命・・・ならば、自分に出来る事。
その為の手段は只一つなのだから・・・
(お母様・・・私を守って・・・)
シエルは母に祈る。
明日、生きて屋敷に戻れなければ、セバスチャンとのゲームは負けた事になる。
負ければ死あるのみ。
それならば勝つ道は一つだけ・・・
複雑な気持ちだが、シエルは眠らなければならない。
明日の勝利を掴む為に・・・
シルバーとシエルの心に影を落としたヴァンパイア、セバスチャン・ミカエリス・・・
彼の真意は何処にある?
様々な想いを胸に、それでも時間は過ぎて行く・・・
闇が支配し、人々は寝静まり、あっと言う間に朝は来る・・・

シャッ・・・カーテンを引き、シルバーが声を掛ける。
「おはようございます、お嬢様・・・」
シルバーはモーニングティーをシエルに用意すると、一緒に入室したメイリンに着替えを手伝う様に指示を出し、退出した。
シエルが子供であった時は、シルバーがシエルの世話をしていたが、如何に兄同然に育てられたとは言え、何時、人外の血が騒ぎ、シエルを生贄として、ライカンの能力に目覚めてはならぬと、シエルと接する事を極力少なくした配慮の為だった。
未だに、シエルは女性として、成長しきれていないので、まだ初潮すらなかった。
ヴァンパイア同様、処女の血で、ライカンの血が目覚めては、手に負えないので、幸運たったとも言える。
「では、お嬢様。御着替え致しますだ」
メイリンはネグリジェを脱がし、下着から着せつけていく。
コルセットで元々、細い腰を強調し、ピンク色のドレスを着せる。
ピンクを基調としたモスリンたっぷりのドレスで、肩はガバッと開いていて、剥き出しの肩が寒そうだった。

「ねぇ、メイリン・・・これって舞踏会とか、夜会用のドレスじゃない?肩が開き過ぎで、ランチを頂くのは、些かはしたないんじゃ・・・」
「シルバーさんのご命令ですよ。ランチだけでなく、夜会までいることになってはいけないとの事ですので・・・」
シエルはシルバーの配慮に苦笑する。
シエルがヴァンパイアの本拠地へ乗り込む、本当の目的を助けるつもりなんだろう。
メイリンが仕上げて行くシエルのドレス姿。
それが、通常の舞踏会や夜会ならどれ程、良い事か・・・
「さぁ、お嬢様。お綺麗に仕上がりましたよ」
鏡に映るシエルは、16歳の美しい少女だった。
階下へ降り、食堂で使用人達に囲まれ、父と朝食を取る。
そんないつもと変わらぬ日常・・・
ヴァンパイアの城へ行けば、生きて帰ってこれるのか・・・
シエルがグルグル考えていると父が声を掛けてきた。
「シエル、もし辛いなら、お前が犠牲になる事はないのだよ。どこぞの貴族の子息にお前をくれてやるのは、辛いのだが、ヴァンパイアを倒す為とは言え、自ら死地へ赴く事などない。ミカエリス公爵は殺せないにしても、他の奴らは朝は眠っているのだ。我が部下達の軍事力を持ってすれば、全てのヴァンパイアも死滅出来るだろう」
父は精一杯シエルを説得する。
自分の家業を女のシエルに継がせるのも、不本意なのだ。
今では、二人だけなのだから・・・
「いいえ、お父様。彼とはゲームをしていますもの。ここで逃げてしまえば、どんな報復を受ける事か・・・私は大丈夫ですよ。それに、シルバーも一緒に行ってくれますし」
シエルは自分に出来る精一杯の言葉で、父に笑顔を向けた。
「お嬢様、ミカエリス公爵からのお手紙が・・・」
シルバーがシエルに約束の手紙を渡した。
「あいつ意外に几帳面なんだ・・・迎えを寄こす様よ・・・A10に迎えの馬車が来るって・・・まぁ、絶対逃げるな!って事でしょうけど・・・」
楽しくて仕方ないと言うシエルの笑顔に、誰も何も言えない。
時期主は、頑固で素直でなくて、しかし、反面、無邪気でくったくなくて、愛らしい少女だったから・・・
「旦那様、私がこの命に代えても、お嬢様は必ずお守り致します。ですから、ご安心下さい」シルバーは、自分を引き取り、きちんとした教育を受けさせてくれ、シエルの兄同然に扱ってくれたファントムハイヴ伯爵への恩に報いる為、命を捨てても、シエルを守るつもりなのだ。
最もそう育てられた・・・
 「もう、シルバーったら、命を粗末にはしないで・・・私だって一応ハンターなんだからね」
プウッと顔を膨らませているシエル。
ハハハ・・・フフフ・・・食堂は笑顔と笑い声が絶えなかった・・・
約束のA10はすぐだった。
馬車が来て、二人が乗り込むとガラガラと馬車が走り出す。
「シエル・・・危なくなったら合図を送るんだよ。何処にいたって必ず助け出す・・・」
父の決意だ。
「行ってきますお父様、必ず生きて戻ります」
不安を胸に抱き、シエルはシルバーと出発していた。
父も使用人達も、馬車が見えなくなるまで、見送る。
「お嬢様、必ず御戻りになって下さいね。」
祈るしかないメイリンだった。
暫くたち、途端にガクンと嫌な動きをした馬車に怪訝そうな二人は、奇妙な感覚に囚われた。
それもその筈、馬車は、宙に浮いていたのだ。
しかも、迎えの馬車の馬二頭の背から生えているのは、紛れもなく白い翼・・・
バサッバサッと羽音が響くが、馬車は滑らかに宙を進んで行く。
この先、どんな運命が二人を待ち受けているのだろうか?


「ようこそ、ミカエリス公爵家へ」
馬車が目的の地に降り立ち、執事を伴ったセバスチャン・ミカエリスが、シエルに手を差し出す。
「公爵お招き頂きありがとうございます。まさか、空中遊泳などと言う、貴重な体験をさせて頂くとは、想いませんでしたわ」
出会った時と同じような、嫌味の応酬・・・
セバスチャンにエスコートされ、屋敷に一歩踏み出した。
「母は色々研究をする方でしてね、あの馬は母が偶然作りだしたモノ。それ故、父に見染められたのでしょうけど・・・」
「科学者でらっしゃったのかしら?貴方のお母様はさぞ、お綺麗な方だったんでしょうね。貴方がヴァンパイアでなければ、こうしてお会いする事もなかったでしょうに・・・」
シエルの言葉は曖昧だった。
セバスチャンがヴァンパイアだったから、こうして会う事が可能だったのだ。
優雅にセバスチャンにエスコートされ、楽しげに会話する様は、まるで恋人同士だった。
シルバーの気持ちも知らずに・・・
 食堂に案内され、優雅に食事が始まる。
 シルバーはシエルの執事として同行していたが、この城には、自分だけしかいないからと言う理由で、食卓に付かされた。
 カボチャのポタージュから始まり、季節の野菜サラダ、メインの牛ヒレ肉とかも、最高の食材を使用され、最高のサービスで、最高の味・・・一流ホテルのシェフの自信作かと想わせる程の美味しさに、シエルは目的を忘れそうになってしまう。
 最もそれがヴァンパイアの手管だと解ってはいるが・・・
 「ご満足頂けましたか?」
 セバスチャンは食後のスイーツをシエルと共に取り、にこやかに微笑みかける。
 普通の女性なら、心を蕩かされそうな甘い甘い声音で・・・
 「ええ・・・ヴァンパイアの貴方にここまで、繊細な配慮をされると、つい心を許しそうになるから恐ろしいわね。でも何故、貴方しかいないの?一緒にいた子とかは今は眠っている訳?」
 「ええ・・・彼は私と違い純血種・・・一族に忌み嫌われる私と違ってね。最も、私は彼らにとって最早、不要の存在・・・生かしておいてくれるだけ感謝していますよ」
 そう純血種にとって異種間の子など、邪魔な存在。
 しかも、ダンピールには稀に、純血種を凌ぐ能力の持ち主も現れる事もある。
 「さぁ・・・そんな事より私とダンスを踊って頂けませんか?食後の腹ごなしにもなりましょう」
 シエルは、セバスチャンに差し出される手を取った。
 広々とした食堂で、優雅に踊る二人に、シルバーは驚きと動揺を隠せない。
 二人は一対の絵の様に、お互いを引き立て、引け目を感じる事のない芸術品の様に、美しかった。
 クルクル回りながら時には密着し、ヒソヒソと会話を交わす。
 まるで、前世からの恋人同士の様に・・・
 ひときわ密着するとシエルは、セバスチャンの耳元で囁いた・・・
 「今夜、私の部屋へ・・・」
 セバスチャンの口元が弧を描く。
 楽しい時間は過ぎ、二人は無事に家路に着いた。
 シエルの父は悦び、いつもの様に夕食を取った。
 
 「フフ・・・無邪気なモノだ・・・やはり貴方も普通の女・・・」
 就寝の支度を終え、眠りに着いた深夜0時・・・
 セバスチャンはシエルの首筋めがけ、顔を近づけた。
 「どっちが油断しているのでしょうね?」
 セバスチャンの喉元には、シエルがナイフを宛がっていた。

「過去からの呼び声」サンプル
 TLで構って頂いた死渡幻夢様のリクエストとして
「過去からの呼び声」をお送りする事にしました。
 サンプルはいきなりHシーンからお送りしますので、苦手なお嬢様は、今の内に御戻り下さいね(*^_^*)
 FC2小説サイトで8Pまで書いて放置していた物とは、また別バージョンとなります。
 シエル女体設定とセバスチャンが悪魔以外の人外の存在で、過去出会っていたと言う、妄想・捏造小説ですので、原作の雰囲気を大事になさるお嬢様も回避願います。
 当分、章ごとに更新しますので、ブログ停止しますが、TLにて、更新連絡しますので、お気に召したお嬢様だけチェックお願い致します。
 「夢シリーズ」
 「殺し屋シエル」
 「セバシエ学園物」
は当分停止となりますので、ご了承お願い致します。
 設定は、アニメⅡ期後、悪魔となったシエルと二人で暮らすセバスチャンが、二人共、夢に囚われて行くストーリーからとなります。

 「過去からの呼び声」
 ギシッギシッ・・・ベッドが激しく揺れる。
 悪魔になったシエルを抱くのに、セバスチャンが遠慮しなくなったからだった。
 「くっ・・・シエルそんなに締めたら・・・」
 「そんな事・・・ああ・・・んっ・・・早く、中に・・・」
 ビュ・・・ビュクッ・・・
 セバスチャンは呆気なくシエルの内部に、情熱のたけを放ってしまっていた。
 力なくシエルに倒れ込むが、シエルに全身を投げ出して、潰そうとはせずに、すんでの所で手で自身の体重を支え、セバスチャンはシエルに口付ける。
 チュッ・・・チュッ・・・小鳥が啄む様に軽いキス。
 「もう、僕は悪魔になったんだ。遠慮しなくていいのに・・・」
 もう二人だけで100年は暮らしている。
 以前の様に、只の主従でいる必要などないのだ。
 「女王の番犬」でいる必要がない為、いつしか以前より甘い関係になっていた。
 シエルが悪魔になったすぐは、セバスチャンはどんよりと暗い顔だったのだが・・・
 「例えそうではありましても、私は執事です。永遠にね・・・」
 嫌味を言う所は、100年過ぎても変わらない。
 「もう、寝る!」
 子供な恋人はすぐ不貞腐れる。
 「ええ、私も一緒に・・・」
 シエルは人の魂を食べたがらない。
 元人間だからではない。
 人間に凌辱されていたからだ。
 二人はお互いの精気を喰らい、生き続けている。
 どれ程、精液で穢れ様とも、肌から吸収し、悪魔としての魔力の元に変換出来るから、一々入浴する必要もなかった。
 人間の肉を喰らい、血を飲めば、もっと効率が良いのだか、シエルが良しとしない。
 二人て肌を寄せあい、全裸で眠るのが、日課となっていた。
 まだ、秘所は繋がったままだったが、シエルの命令がないので、セバスチャンは好きな様にしていた。
 ハンナとクロードにシエルを奪われた恐怖から、セバスチャンは完全に回復している訳ではないのだ。
 いつも不安が付きまとう。
 それ故、自分達に誘れる過去に気付かない。
 何故、自分達が離れられないのか・・・
 二人は運命の渦に巻き込まれる未来を知らない。
 只、恋人の肌を感じ、穏やかに眠るだけ・・・

        こんな感じです(*^_^*)
 アニメⅡ期のメンバーも、意外な役で出るかも知れません。
 パラレルワールドとご理解下さいね。
 
セバスハーロック
IMG_0007_convert_20111112203047.jpg  
 じん子様、お待たせしました。   
シエルはメ―テルに出来ませんでした・・・本が紛失で(-_-;)

「痛いお預け」3
 それでもプルートゥに嬲られたのは、シエルにお預けをくらったせいでもあるのだ。
 欲求不満・・・
 それさえなければ、たかが魔犬に自分が嬲られるなど・・・
 悔しさはいつしか、シエルへ向けられた。
 そのままシエルの秘部を濡らして、挿入すれば済む事なのに、セバスチャンはシエルを虐めたくなる。
 口淫はそのままに、シエルの足を自分に向けさせた。
 つまりセバスチャンの目の前に、シエルの恥部が丸見えと言う事だ。
 「うっ・・・んんっ・・・」
 セバスチャンのモノを咥えたまま、シエルは拒否の姿勢を見せた。
 「逃れようとしても、無駄ですよ。今更、恥ずかしがらずとも、もっともっと私に溺れさせて差し上げますよ。
羞恥心など無意味だと言う事を解らせてあげましょう・・・もっともっと私を求めて・・・」
 セバスチャンは艶めかしい表情をしていて、シエルはドキンと心臓が高鳴るのを感じていた。
 (何でこいつ・・・今日はこんなに色っぽいんだ・・・)
 シエルの中の男の部分を刺激する感覚を覚え、幼茎がいきり立ち痛い程だ。
 「フフ・・・私で感じたのですか?ここ・・・大きくなされて・・・」
 そう言いながら、セバスチャンはパクッとシエルのモノを咥えていた。
 「ふうっ・・・」
 口はセバスチャンのモノに塞がれたまま、言葉にならないシエルは、呻くしかなかった。
 いまにも弾けそうな快感に支配されて・・・
 二人は言葉もなく、只、お互いのモノを咥えて、昂らせているだけ・・・
 それでも、永く生きている分だけセバスチャンが優位だった。
 今まで、手に入らない物などなかった。
 悪魔だったから・・・
 好きとか嫌いとかは、理解出来なかった。
 ましてや、こんな幼い生き物に自分の心の全てを捧げる事になろうとは・・・
 「愛しています」
 その言葉は麻薬の様に、全ての女達を騙し、誑かし、その魂を手に入れる為だけの手段として、セバスチャンの口から紡ぎ出されただけのもの・・・
 そこに心など存在しなかった・・・
 筈だった・・・
 (シエル・・・貴方の真の名前はそれではない・・・それでも私が、セバスチャンと貴方に名前を貰った様に、今の貴方はシエル・・・シエル・ファントムハイヴ・・・貴方の真実は、真の名前は、私が知るだけでいい・・・)
 セバスチャンにとっては、それが全て・・・
 愛しているから、シエルだけが欲しいから・・・
 この身体も心も、命すら差し出して、守るべき存在・・・
 愛する人シエルの為に、自分は存在している。
 エサとしての魂を求めていただけの結果が、こうなるとは、想わなかったが・・・
 ジュブッジュブッ・・・セバスチャンの口淫が激しくなった。
 「フッ・・・ああんっ・・・」
 シエルは呆気なく、セバスチャンの口に放ってしまっていた。
 コクン・・・コクン・・・
 セバスチャンは、口の中のシエルの精液を呑み干していく・・・
 ハッフッ・・・
 セバスチャンは、シエルの濃い精液を呑み切れず、口の端から垂らしていた。
 「フフ・・・貴方も我慢されてらっしゃって・・・強情を張るからですよ・・・私には、素直な心を晒して下されば宜しいのに・・・私が欲しいなら欲しいと・・・素直に欲しがって・・・」
 妖艶にシエルの愛した紅い瞳で・・・
 セバスチャンのモノを咥えたまま、シエルの瞳も、欲情しきっていた。
 幼い口に余るほどの大きさに膨らんだセバスチャンのモノを、必死に愛撫しているシエルが愛おしい・・・
 このまま口に放っても良かったが、それでは、今のセバスチャンは満足出来ない。
 シエルの内部に潜り込み、自分が持ちえない熱い熱を感じたい。
 「坊ちゃん・・・もう、私が貴方を欲しいのです。私自身で貴方の熱を感じたい。貴方が生きてここにいると言う証を・・・」
 セバスチャンはシエルの頬を優しく撫でて、自身を優しく抜かせ、組み敷いた。
 シエルの太ももに手を掛けて、ガバッと足を開かせ、後孔を露わにし、濡れた舌で舐め解す。
 セバスチャンとて余裕などない。
 プルートゥが来るまでは、毎日その身体を自由に出来たのだから。
 自分だけが、シエルに触れる権利があったのだから・・・
 悪魔なのに・・・
 子供で人のシエルに愛されたのだから・・・
 これ程、心が温かく、満たされる想いをした事はなかった。
 甘い感覚に満たされるなど、悪魔らしからぬ事・・・
 それでも、身体を重ね、一つに溶け合う瞬間だけが、真実であるから、セバスチャンはその一時を甘受する。
 どれ程、舐め解しても、シエルの内部に挿入する瞬間だけは、互いに苦痛を伴う。
 悪魔である前に、自分は大人なのだから。
 「もういいですねシエル・・・」
 「んっ・・・セバスチャン・・・早く・・・」
 下僕である事が身に付いてしまったからか、セバスチャンは一々、確認を取ってしまう。
 ズプッ・・・ゆっくりとシエルの内部に己を進めていく。
 「はぁ・・・セバスチャン・・・」
 「くっ・・・もう少し・・・きつい・・・」
 いつまでたっても、シエルの内部はきついまま・・・
 ググッ・・・少し強引に己を進めてみても、きつい筈の内部は熱く絡み付き、それでも、奥へ奥へと誘っていた。
 「ああ・・・はぁぁぁ・・・」
 シエルは只、セバスチャンから与えられる快感に自分の身を委ね、セバスチャンに抱き付くだけ・・・   
 同族に穢されても、悪魔に救われた自分。
 今この瞬間が、シエルに取っても、真実であり、大切な時間・・・
 「ああ・・・貴方の中はいつも熱い・・・」
 セバスチャンも恍惚としていた。
 ギシッギシッ・・・シエルの寝室とは違い、簡素なベッドである為、軋みが酷く、耳触りだった。
 ハァハァと二人の息は益々、荒くなっていった。 
 「セバスチャン・・・セバスチャン・・・」
 うわ言の様に、シエルはセバスチャンの名を呼んでいた。
 「坊ちゃん・・・シエル・・・私はここに・・・貴方のお傍に・・・」
 自分に抱き付くだけで、身体を揺さぶられているシエルの目に浮かぶ涙をペロリと舐め取るセバスチャン。
 ささいな仕草でシエルの内部の締め付けも強くなる。
 「くぅっ・・・貴方の身体は・・なんて・・・」
 悪魔の自分もシエルの身体に溺れてしまう。
 ここまで、自分の好みに仕込んだのは、自分であるのだが・・・
 快楽に溺れさせ、自分から離れていかない様にしたいのに、それすらも叶わない・・・
 熱く、シエルの内部が締め付け、欲望の証をぶちまけていた。
 「フッ・・・あああ・・・」
 シエルは甲高い喘ぎ声を上げていた。
 「シエル・・・シエル・・・」
 繋がったまま、セバスチャンもシエルの名前を呼んでいた。
 ビクン、ビクンとシエルの内部は、セバスチャンの放出で、小刻みに震えたままだった。
 それでも、セバスチャンは、自身を抜かずに、またも律動を開始した。
 「やぁぁぁ・・・んっ・・・セバス・・・」
 シエルは、自分の内部を突き破る程に激しくなるセバスチャンの突き上げに只、縋りつくしかなかった。
 この悪魔をここまで不安にさせたのは、自分なのだから・・・
 媚薬の効果でシエルも、セバスチャンを素直に求める気持ちになれてはいた。
 しかし、元々、この行為に嫌悪感しかなかった自分が、セバスチャンに抱かれる様になって、ここまで変われる事には、驚愕してしまう。
 一つに溶け合い、熱くなる身体を持て余し、縋りつくだけの自分が信じられなかった。
 悪魔のセバスチャンに取っての只の、エサだった自分がだ。
 「悦いですか?シエル・・んっ・・・ああ・・・」
 セバスチャン自身が、自分の幼い身体で、快楽を感じる瞬間が好きだった。
 何れ、契約の元、願いを叶えたら、自分はセバスチャンを置いて、一人死の世界へ旅立つ事になろうとも。
 今この瞬間こそは、真実だったから。
 「悦いのか、セバスチャン?こんな未熟な身体で・・・」
 「ええ・・・貴方だからこそ、悦いのですよ。私を昂らせ、煽り酔わせて下さる貴方だからこそ、私は愛した。例え、貴方が私から、逃れたいとしても・・・私は貴方を離さない」
 「フン、僕を誰だと思っている!シエル・ファントムハイヴだ。お前は僕の駒だ!僕の手足となり、僕を守り抜く!その契約の前に、僕が逃げ出すとでも?魂を代償にお前を引き留めているだけだと?見くびるな!僕こそお前を逃さない!離してやらない、覚えておけ!」
 「ええ、マイ・ロードそれでこそ私の主。では、貴方の願いのままに、愛して差し上げましょう・・・貴方の身体を壊さない様に・・・手加減は致しますが・・・」
 にっこりと微笑む笑顔が怖い。
 「う・・・ん・・・そこまでせずとも・・・まぁ、お前を焦らしたんだから・・・ほどほどにな」
 シエルはセバスチャンの本気に、お預けはほどほどにしないと身体が持たないなぁと身を持って知った。
 ギシッギシッ・・・ 
 「ふぁ・・・ぁぁぁぁ」
 シエルの甘ったるい声が、セバスチャンの私室に響いていた。
 いくら、夜とは言え、いつ誰が寝ぼけて、廊下を通らぬとも限らぬのに、二人は大胆だった。
 プルートゥの媚薬の効果とは言え、お互いしか見えていないのだから。
 大人と子供、悪魔と人間、奪う者と奪われる者・・・二人の関係を現す言葉は、多々あるが、同性だろうが、異種族だろうが、関係ない。
 「愛に国境はない」
 と言うではないか?
 出会った瞬間に、運命は動き出す。
 誰も、運命に逆らう事は出来ない。
 逃れたとしても、いつか運命の輪に囚われ、逃れられない運命を辿る事になる・・・
 二人を待ち受ける未来が、闇に閉ざされ様とも・・・
 今この瞬間だけがあればいい・・・
 熱くなる身体に全てを委ね、一つに溶け合えばいい・・・
 誰にも、二人の刻を止める事は出来ないのだから・・・
 永遠に続く未来を・・・
 果てる事のない絶望を・・・
 ただ二人で生き、乗り越えていくしかないのだから・・・
 それが、異種族で愛し合った罰だから・・            FIN H23.10.22 P2:02
あとがき 
 プルセバでインはやっぱり出来ませんでした・・・未遂で・・・
 何故か今回は中々、ページが終わらず、焦りまくりました。
 それでも、結構楽しめたかな?
 H大丈夫でしたでしょうか?
 今回は、シエルもセバスを求めて、縋りつくシーンがかけて満足♥
 はっ・・・プルがアオーンと啼くのを書くの忘れた・・・ごめんプルちゃん(>_<)
 くろ様、インはムリでした・・・これで宜しければ、お持ち帰り下さいませ。
 もっと修行致します(>_<)
 でも、セバシエ、シエセバ意外は難しい・・・
 また、サイトの方にお邪魔致します。
 「葉巻型特異点の形成」のサイトくろ様に捧げます♥  
「痛いお預け」2
10/17更新のサンプルの続編です。
 多少、プルセバありっぽいので、嫌なお嬢様は、ここで御戻り下さいませ(>_<)
 

 「葉巻型特異点の形成」サイト様、くろ様、リクエスト
軽い獣姦いきます
 
 しかし、シエルの願いも命令も魔犬のプルートゥには、無意味。
 セバスチャンも魔族である以上、抗えぬ宿命すらある。
 同族に類する悪魔と魔犬の行為を止める事は、シエルには出来ないのだ。
 只の人間のシエルには・・・
 目の前では、必死に魔犬の髪を掴み、引き剥がそうとする恋人の痴態が、シエルの網膜に焼き付く程だった。
 目は潤み、セバスチャンの顔すら霞んで見えなくなりそうだった。
 「はぁ・・・や・・・め・・・」
 次第にセバスチャンの声は喘ぎ声に変わっていく・・・
 (浅ましい・・・)
 思考回路が遮断されそうな快楽に呑まれそうなセバスチャン・・・
 このまま本能のまま、快楽に呑み込まれ、シエルの前で、プルートゥと交わってしまえば、どうなるかなど、解りきっていた。
 主は決して、忠実な悪魔で執事を責めたりしない。
 悪魔を承知で傍に置く以上、何時かはこう言う光景を見る事になるのだから。
 「どんな手段でも使う」
 それが「女王の番犬」の地位を受け継いだ、シエルの覚悟だったから・・・
 シエルが契約を果たす事なく、成人してしまえば、自分の身体を手段として使うに違いないからだ。
 別の事を考え、気を逸らそうとしているセバスチャンの願いも虚しく、プルートゥは突如、セバスチャンの性器から口を離し、ドサッと身体を反転させた。
 セバスチャンをうつ伏せにベッドに寝かせ、滑らかで、青白い引き締まった尻の蕾を押し開く。
 「くっ・・・止めろ!」
 プルートゥの長く、濡れた舌にペロリと舐められ、悪寒が走る。
 それでも、まったく抵抗出ないのは何故なのか・・・
 シエルはその事実を後に、セバスチャンに身を持って知らされる事になる。
 幸い、シャツは辛うじて、背中は隠している為、セバスチャンの愛撫されている場所をシエルが直接見る事はない。
 しかし、顔はドア側に移動されたので、セバスチャンの上気しきった顔をシエルに晒す事になる。
 「坊ちゃん・・・こんな私を見ないで下さい・・・私には、貴方を裏切る気持ちはありませんでした・・・しかし、この魔犬は異常です。この私が抗えぬなど・・・このまま、こんな浅ましい行為を貴方には、見られたくありません」 
 セバスチャンは、シエルから視線を逸らし、漏れそうになる喘ぎ声をシーツを破れる程噛み締め、押し殺す。
 「解ってる・・・僕が悪いのだから・・・只、お前が僕に泣き付くのを見たかっただけなのに・・・いつも完璧な、お前がいたからこそ、今の僕がいるのだから・・・僕はどんなお前でも・・・あ・・・愛・・・し・・・て・・る・・・」
 シエルのめったに聞けぬ愛の囁き。
 こんな状況でなければ、どれ程、喜ばしい事だろう。
 プルートゥの舌は縦横無尽に、セバスチャンの蕾を攻めまくる。
 「んんっ・・・」
 セバスチャンは最早、シーツに顔を突っ伏し、手で握り締め、引き裂くくらいに、握り締める。
 シエルの前で、イかされる屈辱は避けたいのだから。
 が、セバスチャンの抵抗は虚しく、不意にプルートゥの舌が、秘部から離れていった。
 当然、この後の行為がどんな事か、セバスチャンもシエルも理解している。
 今度は、まるでシエルに見せつけるかの様に、セバスチャンの腰をグッと持ち上げ、プルートゥは更なる行為を続け様としている。
 力に抗う事も出来ず、大人の男達に凌辱された一か月の経験を持つシエルだ。
 恋人であるセバスチャンには、そんな経験などさせたくなかった。
 プルートゥの性器がセバスチャンの蕾を割り開き、挿入されそうな瞬間だった。
 「止めろ、待て!プルートゥ!!!!!」
 セバスチャンの蕾はキュッと締り、プルートゥのモノの挿入を拒んだばかりか、シエルの命令にピタッとプルートゥは行為の中断を余儀なくされた。
 その僅かな隙を突き、セバスチャンが行動を起こした。
 ドカッ・・・ギャン!
プルートゥはセバスチャンに蹴り飛ばされ、床を転がる。
 ハァハァと肩で息をする恋人に駆け寄るシエル。
 「セバスチャンごめん・・・僕があんな命令を下さなければ、お前をこんな目に遭わせる事は・・・」
 大きな目から、ポロポロと涙を零しながら、ベッドの上にいるセバスチャンに抱き付いていた。
 「いいえ、これは罠の匂いがします。私が貴方への当てつけに、命令を実行しようとした報いでもありますから、貴方ばかり責めてはおりませんよ・・・とりあえずアレは何とかしないと・・・」
 アレとはプルートゥの事。
 「プルートゥ、ハウス!!!!!」
 その声にプルートゥは怯え、セバスチャンの私室から出て、庭に作られた自分専用の犬小屋に身を潜めていた。
 「坊ちゃん・・・これで邪魔モノはいなくなりました。貴方が私を大切に想って下さっている言葉は先程、頂きました。しかし、それだけで、私の機嫌を取れるとは、よもやお考えではないでしょうね?貴方の前であの様な痴態を晒しただけでなく、汚らわしくも、大嫌いな犬のアレが僅かとは言え、私の大切な場所を穢したのですよ!未遂とは言え、許せる事ではございません!本来なれば、アレを引き裂いてあの女に、叩き返してやりたい所です。ですが、貴方が償いたいとおっしゃるのでしたら、許して差し上げない事もありません。どうなさいます?」
 有無を言わせぬセバスチャンの物言い。
 お互い想い合っているのに、相手より優位に立ちたがる二人・・・
 素直でないのだ。
 抱き合い、互いの熱を感じ合い、溶け合えばいいのに・・・
 いつも回り道ばかり・・・
 ここは主であるシエルの気紛れが引き起こした事なのだから、折れるべきなのだろう・・・
 セバスチャンがプルートゥに穢されそうな光景を見せつけられ、泣く事を止めれなかったのだから・・・
 お仕置きだろうが、甘んじて受けるつもりだった。
 「お前が気の済む様に、僕を自由にすればいい・・・僕だってお前がプルートゥに穢されるとこ何て、見たくなかったんだから!」
 可愛い恋人は、セバスチャンに更にきつく抱き付いた。
 「いい子ですね、シエル。では、まずは、コレを舐めて貴方の可愛らしいお口で、魔犬に穢されたコレを清めて下さい。そうすれば、何故、私が抵抗出来なかったかが、よく解りますよ。」
 そう言ってセバスチャンがシエルに晒したのは、セバスチャン自身。
 プルートゥに散々、舐められて、そこはテラテラといやらしく濡れていた。
 セバスチャンはシエルが舐めやすい様に、身体をずらし、シエルをベッドの中央へ誘導した。
 いつもなら、シエルの寝室で行われた行為だったが、セバスチャンの簡素なベッドが、ギシリと軋み、何だか、背徳感がいつもより二人を昂らせていた。
 まるで、今までセバスチャンが、プルートゥに好き勝手にされていた事など、すっかり二人には、蚊帳の外だった。
 ペロペロと可愛らしく舌を出し、セバスチャンのモノを舐めるシエルは、ピチャピチャとミルクを舐める子猫の様な仕草で、セバスチャンの荒れた気分を次第に宥めさせていく。
 「どうですシエル?美味しいでしょう?私のモノは・・・もっと欲しくなるでしょう・・・」
 セバスチャンの声に益々、舌の動きを早くするシエル。
 「ああ・・・快い・・・」
 セバスチャンは恍惚とした表情に変わって行く。
 シエルは殆ど、セバスチャンに口淫などさせられた事もないし、自分からしようとした事もなかった。
 そんなシエルが、嫌悪感を持たずに、何故この行為を続けれるのか?
 「気持ち快いでしょう・・・魔犬の唾液には、媚薬が含まれているのですよ。しかも、あのプルートゥは、只の魔犬ではなかった様ですね。この私すら、抗えぬ程の媚薬の持ち主とは・・・」
 セバスチャンは苦笑する。
 自分が主を想うなら、違うやり様もあったのだから・・・
 例え、命令に逆らっても、得体の知れぬ女から押し付けられた魔犬に、みすみす自らを与える真似を回避する方法もあったのだから・・・
 プライドの高過ぎる二人だから、こうなるしかなかったのだ。
 「もう・・・そんな事はどうでもいい・・・は・・・や・・・く・・・セバスチャン・・・」
 既にシエルの顔は、蕩けきっていた。
 「ええ・・・私が満足するまで、何度でも・・・私の為に貴方の身体を開いて・・・・」
 セバスチャンとて、媚薬の効果でシエルが欲しくて堪らない。
 意地を張らずとも、熱くなる身体に身を任せてしまえばいい・・・
     3へ続く・・・・
  
         
    あとがき
 リクエスト頂いたくろ様への希望になるべく、譲歩させて頂きましたが、やはり完全なるインは無理でした((+_+))
 これからは、セバシエのターン(^-^)グチャグチャのドロドロ20禁でも良いなぁ♥
 エロ嫌いなお嬢様は3は読まないでね。基本、アダルトサイトなので(-_-;)
 


 プルートゥはモロ好きなタイプ♥
 最後、死ななければ終わらないキャラだったのが、不憫で、今回の機会に書けてルンルンでした。
 まだまだ、セバシエH続きますが、少しでも楽しんで頂ければ幸いです(^-^) 
 この後も色々とブログで、小説の更新メインでやっていく予定です(^-^)
 アクセス頂きましてありがとうございました♥
 リクエストはセバシエ、シエセバに限り、いつでもOKですので、お気軽にどうぞ♥
 キリ番とかの設定を致しておりません。
 
  
 
 まだまだ書けるのですが、PCの調子が悪く、画面が飛んでしまい、一部文章が消えたり・・・
 明日は旦那がいるので、更新できるかは謎です(-_-;)
 この後、Twitter更新の連絡してきます。
 
 
  
「痛いお預け」サンプル
 以前ツイッターでリクエスト頂いた
「セバシエ+プルートゥ」軽い獣姦「すれ違う心」
の別バージョン
「痛いお預け」サンプルです。

 「痛いお預け」 
 カリカリ・・・紙に滑るペンの音。
 執務室で書類にサインをし続ける当主シエル。
 そこには、いつもの黒い執事はいない。
 ある任務の際、引き取った魔犬プルートゥの世話をセバスチャンに押し付けて数日・・・
 犬嫌いだと言うから、数日で根を上げると踏んでいたのに、いつもの業務と執事の仕事を完璧にこなし、シエルの命令を忠実に守るセバスチャン。
 シエルにとってこれほど、頼もしく、愛しい存在はいない。
 だが、当主としての威厳を保つ為だけに、セバスチャンに無理を承知で魔犬を押し付けただけ・・・
 シエルにとっては些細な悪戯・・・しかし、後に代償を払うハメになるシエル。
 既に数日、セバスチャンとの逢瀬はなくなっている。
 もし、シエルがもう少し子供らしい子供であったなら・・・セバスチャンに抱き付き、自身の猛る欲を吐き出させて貰えたかも知れぬ。
 悪魔であるセバスチャンには、シエルの身体から発する欲情の香りなど、手に取る様に解る筈。
 敢えて、口出しも手出しもしないのは、セバスチャンの美学。
 (私を遠避ける口実を作られたのは、貴方自身・・・この代償は高くつきますよ・・・)
 悪魔で執事は、冷酷な笑みを貼り付け、シエルに気取られぬ様に、慎重に行動する。
 しかし、セバスチャン自身も代償を払う事になる。
 ある夜、シエルは悶々とする自身を抑えきれずに、セバスチャンの私室に向かう事にした。
 そんな中、私室でセバスチャンは焦っていた。
 何故か今日に限って、プルートゥがすり寄ってくるのだ。
 まるで、シエルが来るのを知っていて、見せつけるかの様に・・・
 「ちょっ・・・何を・・・」セバスチャンに圧し掛かるプルートゥ。
 本体は巨大な魔犬。高位な悪魔と言え、屋敷の中での魔力は禁じられている。
 セバスチャンの首筋に舌を這わすプルートゥ・・・「んんっ・・・」シエルにお預けしている為、セバスチャン自身も些細な愛撫で昂ってしまう。
 青白い肌がほんのり上気して艶めかしい。
 プルートゥは器用にも、セバスチャンのタイを引き抜き、ボタンを外し出す。
 セバスチャンはめったに肌をシエルにすら晒さない。
 シャツでシエルの肌に直接触れない事で、悪魔としての本能を押さえ込んでいたのだ。
 いつものセバスチャンなら、シエルの気配にすら気付けただろう。
 しかし、今は緊急事態・・・
 プルートゥが有り得ない行動に出たのだ。
 スラックスを脱がし始めたのだから・・・
 「止めなさい・・・ああっ」
 セバスチャンの制止も虚しく、下着ごと脱がされ、自身を握り込まれてしまう。
 悪魔は人間を誑かす為に、自身の身体を使う存在・・・
 同時に、快楽を貪る為ならどんな手段でも使う。
 簡単に言えば、快楽に弱い生き物・・・
 セバスチャンとて、例外ではない。
 冷たい主人が折れるのを待ち続ける程、従順ではない。
 一時の享楽を貪っても、逆にシエルを言葉で負かす自身すらある。
 プルートゥの舌がセバスチャン自身を捕らえれば、抗えぬモノすらある。
 しかし、一つだけ心残りがある。
 シエルを悲しませたくないと・・・
 カブッと口に含まれ、快楽に呑まれそうになるが「離せ!私はこの身体は坊ちゃんのモノ・・・お前如きが自由にして良いモノではない・・・」巧みな舌使いに翻弄されそうになるが、拒絶の言葉にプルートゥの髪を掴み、引き剥がそうとするも、ガンとして離れない。
 そんな時だった。
 「セバスチャン!」シエルが部屋に滑り込んできた。
 「坊ちゃん・・・」鍵は掛かっていた筈だった・・・
 「離れろ!プルートゥ、セバスチャンは僕のモノだ・・・」涙を浮かべたシエルは命令した。
 何故か、少し開いていたドアから全てを覗いていたシエルは、セバスチャンの言葉を聞いていたのだ。
 どんなに離れていても、自分の事を想ってくれているセバスチャン。
 自分が無理な意地悪をしなければ良かった・・・

 こんな感じで書こうと思っています。
 
 
「闇からの声」学園物サンプル
 ツイッターで頂いたリクエストのサンプルです。
 学園物に初挑戦(>_<)

 「闇からの声」
 「お父さん、お母さん・・・」
 ある日、僕は一人になった・・・
 父と母はヴァイオリン奏者だった。
 ヨーロッパへの演奏会に出席する為に、飛び立った旅客機が、乱気流に巻き込まれ墜落・・・
 乗客は全員死亡・・・
 シュバイツァ音楽学園に4月から進学する予定だった・・・
 何もかも失った僕に、何が出来ると言うのだろう?
 葬儀の時は、只、茫然としていた・・・
 神父さんの祈りの声も届かない・・・
 急に目の前が暗くなって、眩暈がして・・・
 覚えているのは、僕を抱き上げる懐かしい腕・・・
 何時の事だったのだろう・・・
 誰かの腕に抱かれたまま、そっとベッドに寝かせられる感覚だけを覚えていた。
 僕を運んだ誰かが、額にキスする感覚がして、意識を失った・・・
 どれくらい気絶していたのだろう・・・
 「シエル、シエル・・・」
 か細い女性の声・・・
 マダム・レッド・・・
 そっと目を開ければ、母の妹である叔母のアンジェリーナがいた。
 「マダム・・・」
 僕は力なく呟いた・・・
 「もう大丈夫よ!私がついているわ!」
 叔母は僕を力の限り抱き締めて、泣いていた。

 「フフッ・・・」
 僕は両親を失ったけど、叔母は僕を失わなかった。
 「どうしたのです?楽しそうなお声で・・・」
 馬鹿丁寧な敬語・・・
 「先輩、何故貴方はいつもそんなに丁寧な言葉で僕に接して下さるのですか?僕は、まだ一年生なのですよ?」
 僕が先輩と呼ぶのは、同じ吹奏楽部の二年先輩のセバスチャン・ミカエリスだった。
 「どうして何でしょうね・・・私自身これがくせになってしまっていて・・・シエル可笑しいですか?」
 微笑みかける紅茶色の瞳に引き込まれてしまう。
 彼はシュバイツァ音楽学園に出資する企業の社長の一人息子。
 この学園を卒業したOBの援助で学園は成り立っていた。
 両親は多額の入学金を既に振り込んでくれていたので、僕はここの一年生として入学出来たのだ。
 アンジェリーナ叔母は医師。
 僕の後継人件、同居人でもあったが、女性と一緒に暮らすのは憚られ、学園の敷地内の寮の一人部屋に移り住んでいた。
 しかし、今はセバスチャンの屋敷の広間にいた。
 僕のヴァイオリンの技術では、到底、発表会に参加出来ず、セバスチャンに毎晩、特別授業を受けて、夜遅くなっていた。
 セレブの子息ばかりの学園だったので、寮を利用する学生は限られていて、部屋はいくらでも空いていたのだ。
 セバスチャンも偶に、寮に泊まっていた。
 ある日、僕がセバスチャンと別れ、自分の部屋に入ろうとした時、鍵の締め忘れに気付いた。
 不用心なので、キチンと施錠した筈だった。
 そっとドアを開け、照明を点けると部屋が荒らされていた。
 「うっ・・・わぁぁぁ」
 僕の叫び声に気付いたセバスチャンが駆け寄ってくる。
 「どうしたのですシエル?・・・これは酷い・・・」
 部屋の惨状は凄まじく、部屋一面に荷物がひっくり返されていて、足の踏み場すらなかった。
 「直ぐ警察を呼びましょう。現場検証が終わったら、貴方は私と屋敷へ・・・」
 「どうしてこんな・・・」
 両親を亡くしたばかりなのに、次々と襲い来る悲惨な運命を呪わずにいられなかった・・・
 「大丈夫です、私がついていますから・・・」
 抱きしめるセバスチャンの腕は、何故かヒンヤリしていて、安心させてくれた・・・

 確か、同じ学園で卒業して別れる二人だったのですが、今日仕事中に急に思いついて、行き成り書いてみました。いつもこんな感じで、メモすらとらないし、ラストもあんまり気にしないで、当日行き成り終わらせたり、とても気紛れ九条です((+_+))
 初めて学園物書いてみましたが、意外と嵌りそう♥
 タイトルは、ローマ字勉強していないので解りませんし、読めないし、書けません。
 基本、日本語で・・・
 自力で勉強する様に、担任に言われた10歳の時、肺炎で生死の境にいて、自宅で療養していたらしくて・・・
 少し前に思い出した記憶・・・
 こんな感じで、記憶がない時がある九条です((+_+))
 日常生活に支障がないので、まぁいいか・・・
 物事にあんまり拘りませんので(^-^)